二次創作
# 嫌われたので死んでみた .
「ごちそうさまでした!」
胸の前で手を合わせ、彼の作ってくれた食事に感謝を伝える。
食べ終えた皿をシンクに入れ ふと普段の癖でスマホを手に取った。
横についた電源を親指で押すと、Xのアイコンと共に『100件+の通知があります』と表示されたロック画面。
きっと 私の既読無視に気づいたメンバー達が怒涛の追いLINEでもしているんだろう。
それとも 私の炎上を面白がって拡散する暴露系YouTuberとやらがいるんだろうか。
いつでも最速を目指していた私たちは、伸び悩む同業者からすれば目の敵だったから。
少しボロが出れば、すぐにでもリプライして食いついて、炎上させる。
だからこそ、私たちに炎上は禁物だった。
… どちらにしろ今の私には関係ないものだ。
スマホを裏返し、抽出が終わった珈琲のカップとポットを持ってきて、いむくんの向かいへ座った。
彼が両手で持って眺めていたスマホの電源を切り、横に置く。
「 ... あのさ、○○、いや●●。」
「なにー?」
食後の珈琲をカップへ注ぎながら答える。
「 メンバーが、その ……… ●●に会わせろ って。 」
「 ... 」
私は何も言わない。
ことんと音を立ててポットを置き、カップを彼に渡した。
「 ●●が嫌なら、僕が代わりに謝って、●●とは会えないって言うよ 」
カップに軽く口をつけ、少し啜ってテーブルに置く。
「 …… [小文字]裏切り者には"制裁"を 。[/小文字] 」
「 ●●…?ごめんよく聞こえなかったからもういっか__ ッ ! 」
彼の開きかけた口へ そっと指を添える。
「 なんでもないよ、いむくん 」
少しだけぎこちない笑顔を、彼へ向けたけど気づいてないようだった。
彼はばっと顔が赤くなり、「珈琲冷めちゃったから新しいの淹れてくるッ!! 」と大急ぎでキッチンへ顔を隠してしまった。
「 さて、と… 」
「一仕事しますかね [小文字]♩[/小文字]」
覚悟を決めた私は、早速仕事用パソコンに向かい、カタカタと入力を始めるのであった。