お忍びで出かけるので、地味な服装にした。そして誰にもばれないよう時間を調整しておいた。これでばれないだろう。
ところどころ治安が悪い所があるが、　桜並木辺りはよく管理されているため、安心して歩ける。桜の色と行灯の落ち着く色がだんだん増えてきたところで階段が出てきた。
上りきると、そこには用十がいた。
「すみません。遅くなってしまい。」
「いえいえ。わざわざありがとうございます。」
「こちらお礼の品です。貧相な物ですみません。」
「いっいえいえ、これ、皇室御用達のお菓子じゃないですか。」
「はい。命を救っていただいた方にはこれぐらいでないとではありませんか？」
(やっぱ金持ちは感覚が違う)
「あの用十様は風院からでできたので従業員なのですか？」
「まあ、はい。でも下男として雇ってもらってはいますが、ほんとに貧しい農家の家なので。」
「そうだったのですね。」
「あっあそこ星が綺麗に見えてますよ。」
「本当だ。綺麗！用十様、あそこに座りませんか。よく星が見えると思いますよ。」
「そうですね。」



しばらく星を見ながら話しを弾ませ、2人は肩を寄せ合った。