とりぷるふーるず!!
ビリッ
始業式の朝。教室がざわつく。
条兎(教室のドア前で静かに立ち尽くす)
汐花「あれ、条兎どうしたの?入らな――」
条兎「……制服が、破れた」
弥生(ペラ…とサイズ表を確認)「210cmは、たぶん対象外」
一時的に体育着+ジャージという緊急処置を施したものの――
汐花「だめだ、条兎が制服じゃないと、怖さ3割増しだわ」
条兎「しかも、歩くたびに廊下の人が避けていく」
弥生「完全に“学園に現れた謎の転校生”の扱い」
汐花「よし、布から作る。任せて。小学校のとき、ぬいぐるみで鍛えたから」
条兎「おれの制服、ぬいぐるみ基準……」
弥生「サイズ、どうする?」
汐花「測った方が早い。条兎、立って!」
\ 測定結果 /
身長:210cm
体格:人間として美術館に飾れるレベル
汐花「もはや“制服”というより“装備”って呼びたい……」
放課後の図工室、ミシンと布と格闘する汐花。
弥生「何その謎の図面」
汐花「“パワースーツ型学ラン(仮)”」
条兎「着ていいのか、それ」
最終工程、試着。
汐花「いけるか……?(ドキドキ)」
条兎「……袖、入った」
弥生「すごい。肩が割れてない」
\ 見事!完成!!/
「ちょっと重めの学ラン、でも動ける!」
「裏地はさりげなくクマ柄」
登校すると――
生徒A「え、なにあの完璧フィットスーツ」
生徒B「手作りらしいよ。布から」
生徒C「何者なの……あの子たち……」
先生(遠目に見て)「もうこの制服、来年の新デザインにしたら?」
汐花「どう?ちゃんと動きやすい?」
条兎「うん。これ、着てるとちょっと元気出る。汐花の裁縫、最強」
弥生「条兎、笑ってる。珍しい」
汐花「次破れたら、春用と秋冬用、両方作るからね!」
条兎「うん。――ありがとう」