【参加型】NOVEL CAKE民、魔法使いの卵になる。
その後湯巡さんに連れられて、左だの右だの正面だの、なんなら地中のトンネルだの空中の透明な管だのとあちこちぐるぐると回されたけど、十分ぐらいでちゃんと目的地に着いたらしい。
…地形感覚、だいぶ狂ってるけど。ただでさえ方向音痴なのに、ここじゃ更に悪化しそうだ。
「はい到着。早く降りないと地面にぶつかるよ、今からそれ消す。」
「あ、ハイ。」
僕が降りた直後、ひゅん、と軽い音だけを残して、さっきのバイクもどきが跡形もなく消える。
振り向くと、かなり巨大な…なんだろうコレ、城とでも言えばいいのか?まぁとにかく、でかい建物がそびえ立っていた。
正直言って、こんな所入りたくない。場違い感がすげぇんですが。
うわ、シャンデリアとかあるし。甲冑も飾ってあるし。なんなんだここ。
まぁそれでも榛名さんはそこに躊躇なしに踏み込んで、ホールとでも言うべき場所へ向かっている。
ばたりとドアが開かれると、そこでは数人がゲームや読書などをして思い思いに過ごしていた。年齢も性別も様々だけど、おそらく全員学生だな。一体、どういう集まりなんすかね。
「集まってくれてありがとう。要件はさっき電話で言った通りだけど、[漢字]異世界人[/漢字][ふりがな]ストレンジャー[/ふりがな]を保護した。名前は星月流歌。それじゃあ、後は任せた。」
中にいた人たちにそう声をかけると、話は終わりだとばかりに榛名さんは机に置いてあったヘッドホンを取り、何か音楽を聴きながら部屋を出た。
その直後、茶色に赤のメッシュが入った髪の少年…いや、少女?まぁとりあえず、僕より少し年下ぐらいの人が話しかけて来てくれた。
「新しい人かー。ボクは弛夢琳存由夢、よろしくね。」
「あー、えと、どうも…」
キミもボクらと同じ世界のヒト?それとも、またどっか別の世界なのかな?と矢継ぎ早に聞いてくるが、「すんません分からないですね…」と答えるしかない。
だって仕方ないじゃん。僕はファンタジーが好きなだけの一般人で、ここ来てからせいぜい30分も経ってないんだぞ。
「そっかー、ボクも分かんないしまぁいいや。」
「はぁ…そんなモンっすか。」
そんなモンなんだよ、と薄っすら笑う今の存由夢さんは、到底年下には見えない。
てか並ぶと分かるけど多分、僕より若干背が高い。悔しい。
「それじゃあ、私も自己紹介しておこうかな。狼山乃流楽だよ!一応、今ここにいるメンツの中じゃ最年長の高1!」
今度は長い金髪で、いかにも大人っぽい雰囲気の人だ。服のセンスも明らかに洒落てる。
明らかに住む世界が違う……
「あれ、固まっちゃった。どうしたの?怖くないよ大丈夫だよー!」
「え、あー…すいません。大丈夫っす。」
ちょっとびっくりしたっすけど…いい人そうで良かった。
もしかすると、ここの人たち全員本が好きなんだろうか。さっきまで何か読んでたし。
「あ、そうだ。せっかくだから、他の人も紹介するね!まず、あっちで本読んでるのが帝国影刃ちゃんだよ。」
「どうも、こんにちはー。」
狼山さんの視線の先には、おそらくこの中で最も年下だと思われる女子。
長い黒髪をハーフアップに纏めていて、青と緑のオッドアイだ。
「それで…って、あれ?千代吉ちゃんどこ行った?影刃ちゃん知ってる?」
「榛名さんから連絡来る前にはもう、『ちょっと一狩りしてくる!』って言ってここ出てたよ。」
「あ、ボクそれで玄関から出るところ見た。…ってコトは、誰も分かんないね。」
一狩りって…まさか魔物でも倒しに行ったんですかね。そんなサクッと狩りに行けるモンなのか?
ファンタジー世界って怖い。
そう思った矢先、バタンと大きな音を立ててドアが開いた。
「ただいまー。」
「あ、千代吉さん帰ってきたね。」
影刃さんの声につられて見てみると、そこにいたのは例によって女子。ポニーテールにぱっちりとした二重まぶたの、ちょうど僕と同じぐらいの年齢の人だ。
一狩り…の割に別に血とかは特に付いてないって事は、もしかしてめちゃくちゃ強いんだろうかこの人。
「いやぁ、リオレイアが中々出なくて…けど、LINE届いたから帰って来たんよ。」
モンハンだったわ。
そりゃ血も付かないわ。
正直ホントびっくりしたわ。
「そんで、新しい人ってそっちの人なん?星月流歌、だっけ。」
「えっと…まぁ、そうなります…かね。よろしくお願いします。」
「そっかー、うちは千代吉な。よろしくー。」
ひらひらと手を振る千代吉さんを見て、これで今ここに住んでるのは全員だね、と狼山さんが言う。
意外と少ないような…多いような……
あれ?
