とりぷるふーるず!!
夜の生徒会室。中心に集まった机達、
窓を開けると夏の夜風がカーテンを揺らす。
明かりはスタンドライトひとつ。 机の上にはジュース、ポテチ、ラムネ菓子、そして――
「恋バナ資料用ノート、完成しました!!」
蓮賽 汐花が、満面の笑みで掲げるのは 『♥恋バナ特別作戦会議♥』と書かれたノート。
「……なにその破壊力しかないノート」
条兎が微妙な表情でポテチをかじる。
「今日の議題は一つ! “うちらってさ、恋したことある?”」
沈黙が、部屋に落ちた。
[水平線]
「……恋、かあ……」
ラムネをぱちんと弾きながら、弥生がぼそり。
「昔、理科クラブの先輩に少しだけ惹かれたことがある」
「おぉ!? 弥生にそんなエピソードあったんか!?」
「でも、好きかどうかを"感情解析表"で測定してたら 先輩にノート見られて『こわい』って言われた」
「えええええ!?!?」
「ちなみに、恋愛感情スコアは【36.2%】で中途半端だったからやめた」
「数値化するな感情を!!」
[水平線]
「私は……あんまり、恋ってわかんない」
条兎は、髪を指でくるくるしながら、小さく言った。
「中学の時、隣の席の女の子に…ちょっとドキドキしたことはあるけど」
汐花がすかさず叫ぶ。
「わかるそれーーー!!! てか条兎、恋愛対象女子なの!?それとも両方?」
「わからない。私が“女の子でありたい”って思った時、 “好きになる”って感情まで、なんかぐちゃぐちゃになってた」
「……でも、その子と手がちょっと触れただけで、 一週間くらい動悸が止まらなかった」
「それはもう100%恋では?????」
[水平線]
「ボクはさあ……“自分の”恋を題材にしてみたくて何回か"告られ待ち"したことあるよ」
「え、まってダサい!」
「うるさい!放課後に図書室でずっと小説読んでたら 誰か告ってくるんじゃないかと思って!」
「……来た?」
「図書委員の男子に『椅子、どけてもらえますか』って言われた」
「恋、起こってない!!!!」
「でも一回だけ、美術の後輩の子に絵を褒められた時、 なんか胸の奥があったかくなったことあった」
「そ、それは……?」
「うん……恋なのか、 “ボクの絵を認めてくれた”っていう救いだったのか、 今もわかんないんだよね」
[水平線]
三人はポテチをつまみながら、ぼーっと空を見上げた。
「うちら、普通の"ときめき"がちょっと下手なんかもね」
「でも、それぞれの"好き"のカタチはちゃんとあるよな」
「好き、って別に人間に限らないしね。ボク、 アイスのラムネ味にもときめいてるし」
「それを恋って言い張るのはキツイ」
「でも、今こうして3人でバカな話して、 ゲラゲラ笑ってるこの時間、 わりと誰かに恋してるより幸せじゃない?」
静かに笑いあって、乾杯。
「とりぷるふーるず、恋よりヤバい感情で繋がってるってことにしとこう」
明かりはスタンドライトひとつ。 机の上にはジュース、ポテチ、ラムネ菓子、そして――
「恋バナ資料用ノート、完成しました!!」
蓮賽 汐花が、満面の笑みで掲げるのは 『♥恋バナ特別作戦会議♥』と書かれたノート。
「……なにその破壊力しかないノート」
条兎が微妙な表情でポテチをかじる。
「今日の議題は一つ! “うちらってさ、恋したことある?”」
沈黙が、部屋に落ちた。
[水平線]
「……恋、かあ……」
ラムネをぱちんと弾きながら、弥生がぼそり。
「昔、理科クラブの先輩に少しだけ惹かれたことがある」
「おぉ!? 弥生にそんなエピソードあったんか!?」
「でも、好きかどうかを"感情解析表"で測定してたら 先輩にノート見られて『こわい』って言われた」
「えええええ!?!?」
「ちなみに、恋愛感情スコアは【36.2%】で中途半端だったからやめた」
「数値化するな感情を!!」
[水平線]
「私は……あんまり、恋ってわかんない」
条兎は、髪を指でくるくるしながら、小さく言った。
「中学の時、隣の席の女の子に…ちょっとドキドキしたことはあるけど」
汐花がすかさず叫ぶ。
「わかるそれーーー!!! てか条兎、恋愛対象女子なの!?それとも両方?」
「わからない。私が“女の子でありたい”って思った時、 “好きになる”って感情まで、なんかぐちゃぐちゃになってた」
「……でも、その子と手がちょっと触れただけで、 一週間くらい動悸が止まらなかった」
「それはもう100%恋では?????」
[水平線]
「ボクはさあ……“自分の”恋を題材にしてみたくて何回か"告られ待ち"したことあるよ」
「え、まってダサい!」
「うるさい!放課後に図書室でずっと小説読んでたら 誰か告ってくるんじゃないかと思って!」
「……来た?」
「図書委員の男子に『椅子、どけてもらえますか』って言われた」
「恋、起こってない!!!!」
「でも一回だけ、美術の後輩の子に絵を褒められた時、 なんか胸の奥があったかくなったことあった」
「そ、それは……?」
「うん……恋なのか、 “ボクの絵を認めてくれた”っていう救いだったのか、 今もわかんないんだよね」
[水平線]
三人はポテチをつまみながら、ぼーっと空を見上げた。
「うちら、普通の"ときめき"がちょっと下手なんかもね」
「でも、それぞれの"好き"のカタチはちゃんとあるよな」
「好き、って別に人間に限らないしね。ボク、 アイスのラムネ味にもときめいてるし」
「それを恋って言い張るのはキツイ」
「でも、今こうして3人でバカな話して、 ゲラゲラ笑ってるこの時間、 わりと誰かに恋してるより幸せじゃない?」
静かに笑いあって、乾杯。
「とりぷるふーるず、恋よりヤバい感情で繋がってるってことにしとこう」