【参加型】NOVEL CAKE民、魔法使いの卵になる。
拝啓、くそったれな…いや別に言う程でもないけど…とりあえず、僕の家族へ。
今僕は、明らかにおかしな所に来ています。
具体的に言うと、数秒前までいたハズの商店街はどこかに消えた。
目の前に広がるのは、何の動物のモノなのかよく分からない角やら、普通こんなん使わないだろ、と大声で言いたくなるような大鍋が並ぶ、謎のアーケード街っすね。
「いや、なんなんだよここ…」
まぁでもとりあえず、改めて自己紹介しておきますか。
僕の名前は星月流歌。
ちょっとファンタジーが好きなだけの、紛れもない一般人です。
でもまぁ、この一部分に関しては訂正して、正確な表現に直すべきだろう。
小説家を志す者としては、避けて通れない道な気がする。
少なくともさっきまでは、紛れもない一般人だったハズなんだが……
こんなんなってたらもう一般人じゃないっすね、うん。
さようなら、一般人の僕。
そしてこんにちは、頭のおかしい僕。
そりゃそうだ、マトモならこんなの見えてないだろ。どうせ幻覚だ幻覚。
てか、そっちの方がまだマシだよホント。病院行って薬でもなんでも貰えば多分きっと治るんだから。
まぁ病院行くにしても、具体的にどんな病院行ってどうすればいいかなんて知らないけどな。
そう思いつつ、思いっきり自分の頬をつねりあげるが、生憎ととても痛い。
ただし、頬じゃなくてむしろ指が。うっかり深爪したばっかだったから。
いや、我ながらちょっと馬鹿すぎるだろ。
「いや、ワケ分かんねー…」
まぁいいや、とりあえず今すぐに命に関わるとかは無さそうだ。火の玉が飛んでるワケでもないし…いや、飛んでるわ鬼火っぽいのが。
うん、明らかに異常だけど…
ここまで来ると逆に興味が湧いて来た。だって、夢にまで見たファンタジーな世界ですし。
あそこにぶら下がってるアレとか、案外ユニコーンのツノだったりしてな。
それともユニコーンってのは単に想像上の生き物で、ここではもっと別の名前がついてたりするのかもしれないっすね。
やべぇ、超気になって来た…
小説のネタになるかもしれないとさえ思えば大抵は面白がれてしまうあたり、僕の野生のカンとか危機感とかいうモノは多分きっと死んでるけども。
にしたって、探索ってのは大事だと星月流歌は思うワケ。
さて何から買うか…って、あ。
ここのお金とか持ってないな。
じゃあウィンドウショッピングか。
ダメだわコレ、想像以上に浮かれてる。マトモに思考回路働いてないっすね。
そう思いつつ前に視線をずらして歩き始めると、誰かにぶつかってしまった。
しかも派手に吹っ飛んだ。
当然ながら僕が。
なお、相手は微動だにしていない。
我ながらフィジカルが死んでいる、そう思いつつもとりあえず前を向いて謝る。
「うっわ、すいません……」
「あぁいや、こっちもよそ見してたから。立てる?」
声の方向には、ふわふわとした薄水色の髪を緩く二つにまとめた女子がいた。
すげぇっすね、さすがファンタジー世界。目とかピンク色だし。
って違うな、まずはお礼だ。
「えっと…ありがとうございます。」
「別に、気にする事でもないだろう。正直言って無駄だ。」
飄々とした雰囲気でそう言い切ったその人は、いつの間にか手に持っていた飴玉を口に放り込もうとして、ふと考えるように手を止めた。
「待てよ…お前、人間だな?」
「え、あー、まぁ、人間…です?」
なんか疑問系みたいな感じになってしまったけど…
逆に人間以外ならなんなんだろう。
そんなファンタジーじゃあるまいし…って、ここがすでにファンタジーな世界観なんだった。
じゃあそんなモンか。
いや、もしかして紛れ込んだ人間は殺しましょうとかそう言う話だったり?
