「ちょっと待ってね」
おばさんが電話に出た。誰からだろうか？他人への電話なのに気になってしまう。
「...そうですか。わかりました。ありがとうございます。」
もしかして詩彩良のことか？手汗が止まらないほど緊張してきた。僕が話を切り出そうとすると、おばさんが笑顔を見せてきた。一体何だったんだ？あの電話は？
「有咲ちゃん、詩彩良が有咲ちゃんなら面会してもいいって看護師さんに言ってきたみたい。良かったね。私も安心だわ。」
なんだ...そういうことか。正直いうと嬉しい。でも、詩彩良は病気になったことにショックを受けてるだろうから僕にあって逆にもっとショックを与えてしまうのではないかという不安もある。でもとりあえずあって見るか。
「有咲ちゃん、もし良ければ都合がいい日に詩彩良の病院に連れてってあげるよ。詩彩良も会いたいだろうし。」「詩彩良が喜ぶためなら僕は行きますよ。」
「ほんと？ありがとね。いつがいいかしら？」
おばさんと僕は予定を見る。
「明日の放課後でほんとに大丈夫？」「はい、全然大丈夫です。」
「じゃあ決まりね。」
不安もあるが明日が少し楽しみだ。

ー眠い。もう朝なのか。
目をこすりながら起き上がった。きょうは詩彩良に会う日だ。昨日、詩彩良の家に行った帰りに詩彩良に渡すプレゼントを買った。反応が楽しみだ。
「行ってきます。」
僕は自転車を滑らした。学校に行くために。いや、詩彩良に会うためにだ。
学校につくとクラスメイトが詩彩良の話をしていた。話を遠くで聞く限り、どうやら詩彩良が来なくなった理由を知っているのは僕だけのようだ。一瞬、僕は話に入って詩彩良が来なくなった理由を伝えようとしたが、すぐにやめた。だって絶対みんなが知ってると聞いたら嫌がるから。そうこう考えてるうちにチャイムがなった。授業の準備をしなくては。

ー疲れた。一刻も早く家に帰りたいが、詩彩良のためにいかなくては。
詩彩良の家の前につくと、おばさんが待っていた。
「有咲ちゃん、行きましょっか。」「はい」
僕は車に乗り込む。...緊張してきた。
「どうやら詩彩良、有咲ちゃんが来ることを伝えたら喜んだみたいよ。良かった。ほんとに。」「そうなんですね」
ほんとに僕にあって大丈夫なのかと不安もにじみ出る。だが大丈夫だ。きっと。

病院についた。病室の前に来た。声がする。看護師さんでもいるのか？僕とおばさんは顔を見合わせる。
「失礼します。」
僕は驚いた。