ハツコイDaily〜ちっちゃな想いのカケラ〜
何事もなく終了した朝の会。
ぱっと見だけど、クラスメイトの人たちもそんな悪い感じには見えないし、むしろ社交的で明るい人が多そうで、少し安心した。
時間割表に目をやると、一時間目は理科と記されている。早速移動教室かと少し面倒な気持ちが押し寄せた。
そういえば、先生にまだ理科の教科書もらってないや.....
理科は担当の先生が変わる為、クラスの担任の先生はさっそうと職員室へ戻っていってしまった。
そしてわたしは、ひとつの事実に気がついた。
六年二組の担任の先生、死ぬほど気が利かない...!
人当たりの良さそうな先生に見えたけど、気が利かないとかいうかなりの致命的な人格だったようだ。
......クラスメイトの子たちは、何人かのグループに固まって、もうすでに移動を始めている。
わたしも移動しなくちゃ....!でも、先に担任の先生に教科書をもらいにいかなきゃだよね......
なんだかそんな小さな出来事ひとつで、この先が一気に真っ暗になったような気がした。
.......6年生、もういいもん!!
どーせわたしはずっと一人ぼっちのままだもん...友達できないもん、先生にも気遣ってもらえないんだもん.....
自分で勝手に思って、自分で勝手に泣きそうになる。
[太字]少し学校に登校するのが遅れただけで...少しスタートが遅れただけで、わたしには友達ができないの...?[/太字]
なんだかそれが、悔しかった。自分がもっと早くに登校したかったとか、そういうのではなくて。
こんな思いをしている人が、わたしの他にもいるという事が悔しいんだ。
周りに目をやると、クラスのほぼ全員が理科室へ移動している。
........これからもずっと...こうやって、友達ができないまま息苦しくなるのかな...
....怖い.......
すると隣から、声がかかった。
「.....教科書、まだもらってなかったりする?」
驚いて一気に首を90度回転させる。
そして目に映ったのは、すごくかっこいい容姿をした男の子だった。
「あ...えと、う、うん。」
「お前、どんだけ気遣われねえんだよ。」
わたしがそう言うと、秋葉が口を挟んできた。
......ったく、一言余計って何回言えば分かるの!!?
そんな秋葉に呆れながらも、わたしは職員室へ行こうか行かないでおこうかまだ迷っていた。
.....ん?....いや待てよ。逆に職員室に行く以外に選択肢はなくないか!!?
だって理科の先生が教科書持ってる!?どう考えても担任以外生徒の教科書配布事情とか知らないよね!!?ええ!?
ようやくその単純な事実に気がついた自分が恥ずかしくなって、わたしは思い切り椅子から立ち上がった。
そして涙ぐみながらも、隣の....速水だっけ。速水に小さく会釈をして、教室を飛び出した。
職員室の場所が曖昧なわたしをぶん殴りたくなったけど、今はそれどころではない。
________わたしは、速水が何か言おうとしていた事に気づかないまま教室を飛び出してしまった。
ただでさえ場所が曖昧なのだ、通常の倍以上の時間を職員室への移動時間へ費やしてしまうだろう。かといって聞けるような友達もいないから、やみくもに一階ずつ見ていくしかない。
その為にはもう猛ダッシュという選択しか、残されていなかった。
そしてそのまま廊下を走ろうとすると、大人びた声が響いた。
「あ、あのっ.....!」
わ、すっごい綺麗な声......
こんな声の子、この学校にいたっけ....?思わず振り向きたくなってしまったけど、それはタイムロスだ。
それが誰に向けての言葉なのかはわからなかったけど、自分ではない事は確かだったから、わたしはそのまま足を止めずに階段側へ向かう。
[太字][大文字]「浅乃、さん...!」[/大文字][/太字]
........え?
今誰かわたしの名前_____
そして振り向いた先には。
「あの....一緒に職員室、行こう.....!」
「......心、ちゃん....!?」
まさかの心ちゃんだった。
side 心
い、言った....!言ったよわたし....!