それはちょっとどころじゃなく嫌だぞ。死にたくないし。
「なんか百面相してるけど…もしかして、人間だと殺されるとか思ってる?それは無いよ。」
まぁ慣れてさえいればこんな所でわざわざキョロキョロしたりなんてしないから、人間なのはなんとなく分かるけど…と言いながら、目の前の人は小さくなったらしい飴をパリパリと噛み砕いている。
飴の破片を飲み込むと、やっぱり、と軽く頷いてこちらを向いた。
「うん、想像通り、来たばかりの異世界人…“ストレンジャー”だ。コレはいい見つけ物かもね。」
「え、ここ異世界だったんですか?」
「そうだけど。今更?」
あ、なんか呆れられてる感。まぁ当然か。
てかそもそもこの人、なんでそんな事が分かるんだろうか。
なんか魔法とかそういうアレっすか。けど聞くに聞けない。僕思いっきり陰キャだし。
「わたしじゃあ答えられない事もあるし、質問しても無駄だよ。」
「…心でも読めるんですか。」
思わずそう聞いたら、読めるけど今は使ってない、と平然とした顔で答えられた。
いや読めるんすか。魔法使い(仮だけど)って怖い。
しかもなんか電話かけてるし。いやここスマホ繋がるんですか。
そして件の女子は、立ち話もなんだから、とだけ言うと、白いパーカーのフードを翻して歩き出した。
「まぁ、とりあえず来てくれるかい?聞きたい事もあるだろう。その点、質問に答えてくれそうな所には心当たりがあるからね。」
そう言うと、彼女は棒付きの飴をひょいと咥えて、着いてくるよう促した。
「あー、ハイ。分かりました。えっと…名前聞いてもいいですか。あ、僕は星月流歌っていいます。」
「…まぁ、名前も知らない相手に着いて行く気はしないだろうしね。いいだろう、わたしの名前は湯巡榛名だ。」
そう名乗った彼女…榛名さんは、ちょっとそこから離れてくれ、と言って僕を下がらせた。
ワケも分からず後ろに退くと、彼女が軽く指を振る。
すると、何やらバイクのような形の乗り物が2台出てきた。しかもそれに乗るように促してくる。
「えっと…僕、免許とかないですよ。あとバランス感覚とかも無いし…」
「免許もバランス感覚もいらないから。時間の無駄だしさっさと乗って。」
「あ、ハイ。」
有無を言わせない雰囲気に呑まれて、恐る恐るまたがりハンドルに手を伸ばし、そのままエンジンらしき所をそっと押す。
…あれ、動くぞコレ。
全然普通に乗れるわ。
コケる気配もないな。
なんでだ。
「魔力で動いてるから操作も簡単なんだ。わたしの言った通り、バランス感覚はいらないだろう。あと次は右ね。」
「あー、なるほど…あ、右ですね、分かりました。」
すっげぇ…見たことないモノばっかりだ。
どこに向かってるかは検討も付かないけど、なんだか面白そうな予感しかしない。
結構、楽しみになって来たな。
「これ、どこまで行くんですか。」
「そんな事聞いても無駄無駄。いいから黙って着いてきて。」
そう言ってひゅんとスピードをあげる榛名さん。置いていかれないよう負けじとスピードをあげて、不思議なアーケード街を後にした。
今僕は、明らかにおかしな所に来ています。
具体的に言うと、数秒前までいたハズの商店街はどこかに消えた。
目の前に広がるのは、何の動物のモノなのかよく分からない角やら、普通こんなん使わないだろ、と大声で言いたくなるような大鍋が並ぶ、謎のアーケード街っすね。
「いや、なんなんだよここ…」
まぁでもとりあえず、改めて自己紹介しておきますか。
僕の名前は星月流歌。
ちょっとファンタジーが好きなだけの、紛れもない一般人です。
でもまぁ、この一部分に関しては訂正して、正確な表現に直すべきだろう。
小説家を志す者としては、避けて通れない道な気がする。
少なくともさっきまでは、紛れもない一般人だったハズなんだが……
こんなんなってたらもう一般人じゃないっすね、うん。
さようなら、一般人の僕。
そしてこんにちは、頭のおかしい僕。
そりゃそうだ、マトモならこんなの見えてないだろ。どうせ幻覚だ幻覚。
てか、そっちの方がまだマシだよホント。病院行って薬でもなんでも貰えば多分きっと治るんだから。
まぁ病院行くにしても、具体的にどんな病院行ってどうすればいいかなんて知らないけどな。
そう思いつつ、思いっきり自分の頬をつねりあげるが、生憎ととても痛い。
ただし、頬じゃなくてむしろ指が。うっかり深爪したばっかだったから。
いや、我ながらちょっと馬鹿すぎるだろ。
「いや、ワケ分かんねー…」
まぁいいや、とりあえず今すぐに命に関わるとかは無さそうだ。火の玉が飛んでるワケでもないし…いや、飛んでるわ鬼火っぽいのが。
うん、明らかに異常だけど…
ここまで来ると逆に興味が湧いて来た。だって、夢にまで見たファンタジーな世界ですし。
あそこにぶら下がってるアレとか、案外ユニコーンのツノだったりしてな。
