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今作は第1部「能力者たちの詩編歌」、第2部「希望に満てる知識欲」、第3部「誠と偽りの狂情曲」、第4部「真実、誠実の優等生」
の続編です。
まだそれらを見ていない人は、先にそちらをご覧いただけると話がわかりやすいと思います。
第1部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=1969&no=1
第2部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2089&no=1
第3部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2280#JumpTitle
第4部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2733&no=1
第5部→novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2975&no=1

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仁愛に今、決別の歌を。

#7

神威柳太




「吸血アクマが来たぞ!」



狭い教室にその声が響くと、一斉に笑いや雑談を止める。




静かにそこに足を踏み入れていく。




「あいつ、毎日頭から血をかぶってるんだぜ」


「色が両目で違うの、絶対悪魔の子供だからよ」


「あいつの家にはな、たくさんの人の生き血があるらしいぞ!」


「「「「「「「やだーっ、こわーいっ!」」」」」」」




俺はただの少年だった。



ヒーローごっこにあこがれて、猫が好きなただの少年だった。



でも、悲しいかな。



ヒーローみたいな能力をみんなが持ってる世界で。



俺はその能力に、異常にされた。


[水平線]



「なに、これ」



小学生のころ、友達が家に遊びに来たことがあった。




その時、必死に隠していたダンボールを見つけられてしまった。





…[太字]「等身弾幕」の媒体である、自身の血液の詰まったボトルの、


ぎっしりと詰められたダンボールを。[/太字]




その日から俺は、一転して悪者、汚れ、塵芥同然の扱いにまで堕落した。




「神威くん、こっちこないで」「血まみれ神威だ、いい加減髪洗えよ」「目まで血色なの?吸血鬼じゃん」「あ、吸血アクマ先輩だ!」「そのオレンジもいつか赤になるんだよね」「キバとか生えてるんじゃねえの?」「鏡見せろ鏡!眼の中の十字見て死ぬかもしれないぜ!」「マジ?持ってくるわ」「あたしの使ってよー。こいつ死ぬなら本望だし」「てゆーかさ、なんで学校来てるの?」「空気読めないの?」「誰からも好かれてないのわからないの?」「仕方ないよ、人間じゃないんだもん」「じゃあ仕方ないね、吸血アクマだもんね」「なんで皆と同じ土俵に立てると思ってるんだろう」「先生もかばわなくていいのにね。人殺しなんか」



もちろん俺は人なんか殺してない。


血も吸ってない。


あの血は、ただの俺の能力の弊害だ。


能力の都合上、定期的に血を抜かないといけないんだ。


誰かのものなんかじゃない。






それでも、子供というのは残酷だった。




俺というものはあっという間に、「最低な吸血アクマ」として定着し、
そのまま中学の3年間の幕開けを見ることになる。


[水平線]



中学になると、いじめはよりエスカレートした。




ある日は[漢字]宝探し[/漢字][ふりがな]物を隠され[/ふりがな]。




ある日は[漢字]間違い探し[/漢字][ふりがな]机を動かされ[/ふりがな]。




ある日は[漢字]イメージチェンジ[/漢字][ふりがな]服や靴を破り壊され[/ふりがな]。




そして、繁殖するテストに、俺はとにかく打ちのめされていた。




[水平線]


「柳太、小学生のころと比べてあきらかに成績が落ちてるけど・・・何かあったの?」



母の心配そうな声が、俺の心を撫でて傷つける。




神威「なんともないよお母さん。勉強が難しくてついていけないだけだと思う。…もっと頑張るよ」



「本当?最近、靴や制服もボロボロだし…何かされてるんじゃない?」



神威「…だから大丈夫だって!俺、ちゃんと友達いるよ!」



この間だって宝探ししたし…と心の中で皮肉を言って、その場を去った。




[水平線]




「神威さん、あなたこのままだとやばいですよ」



腹が立っていた。



神威「はーい…((」



成績は上がらない。仕方ないじゃないか、

ノートは買っても買っても、


書いても書いても、


水没させられるし破られるんだもの。



それなのに目の前の先生はそんな状況の生徒にも気づけない。



そんな先生にだったら迷惑かけていいでしょ。こっちもかけられてるんだ。



居残り、上等。




…と、まあこんな風に、俺はかなり心がすさんで、この悲惨な状況に慣れきっていた。



心の底では「おかしい」「助けてほしい」ともがいているも、



いつのまにやらこの世界にペタペタ適応してる俺だった。



苦しいときは「[漢字]見えてる世界が俺は他人と違う[/漢字][ふりがな]これにいちいち悲しむ方がおかしいんだ[/ふりがな]」と思って、それを正そうとしておいた。




心は確かに傷ついていた。


[水平線]




時はたった。中学3年、受験を控えた大事な時期。



もちろんいじめはなくなっていないどころかもはや犯罪レベルだ。



クラスメイトと顔を合わせるたびに足を蹴られて転ばさせられる。




お前はもう学校に来るな。



知らないところで勝手に終わっとけ。




そんな声が聞こえるように今日も蹴られる。




対して俺は…




神威「おはよう!鈴木君!おはよう!さよりさん!あ、ヘアピン変えた?似合ってるよ!」




一軍陽キャのようにすがすがしい姿で登校するようになった。




なんでか?




俺の思考回路は単純だった。




「明るく振舞えば、イメージを払拭できるかもしれない!」




と、いうわけで。




神威「うわー終わった、教科書忘れたー!ねえねえ、田中君見せてくれない?…だめ?だめかぁ…」



神威「あー!見つかったー!昨日なくしたペン!ゴミだと思って誰か捨てちゃったんだね!」



神威「机どこだっけ!?俺馬鹿だからわかんなくなっちゃった!…あ、そこだ!!」



悲しいことにいじめが消えることはなかったが、この作戦は別の方向に功を奏した。




勉強にやる気が出たんだ。




なにもされてない、平和な中学生になりきることで、勉強をする余裕も生まれた。


ノートがないなら買えばいい。筆箱が汚されたならキレイにすればいい。




なんだ簡単なことだったんだ!



苦労を隠した笑顔は俺には薄く汚れて見えるけど、それでも気はまぎれた。



[水平線]




そうして、勉強がなんとかなった俺は、一つの道を見出した。



「いい高校に入ってこいつらとオサラバしよう!」



そうなっては早かった。



過ぎ去っていく地獄の学校生活はほとんど記憶がない。




がむしゃらに勉強して、苦労をごまかして、勉強して、屈しない少年を演じて。




そして俺に、




高校生活が訪れた。

作者メッセージ

2話に分けるのさ

2025/03/21 23:41

おとうふ ID:≫ 3aqFVNFsPVo.c
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