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とりぷるふーるず!!

#2

朝焼け、スーサイド・セッション

朝のチャイムが鳴る前。
太陽はまだ、眠気まなこをこすっているようだった。

蓮見河大学附属高校の屋上。
風が少し強い。風音だけが、空の広さを教えてくれる。

ぽつん、と。
ひとり、汐花が立っていた。

汐花は、空を見上げた。
大好きだった青色は、今日はただ、冷たく感じた。

「……来るわけないか。昨日、あんなこと言っといて……」

喉が詰まりそうになる。
あれは、生きたいって意味だったのか、それとも、死ぬ前のただの冗談だったのか。

「――しおか」

そのとき。
背後から、名前を呼ぶ声がした。

振り返ると、そこには――

「よかった……来てたんだね」

弥生がいた。
制服の上に白衣を羽織り、両手には温かい缶コーヒーを3本抱えていた。

「朝から白衣はキャラ濃すぎでしょ……」
「いいでしょ。理科準備室に寝泊まりしてたら自然とこうなる」

弥生は笑って、コーヒーの缶を汐花にひとつ渡した。

「ん。ありがと」

まだ少し、ぎこちない。でも、確かに言葉は届いていた。

そして――
屋上のドアがガチャリ、と開く。

「……待たせた」

最後に現れたのは、 条兎 。
無駄に姿勢がいい。無駄に完璧。なのに、その瞳は、どこか今までより素直だった。

「……来たんだ」

「言った。"賛成"って」

3人は、屋上の中央に並んだ。

空は、もうすっかり明るくなっていた。

「昨日さ。死にたかったはずなのに、今こうしてるのって、なんか……不思議」

汐花がつぶやいた。

「死ぬのって、思ったより難しいんだなって」

「違うよ」

弥生が、やわらかく言う。

「"死ななきゃいけない理由"が、どこかで小さく砕けただけ」

条兎も言葉を重ねた。

「たとえば、"わかってくれるやつがひとりいるだけ"で、命って、意外と引き止められるのかも」

風が吹く。3人のスカートがふわりと揺れた。

汐花「……さ。じゃあ、どうする?このあと」

弥生「決まってんじゃん」

条兎「バカやるのよ」

弥生「“ふざけたボクたち”で、ふざけたこの世界に仕返ししてやろう。」

汐花が笑った。
いつか描いたキャンバスの色みたいに、やさしくて、騒がしい笑顔だった。

「いいね。とりぷるふーるず、始動ってことで」

「「始動!!」」

そしてこの日。
誰も知らない、生徒会の"裏側"が動き出す。

完璧な天才3人組は、
もうまともに生きることをやめた。

その代わり、もっとバカな、
もっと自由な方法で――

自分を、救うことにした。

作者メッセージ

バカ上等!!!!!!!!!!!!!!!!

2025/06/13 19:01

明け他人(枯花) ID:≫ 6yTgHEMno8sog
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