「ちょっと待って下さい、住んでる…って、どういう事ですか。」
思わずそう尋ねる。
だって、あまりにも不可解かつ面白すぎる。こんな事になるなら、メモでも持って来ておけば良かったな。
「あれ、榛名から聞いてない?ちなみにキミも入居者なれるよ。」
そう答えてくれたのは存由夢さん。にこにこと笑いながら、手に持っていたサーターアンダギーをパクリと齧る。
「ボクらはみんな、キミと同じでこの世界の人間じゃないんだ。[漢字]異世界人[/漢字][ふりがな]ストレンジャー[/ふりがな]って、こっちでは呼ばれてる。」
「こっちに出ちゃった原因は分からないけど、なんか魔法も使えてるし…とにかく、ひとまずは困らないと思うよ。」
そう続いたのは影刃さんだけど、二人ともすげぇ落ち着いてんな……
てか、こんな広いとこ住んでるんすか。僕、正直慣れる気がしないんですが。
「そこはしょうがないんだよねー、なんかこの辺り…[漢字]空想域[/漢字][ふりがな]ファンタジア[/ふりがな]っていうんだけど…のルールらしいから!」
「なんかルールて。まぁあっとるけどな。」
狼山さんも千代吉さんも揃ってけらけらと笑っているが、こっちの身にもなってほしい。
生憎と僕は日本の城だって姫路城ぐらいしか行った事無いし、西洋系の城に至っては某ネズミーランドぐらいでしか行ったことが無い。
つまり無理。雰囲気キラキラしすぎだろ。
あとそもそも、他が全員女子…いやまぁどっちか分からない人もいるけど…の中僕一人だけってのも色々どうなんですか?とか星月流歌は思うワケ。
「あとここ大事。ここに住んでるなら魔法の学校に通えるんよ。」
「ちなみに、今はまだ誰一人として使ってないけど男子棟も完備されてる。」
「住みます住ませてください男子棟どこですか」
最後の影刃さんの言葉が駄目押しになりつい食い気味に言ってしまったけど、これは仕方ないと思う。
だって魔法の学校とか興味しかない。
ホグワーツ的なアレなんですかねやっぱり。
それともなんか他にも色々あったりするのか。
何がどの程度違うんだろうか。
それ考えるだけでメシ食える。なんなら小説も書ける。
まぁ、僕のアレを小説と言っていいのかは…だいぶ、いやかなり疑問が残るけど。
「決定だね!案内は…」
「じゃ、うちやるよ?よくあの辺で狩りしてるから案内できると思うで。話もしてみたいし。」
「そんじゃ千代吉ちゃん任せた!」
はいよー、と軽く頷いた千代吉さんは、手招きしながらドアを開け、こちらを振り向いた。
いやぁ、だいぶテンション上がって来ましたね、こりゃ。
…地形感覚、だいぶ狂ってるけど。ただでさえ方向音痴なのに、ここじゃ更に悪化しそうだ。
「はい到着。早く降りないと地面にぶつかるよ、今からそれ消す。」
「あ、ハイ。」
僕が降りた直後、ひゅん、と軽い音だけを残して、さっきのバイクもどきが跡形もなく消える。
振り向くと、かなり巨大な…なんだろうコレ、城とでも言えばいいのか?まぁとにかく、でかい建物がそびえ立っていた。
正直言って、こんな所入りたくない。場違い感がすげぇんですが。
うわ、シャンデリアとかあるし。甲冑も飾ってあるし。なんなんだここ。
まぁそれでも榛名さんはそこに躊躇なしに踏み込んで、ホールとでも言うべき場所へ向かっている。
ばたりとドアが開かれると、そこでは数人がゲームや読書などをして思い思いに過ごしていた。年齢も性別も様々だけど、おそらく全員学生だな。一体、どういう集まりなんすかね。
「集まってくれてありがとう。要件はさっき電話で言った通りだけど、[漢字]異世界人[/漢字][ふりがな]ストレンジャー[/ふりがな]を保護した。名前は星月流歌。それじゃあ、後は任せた。」
中にいた人たちにそう声をかけると、話は終わりだとばかりに榛名さんは机に置いてあったヘッドホンを取り、何か音楽を聴きながら部屋を出た。
その直後、茶色に赤のメッシュが入った髪の少年…いや、少女?まぁとりあえず、僕より少し年下ぐらいの人が話しかけて来てくれた。
「新しい人かー。ボクは弛夢琳存由夢、よろしくね。」
「あー、えと、どうも…」
キミもボクらと同じ世界のヒト?それとも、またどっか別の世界なのかな?と矢継ぎ早に聞いてくるが、「すんません分からないですね…」と答えるしかない。
だって仕方ないじゃん。僕はファンタジーが好きなだけの一般人で、ここ来てからせいぜい30分も経ってないんだぞ。
「そっかー、ボクも分かんないしまぁいいや。」
「はぁ…そんなモンっすか。」
そんなモンなんだよ、と薄っすら笑う今の存由夢さんは、到底年下には見えない。
てか並ぶと分かるけど多分、僕より若干背が高い。悔しい。
「それじゃあ、私も自己紹介しておこうかな。狼山乃流楽だよ!一応、今ここにいるメンツの中じゃ最年長の高1!」
今度は長い金髪で、いかにも大人っぽい雰囲気の人だ。服のセンスも明らかに洒落てる。
明らかに住む世界が違う……
「あれ、固まっちゃった。どうしたの?怖くないよ大丈夫だよー!」
「え、あー…すいません。大丈夫っす。」
ちょっとびっくりしたっすけど…いい人そうで良かった。
もしかすると、ここの人たち全員本が好きなんだろうか。さっきまで何か読んでたし。
「あ、そうだ。せっかくだから、他の人も紹介するね!まず、あっちで本読んでるのが帝国影刃ちゃんだよ。」
「どうも、こんにちはー。」
狼山さんの視線の先には、おそらくこの中で最も年下だと思われる女子。
長い黒髪をハーフアップに纏めていて、青と緑のオッドアイだ。
「それで…って、あれ?千代吉ちゃんどこ行った?影刃ちゃん知ってる?」
「榛名さんから連絡来る前にはもう、『ちょっと一狩りしてくる!』って言ってここ出てたよ。」
「あ、ボクそれで玄関から出るところ見た。…ってコトは、誰も分かんないね。」
一狩りって…まさか魔物でも倒しに行ったんですかね。そんなサクッと狩りに行けるモンなのか?