最初の段階で気づいてくれなかったから名前を呼んでみたけど、案の定とても驚いた表情をしている。
「......心、ちゃん....!?」
浅乃さんはそう言って、140cmあるかないかくらいの身長で、身長161cmもあるわたしを見上げていた。
[水平線]
「........」
『一緒に行こう!』
なんて、少しおこがましかったような気がする。
そりゃあまあ...知らないクラスメイトから急に話しかけられるのすらでも多少驚くと思うのに、加えて一緒に行こうなんて事言ってしまったら、警戒されても全くおかしくない。
自分に言い出したのにも関わらず、特に話す事もなくてお互いに黙り込んでしまった。
この雰囲気をどうにかしないと...!とは思うけれど、喉に言葉がつまってうまく出てこない。
「あの....わたしの事、覚えてたりするかな...?」
驚いて、勢いよく浅乃さんの方を向いてしまった。
え....どういうこと?わたしと浅乃さん、接点なんてあったかな....?
でも、そう聞くという事は何かわたしと浅乃さんの間で絡みがあったという事だ。
わたしが困ったように頭を抱えているのを見たのか、浅乃さんはふっと笑った。
「覚えてなかったらいいの...!というか、覚える程の関係じゃなかったから...それより、なんでわたしが職員室行くってわかったの..?」
あ..それは.....
「あ、浅乃さんが走って教室出ていくの見えてびっくりして...速水くんに聞いたら、多分職員室って言われて....」
.....はああ....待って今すぐ今の訂正したいやり直したい...
緊張して言葉に詰まってしまって、とぎれとぎれになってしまった。
「えそうだったの!?ごめんねこんなのに付き合わせちゃって...」
こんなのって....
こっちこそ、こんなわたしなんかと行くハメになってしまった申し訳無さで土下座したいくらいだ。
『そんな事ないよ』『むしろ浅乃さんと話せてすっごく嬉しいよ』
そう言いたかったけど、また、言葉がつまりうまく口からものが出てこなかった。
すると、『職員室』と記された看板が目にうつった。
.......もう、話せないのか....
せっかくいい感じの流れだったのに、なんだかさみしい。
浅乃さんは「付き合わせちゃってごめんね。授業遅れるから帰って大丈夫。」と言って、職員室の方へ足早に向かっていってしまった。
...待って、まだ、何か......
「浅乃さんの事、桃奈ちゃんって呼んでいい.....!?」
気づけばそう口にしていた。
浅乃さん.....いや、"桃奈ちゃん"は、一瞬驚いたカオをしていたけど、すぐにぶはっと吹き出して「いいよ」と笑って言った。
______その笑顔は、あの時と同じ笑顔だった。
ぱっと見だけど、クラスメイトの人たちもそんな悪い感じには見えないし、むしろ社交的で明るい人が多そうで、少し安心した。
時間割表に目をやると、一時間目は理科と記されている。早速移動教室かと少し面倒な気持ちが押し寄せた。
そういえば、先生にまだ理科の教科書もらってないや.....
理科は担当の先生が変わる為、クラスの担任の先生はさっそうと職員室へ戻っていってしまった。
そしてわたしは、ひとつの事実に気がついた。
六年二組の担任の先生、死ぬほど気が利かない...!
人当たりの良さそうな先生に見えたけど、気が利かないとかいうかなりの致命的な人格だったようだ。
......クラスメイトの子たちは、何人かのグループに固まって、もうすでに移動を始めている。
わたしも移動しなくちゃ....!でも、先に担任の先生に教科書をもらいにいかなきゃだよね......
なんだかそんな小さな出来事ひとつで、この先が一気に真っ暗になったような気がした。
.......6年生、もういいもん!!
どーせわたしはずっと一人ぼっちのままだもん...友達できないもん、先生にも気遣ってもらえないんだもん.....
自分で勝手に思って、自分で勝手に泣きそうになる。
[太字]少し学校に登校するのが遅れただけで...少しスタートが遅れただけで、わたしには友達ができないの...?[/太字]
なんだかそれが、悔しかった。自分がもっと早くに登校したかったとか、そういうのではなくて。
こんな思いをしている人が、わたしの他にもいるという事が悔しいんだ。
周りに目をやると、クラスのほぼ全員が理科室へ移動している。
........これからもずっと...こうやって、友達ができないまま息苦しくなるのかな...
....怖い.......
すると隣から、声がかかった。
「.....教科書、まだもらってなかったりする?」
驚いて一気に首を90度回転させる。
そして目に映ったのは、すごくかっこいい容姿をした男の子だった。
「あ...えと、う、うん。」
「お前、どんだけ気遣われねえんだよ。」
わたしがそう言うと、秋葉が口を挟んできた。
......ったく、一言余計って何回言えば分かるの!!?
