「ハンク......」

そこにはハンクが立っていた。
ハンクは傷付いたような顔をしている。

「ルカは、俺のこと...どう思ってるの？嫌い？」
「嫌いじゃないよ！その、恋愛感情はないけど......」
「それなのに俺と結婚したの？」
「それはハンクも同じでしょ？」

「でも今は違う」
「えっ、......」

ゆっくりとハンクが歩み寄ってくる。
私はじりじりと後ろに下がった。
とん、と背中が壁にぶつかる。

「俺はルカのことが好きだ」
「......」
「ルカは、本当に俺のことが好きじゃない？」
「......分から、ない、よ」

確かにきゅんとすることはある。
でもはっきりしない状態でお付き合いをするのは、ハンクにとっても私にとってもよくない。

「...もし俺がルカ以外の女の人とお付き合いするって言ったら、どう？」

え？ハンクが？
頭の中で想像してみる。
ハンクが他の人と隣で話して、手を繋いで、笑って。
......胸がぎゅうっとなる。

「...嫌、かも」
「！」

ハンクと目が合って、そっと抱き締められた。
暖かい。

「...じゃあ、こうやって俺に抱き締められて、触れられるのは嫌？」
「......嫌じゃない」

あれ？もしかして、私って......

「好き......」
「嬉しい、ルカ。大事にするよ」

ん？あれ！？
何でこんな展開に！？

「あ、もう取り消しはなしね」
「そ、そんな...！」

ということで、私とハンクは恋人になった。すでに夫婦だけど。
私はハンクに、グレイさんへの気持ちを伝えた。ハンクは不服そうだったけど、受け入れてくれた。

「分かったよ...それにしても好きならさっさと好きだって言ったらいいのに」
「そんなに簡単に言えないよ！フラれるかもしれないし...」
「はあ...分かってないなあ」
「何？どういうこと？」
「ううん。何もないよ」

これはもう聞いても無駄だな...。
私は諦めて自分の部屋に戻った。