ファンタジー世界って怖い。
そう思った矢先、バタンと大きな音を立ててドアが開いた。
「ただいまー。」
「あ、千代吉さん帰ってきたね。」
影刃さんの声につられて見てみると、そこにいたのは例によって女子。ポニーテールにぱっちりとした二重まぶたの、ちょうど僕と同じぐらいの年齢の人だ。
一狩り…の割に別に血とかは特に付いてないって事は、もしかしてめちゃくちゃ強いんだろうかこの人。
「いやぁ、リオレイアが中々出なくて…けど、LINE届いたから帰って来たんよ。」
モンハンだったわ。
そりゃ血も付かないわ。
正直ホントびっくりしたわ。
「そんで、新しい人ってそっちの人なん?星月流歌、だっけ。」
「えっと…まぁ、そうなります…かね。よろしくお願いします。」
「そっかー、うちは千代吉な。よろしくー。」
ひらひらと手を振る千代吉さんを見て、これで今ここに住んでるのは全員だね、と狼山さんが言う。
意外と少ないような…多いような……
あれ?
「ちょっと待って下さい、住んでる…って、どういう事ですか。」
思わずそう尋ねる。
だって、あまりにも不可解かつ面白すぎる。こんな事になるなら、メモでも持って来ておけば良かったな。
「あれ、榛名から聞いてない?ちなみにキミも入居者なれるよ。」
そう答えてくれたのは存由夢さん。にこにこと笑いながら、手に持っていたサーターアンダギーをパクリと齧る。
「ボクらはみんな、キミと同じでこの世界の人間じゃないんだ。[漢字]異世界人[/漢字][ふりがな]ストレンジャー[/ふりがな]って、こっちでは呼ばれてる。」
「こっちに出ちゃった原因は分からないけど、なんか魔法も使えてるし…とにかく、ひとまずは困らないと思うよ。」
そう続いたのは影刃さんだけど、二人ともすげぇ落ち着いてんな……
てか、こんな広いとこ住んでるんすか。僕、正直慣れる気がしないんですが。
「そこはしょうがないんだよねー、なんかこの辺り…[漢字]空想域[/漢字][ふりがな]ファンタジア[/ふりがな]っていうんだけど…のルールらしいから!」
「なんかルールて。まぁあっとるけどな。」
狼山さんも千代吉さんも揃ってけらけらと笑っているが、こっちの身にもなってほしい。
生憎と僕は日本の城だって姫路城ぐらいしか行った事無いし、西洋系の城に至っては某ネズミーランドぐらいでしか行ったことが無い。
つまり無理。雰囲気キラキラしすぎだろ。
あとそもそも、他が全員女子…いやまぁどっちか分からない人もいるけど…の中僕一人だけってのも色々どうなんですか?とか星月流歌は思うワケ。
「あとここ大事。ここに住んでるなら魔法の学校に通えるんよ。」
「ちなみに、今はまだ誰一人として使ってないけど男子棟も完備されてる。」
「住みます住ませてください男子棟どこですか」
最後の影刃さんの言葉が駄目押しになりつい食い気味に言ってしまったけど、これは仕方ないと思う。
だって魔法の学校とか興味しかない。
ホグワーツ的なアレなんですかねやっぱり。
それともなんか他にも色々あったりするのか。
何がどの程度違うんだろうか。
それ考えるだけでメシ食える。なんなら小説も書ける。
まぁ、僕のアレを小説と言っていいのかは…だいぶ、いやかなり疑問が残るけど。
「決定だね!案内は…」
「じゃ、うちやるよ?よくあの辺で狩りしてるから案内できると思うで。話もしてみたいし。」
「そんじゃ千代吉ちゃん任せた!」
はいよー、と軽く頷いた千代吉さんは、手招きしながらドアを開け、こちらを振り向いた。
いやぁ、だいぶテンション上がって来ましたね、こりゃ。