それともユニコーンってのは単に想像上の生き物で、ここではもっと別の名前がついてたりするのかもしれないっすね。
やべぇ、超気になって来た…
小説のネタになるかもしれないとさえ思えば大抵は面白がれてしまうあたり、僕の野生のカンとか危機感とかいうモノは多分きっと死んでるけども。
にしたって、探索ってのは大事だと星月流歌は思うワケ。
さて何から買うか…って、あ。
ここのお金とか持ってないな。
じゃあウィンドウショッピングか。
ダメだわコレ、想像以上に浮かれてる。マトモに思考回路働いてないっすね。
そう思いつつ前に視線をずらして歩き始めると、誰かにぶつかってしまった。
しかも派手に吹っ飛んだ。
当然ながら僕が。
なお、相手は微動だにしていない。
我ながらフィジカルが死んでいる、そう思いつつもとりあえず前を向いて謝る。
「うっわ、すいません……」
「あぁいや、こっちもよそ見してたから。立てる?」
声の方向には、ふわふわとした薄水色の髪を緩く二つにまとめた女子がいた。
すげぇっすね、さすがファンタジー世界。目とかピンク色だし。
って違うな、まずはお礼だ。
「えっと…ありがとうございます。」
「別に、気にする事でもないだろう。正直言って無駄だ。」
飄々とした雰囲気でそう言い切ったその人は、いつの間にか手に持っていた飴玉を口に放り込もうとして、ふと考えるように手を止めた。
「待てよ…お前、人間だな?」
「え、あー、まぁ、人間…です?」
なんか疑問系みたいな感じになってしまったけど…
逆に人間以外ならなんなんだろう。
そんなファンタジーじゃあるまいし…って、ここがすでにファンタジーな世界観なんだった。
じゃあそんなモンか。
いや、もしかして紛れ込んだ人間は殺しましょうとかそう言う話だったり?
それはちょっとどころじゃなく嫌だぞ。死にたくないし。
「なんか百面相してるけど…もしかして、人間だと殺されるとか思ってる?それは無いよ。」
まぁ慣れてさえいればこんな所でわざわざキョロキョロしたりなんてしないから、人間なのはなんとなく分かるけど…と言いながら、目の前の人は小さくなったらしい飴をパリパリと噛み砕いている。
飴の破片を飲み込むと、やっぱり、と軽く頷いてこちらを向いた。
「うん、想像通り、来たばかりの異世界人…“ストレンジャー”だ。コレはいい見つけ物かもね。」
「え、ここ異世界だったんですか?」
「そうだけど。今更?」
あ、なんか呆れられてる感。まぁ当然か。
てかそもそもこの人、なんでそんな事が分かるんだろうか。
なんか魔法とかそういうアレっすか。けど聞くに聞けない。僕思いっきり陰キャだし。
「わたしじゃあ答えられない事もあるし、質問しても無駄だよ。」
「…心でも読めるんですか。」
思わずそう聞いたら、読めるけど今は使ってない、と平然とした顔で答えられた。
いや読めるんすか。魔法使い(仮だけど)って怖い。
しかもなんか電話かけてるし。いやここスマホ繋がるんですか。
そして件の女子は、立ち話もなんだから、とだけ言うと、白いパーカーのフードを翻して歩き出した。
「まぁ、とりあえず来てくれるかい?聞きたい事もあるだろう。その点、質問に答えてくれそうな所には心当たりがあるからね。」
そう言うと、彼女は棒付きの飴をひょいと咥えて、着いてくるよう促した。
「あー、ハイ。分かりました。えっと…名前聞いてもいいですか。あ、僕は星月流歌っていいます。」
「…まぁ、名前も知らない相手に着いて行く気はしないだろうしね。いいだろう、わたしの名前は湯巡榛名だ。」
そう名乗った彼女…榛名さんは、ちょっとそこから離れてくれ、と言って僕を下がらせた。
ワケも分からず後ろに退くと、彼女が軽く指を振る。
すると、何やらバイクのような形の乗り物が2台出てきた。しかもそれに乗るように促してくる。
「えっと…僕、免許とかないですよ。あとバランス感覚とかも無いし…」
「免許もバランス感覚もいらないから。時間の無駄だしさっさと乗って。」
「あ、ハイ。」
有無を言わせない雰囲気に呑まれて、恐る恐るまたがりハンドルに手を伸ばし、そのままエンジンらしき所をそっと押す。
…あれ、動くぞコレ。
全然普通に乗れるわ。
コケる気配もないな。
なんでだ。
「魔力で動いてるから操作も簡単なんだ。わたしの言った通り、バランス感覚はいらないだろう。あと次は右ね。」
「あー、なるほど…あ、右ですね、分かりました。」
すっげぇ…見たことないモノばっかりだ。
どこに向かってるかは検討も付かないけど、なんだか面白そうな予感しかしない。
結構、楽しみになって来たな。
「これ、どこまで行くんですか。」
「そんな事聞いても無駄無駄。いいから黙って着いてきて。」
そう言ってひゅんとスピードをあげる榛名さん。置いていかれないよう負けじとスピードをあげて、不思議なアーケード街を後にした。