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とりぷるふーるず!!

#13


「はい!全員、明日ヒマね!?海行くよ!!」

放課後の生徒会室に、元気よく汐花の声が響く。

「唐突すぎるだろ……」

条兎がテスト範囲のプリントを投げ出す。

「ずっと前から決めてたから!言ってなかっただけ!」

「言ってなきゃ決めてないのと同じじゃない?」

「細けぇことはいいの!弥生、賛成だよね?」

「まぁ……夏だしね。気圧の変化と塩分濃度の関係、実地で観察できるかも」

「それ海の楽しみ方、理系すぎない?」
[水平線]

朝6時集合。眠そうな顔で電車に揺られて、やっと着いたのは――

[太字]キラキラの海!![/太字]

「っっさいこう~~~~~!!!!」

水着の上からパーカーを羽織った汐花が、全力で浅瀬に走り出す。

条兎は荷物を持ちながら、うっすら笑って言う。

「……子どもかよ」

「あなたも笑ってるよ?」

「別に笑ってない。潮風が目に入っただけだ」

弥生はというと、ラッシュガードにハット、サングラス、完璧な紫外線対策。

「日焼けのダメージはDNAにまで及ぶからね。防御は理論武装」

「完全に子供の付き添いで来たモデルのお母さんじゃん……」

[水平線]

汐花 → ビーチバレー無双&かき氷3杯チャレンジ

「うおー!勝てば焼きそば無料ー!!」

条兎 → 一人で岩場を観察&ビーチチェアで読書

「……ウニいる。ウニってこんな雑にいるんだ……」

弥生 → 貝殻採集&防水メモ帳で化学構造式描く

「この色、カルシウムの結晶構造と関係あるかも……」

3人バラバラのようで、でも気づくとすぐ近くにいる。

その空気感が、“居心地のいい”証拠だった。
[水平線]

午後。
海を見ながら、条兎は一人、岩に腰掛けていた。

「……なんか、置いてきぼりな気分だな」

賑やかな砂浜の声。
笑い合う汐花と弥生の姿。

「みんな、ちゃんと楽しそうで……なんか、俺だけ浮いてるような」

そこに、音もなく弥生が隣に座る。

「……人混み、嫌だった?」

「違う。なんか、うまく混ざれない感じ」

弥生は静かに答えた。

「でも、あえて"浮いてる"選択をしてるようにも見えたよ。
誰かと同じになれなくても、違うことを恐れなきゃいいと思う」

「……うん、そうかもな」

「私も似たようなこと、思ってた。みんなで来てるのに、気づくと観察ばっかしてるなって」

その時。

「なに2人でしっとりしてんの!!」

汐花がずぶ濡れのまま突撃してきた。

「こら!!しんみり禁止!!」

「……いきなり来るな!服が!!冷たい!!」

「よし、じゃあ3人で泳ぐよ!今から強制!!」
「観察も、分析も、ひとまずおあずけ!」

弥生が笑って頷いた。

「……強制、ね。まあ、今日くらいはそれでもいいか」
[水平線]
帰り道。
オレンジ色の夕陽が、3人の影を長く伸ばしていた。

誰もしゃべらない。
けど、足音と、笑った記憶と、心地よい疲れだけがあった。

汐花が、ふと立ち止まって言う。

「なんかさ、うちら、バラバラなとこ多いけどさ――
バラバラだからこそ、一緒にいる意味あるんだと思う」

弥生が、少し驚いたように見つめて、

条兎が、小さく頷いた。

「……たしかに、“同じじゃない”って、悪くないかもな」

「でしょ~~?さすが私~~~!!」

「結論を奪っていくな……!」

その笑い声が、波の音に混ざって、遠くまで響いた。
[水平線]
帰りの電車、窓に反射した3人の顔。

汐花は爆睡、弥生はイヤホンで音楽、条兎は静かに海の写真を眺めていた。

違う過ごし方。違う表情。
でもそれが、“とりぷるふーるず”だった。

[太字]同じ空間にいることを、選び続ける3人[/太字]

海の記憶は、静かに胸の奥に刻まれていた。

作者メッセージ

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2025/06/20 08:36

明け他人(枯花) ID:≫ 6ybA8nH1Vyj8g
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