そんな秋葉に呆れながらも、わたしは職員室へ行こうか行かないでおこうかまだ迷っていた。
.....ん?....いや待てよ。逆に職員室に行く以外に選択肢はなくないか!!?
だって理科の先生が教科書持ってる!?どう考えても担任以外生徒の教科書配布事情とか知らないよね!!?ええ!?
ようやくその単純な事実に気がついた自分が恥ずかしくなって、わたしは思い切り椅子から立ち上がった。
そして涙ぐみながらも、隣の....速水だっけ。速水に小さく会釈をして、教室を飛び出した。
職員室の場所が曖昧なわたしをぶん殴りたくなったけど、今はそれどころではない。
________わたしは、速水が何か言おうとしていた事に気づかないまま教室を飛び出してしまった。
ただでさえ場所が曖昧なのだ、通常の倍以上の時間を職員室への移動時間へ費やしてしまうだろう。かといって聞けるような友達もいないから、やみくもに一階ずつ見ていくしかない。
その為にはもう猛ダッシュという選択しか、残されていなかった。
そしてそのまま廊下を走ろうとすると、大人びた声が響いた。
「あ、あのっ.....!」
わ、すっごい綺麗な声......
こんな声の子、この学校にいたっけ....?思わず振り向きたくなってしまったけど、それはタイムロスだ。
それが誰に向けての言葉なのかはわからなかったけど、自分ではない事は確かだったから、わたしはそのまま足を止めずに階段側へ向かう。
[太字][大文字]「浅乃、さん...!」[/大文字][/太字]
........え?
今誰かわたしの名前_____
そして振り向いた先には。
「あの....一緒に職員室、行こう.....!」
「......心、ちゃん....!?」
まさかの心ちゃんだった。
side 心
い、言った....!言ったよわたし....!
最初の段階で気づいてくれなかったから名前を呼んでみたけど、案の定とても驚いた表情をしている。
「......心、ちゃん....!?」
浅乃さんはそう言って、140cmあるかないかくらいの身長で、身長161cmもあるわたしを見上げていた。
[水平線]
「........」
『一緒に行こう!』
なんて、少しおこがましかったような気がする。
そりゃあまあ...知らないクラスメイトから急に話しかけられるのすらでも多少驚くと思うのに、加えて一緒に行こうなんて事言ってしまったら、警戒されても全くおかしくない。
自分に言い出したのにも関わらず、特に話す事もなくてお互いに黙り込んでしまった。
この雰囲気をどうにかしないと...!とは思うけれど、喉に言葉がつまってうまく出てこない。
「あの....わたしの事、覚えてたりするかな...?」
驚いて、勢いよく浅乃さんの方を向いてしまった。
え....どういうこと?わたしと浅乃さん、接点なんてあったかな....?
でも、そう聞くという事は何かわたしと浅乃さんの間で絡みがあったという事だ。
わたしが困ったように頭を抱えているのを見たのか、浅乃さんはふっと笑った。
「覚えてなかったらいいの...!というか、覚える程の関係じゃなかったから...それより、なんでわたしが職員室行くってわかったの..?」
あ..それは.....
「あ、浅乃さんが走って教室出ていくの見えてびっくりして...速水くんに聞いたら、多分職員室って言われて....」
.....はああ....待って今すぐ今の訂正したいやり直したい...
緊張して言葉に詰まってしまって、とぎれとぎれになってしまった。
「えそうだったの!?ごめんねこんなのに付き合わせちゃって...」
こんなのって....
こっちこそ、こんなわたしなんかと行くハメになってしまった申し訳無さで土下座したいくらいだ。
『そんな事ないよ』『むしろ浅乃さんと話せてすっごく嬉しいよ』
そう言いたかったけど、また、言葉がつまりうまく口からものが出てこなかった。
すると、『職員室』と記された看板が目にうつった。
.......もう、話せないのか....
せっかくいい感じの流れだったのに、なんだかさみしい。
浅乃さんは「付き合わせちゃってごめんね。授業遅れるから帰って大丈夫。」と言って、職員室の方へ足早に向かっていってしまった。
...待って、まだ、何か......
「浅乃さんの事、桃奈ちゃんって呼んでいい.....!?」
気づけばそう口にしていた。
浅乃さん.....いや、"桃奈ちゃん"は、一瞬驚いたカオをしていたけど、すぐにぶはっと吹き出して「いいよ」と笑って言った。
______その笑顔は、あの時と同じ笑顔だった。