二次創作
# 嫌われたので死んでみた .
見慣れた会社の休憩所。
一人で考えたい時はいつもここに来る。
珈琲をマグカップに注いで、シュガースティックの封を切って入れた。
「 ... もうそろそろ、かな 」
自分の指が、スマホの上で震える。
●●は僕の家のリビングで机に突っ伏して眠っている。
僕は●●にそっと自分の上着を肩にかけて、家を出てきた。
時計の長針は午後7時を指そうとしている。
まだメンバーは仕事中の時間で普段なら僕もパソコンに向かっているが、僕は●●から託された使命を果たすべく、全員が揃ったL!NEを開いた。
大きく深呼吸を一つ。
さっき珈琲を口に含んだはずなのに、喉はカラカラに乾いている。
自分で入力した文を何度も読み返して、とん と送信ボタンを押した。
『 急にごめん。少し話したいことがあるんだけど、会議室に集まって欲しい 』
普段付けている絵文字も、軽快なスタンプもない。
ただ短いメッセージを送った。
すぐにメンバーの一人から「どうしたの?」「何かあった?」と返信が来る。
僕は気づいていないフリをして、通知を眺める。
心臓が嫌な音を立てて波打つ。
数分後、5つの既読がつき、階段を降りる音とドアを開閉する音が聞こえてきた。
僕も続いて会議室に入る。
既に、一番に既読をつけたないちゃんと、別の会議終わりに寄ってくれたらしい初兎ちゃんが椅子に座って待機していた。
二人はいつもの和やかな雰囲気とは違い、表情に戸惑いや訝しげな色が浮かんでいた。
次々とメンバーが入室してきて、最後の一人がドアを閉める。
全員が揃ったのを確認し、一度視線を落とした。
「 みんな ... 」
声が震えた。
自分の声なのに、他人の声のように聞こえる。
( 一文だけ言えばいい ... 頑張れ、僕。 )
顔を上げ、一人一人の顔をまっすぐに見つめた。
彼らの瞳には、まだ何も知らない無邪気な心配が宿っている。
この瞬間から、彼らの世界は一変することも知らずに。
「 本当に、急な話なんだけど … 」
僕は、掌に爪が食い込むほど強く握りしめた。
「 ●●が、亡くなった 」
その言葉が、凍てついた刃のように空気を切り裂いた。