とりぷるふーるず!!
朝のチャイムが鳴る前。
太陽はまだ、眠気まなこをこすっているようだった。
蓮見河大学附属高校の屋上。
風が少し強い。風音だけが、空の広さを教えてくれる。
ぽつん、と。
ひとり、汐花が立っていた。
汐花は、空を見上げた。
大好きだった青色は、今日はただ、冷たく感じた。
「……来るわけないか。昨日、あんなこと言っといて……」
喉が詰まりそうになる。
あれは、生きたいって意味だったのか、それとも、死ぬ前のただの冗談だったのか。
「――しおか」
そのとき。
背後から、名前を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこには――
「よかった……来てたんだね」
弥生がいた。
制服の上に白衣を羽織り、両手には温かい缶コーヒーを3本抱えていた。
「朝から白衣はキャラ濃すぎでしょ……」
「いいでしょ。理科準備室に寝泊まりしてたら自然とこうなる」
弥生は笑って、コーヒーの缶を汐花にひとつ渡した。
「ん。ありがと」
まだ少し、ぎこちない。でも、確かに言葉は届いていた。
そして――
屋上のドアがガチャリ、と開く。
「……待たせた」
最後に現れたのは、 条兎 。
無駄に姿勢がいい。無駄に完璧。なのに、その瞳は、どこか今までより素直だった。
「……来たんだ」
「言った。"賛成"って」
3人は、屋上の中央に並んだ。
空は、もうすっかり明るくなっていた。
「昨日さ。死にたかったはずなのに、今こうしてるのって、なんか……不思議」
汐花がつぶやいた。
「死ぬのって、思ったより難しいんだなって」
「違うよ」
弥生が、やわらかく言う。
「"死ななきゃいけない理由"が、どこかで小さく砕けただけ」
条兎も言葉を重ねた。
「たとえば、"わかってくれるやつがひとりいるだけ"で、命って、意外と引き止められるのかも」
風が吹く。3人のスカートがふわりと揺れた。
汐花「……さ。じゃあ、どうする?このあと」
弥生「決まってんじゃん」
条兎「バカやるのよ」
弥生「“ふざけたボクたち”で、ふざけたこの世界に仕返ししてやろう。」
汐花が笑った。
いつか描いたキャンバスの色みたいに、やさしくて、騒がしい笑顔だった。
「いいね。とりぷるふーるず、始動ってことで」
「「始動!!」」
そしてこの日。
誰も知らない、生徒会の"裏側"が動き出す。
完璧な天才3人組は、
もうまともに生きることをやめた。
その代わり、もっとバカな、
もっと自由な方法で――
自分を、救うことにした。
太陽はまだ、眠気まなこをこすっているようだった。
蓮見河大学附属高校の屋上。
風が少し強い。風音だけが、空の広さを教えてくれる。
ぽつん、と。
ひとり、汐花が立っていた。
汐花は、空を見上げた。
大好きだった青色は、今日はただ、冷たく感じた。
「……来るわけないか。昨日、あんなこと言っといて……」
喉が詰まりそうになる。
あれは、生きたいって意味だったのか、それとも、死ぬ前のただの冗談だったのか。
「――しおか」
そのとき。
背後から、名前を呼ぶ声がした。
振り返ると、そこには――
「よかった……来てたんだね」
弥生がいた。
制服の上に白衣を羽織り、両手には温かい缶コーヒーを3本抱えていた。
「朝から白衣はキャラ濃すぎでしょ……」
「いいでしょ。理科準備室に寝泊まりしてたら自然とこうなる」
弥生は笑って、コーヒーの缶を汐花にひとつ渡した。
「ん。ありがと」
まだ少し、ぎこちない。でも、確かに言葉は届いていた。
そして――
屋上のドアがガチャリ、と開く。
「……待たせた」
最後に現れたのは、 条兎 。
無駄に姿勢がいい。無駄に完璧。なのに、その瞳は、どこか今までより素直だった。
「……来たんだ」
「言った。"賛成"って」
3人は、屋上の中央に並んだ。
空は、もうすっかり明るくなっていた。
「昨日さ。死にたかったはずなのに、今こうしてるのって、なんか……不思議」
汐花がつぶやいた。
「死ぬのって、思ったより難しいんだなって」
「違うよ」
弥生が、やわらかく言う。
「"死ななきゃいけない理由"が、どこかで小さく砕けただけ」
条兎も言葉を重ねた。
「たとえば、"わかってくれるやつがひとりいるだけ"で、命って、意外と引き止められるのかも」
風が吹く。3人のスカートがふわりと揺れた。
汐花「……さ。じゃあ、どうする?このあと」
弥生「決まってんじゃん」
条兎「バカやるのよ」
弥生「“ふざけたボクたち”で、ふざけたこの世界に仕返ししてやろう。」
汐花が笑った。
いつか描いたキャンバスの色みたいに、やさしくて、騒がしい笑顔だった。
「いいね。とりぷるふーるず、始動ってことで」
「「始動!!」」
そしてこの日。
誰も知らない、生徒会の"裏側"が動き出す。
完璧な天才3人組は、
もうまともに生きることをやめた。
その代わり、もっとバカな、
もっと自由な方法で――
自分を、救うことにした。