華族は今日も華散らす
見合いを終え、帰ってくると、慌てて着替え外へ飛び出した。
必死に必死にあの桜並木の場所へ走った。
「はぁはぁ」
息切れしながらも走る。そのうちに、疲れも忘れて、用十に会いたい。その思いで走り続けた。
階段を駆け上がると、見慣れた人影。用十が居た。
「翠子様、そんなに慌てられてどうしましたか?」
いつもの調子で話しかける用十に、声を絞り出して答えた。
「今日、見合いがあったんです。そして…口付けを[漢字]され[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]ました。」
少し寂しげな表情を見せ、すぐに表情を整え、いつも通り用十が言う。
「仕方がないことですね。まず華族の方と、添い遂げようとするなんて、無理な話ですもんね。でも…」
「でも?」
「本当のことを言うと、ずっと翠子様と添い遂げたいと…心のどこかで、無理だとわかっていても。」
「私もずっとそう思っていました。だから、用十とは[漢字]来世[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]で、一緒になりましょう。」
「えぇ。」
後日、桜並木近くの池で華族の石川翠子、庶民の高井用十が水死体で発見された。
もうその時には桜は散っていた。
必死に必死にあの桜並木の場所へ走った。
「はぁはぁ」
息切れしながらも走る。そのうちに、疲れも忘れて、用十に会いたい。その思いで走り続けた。
階段を駆け上がると、見慣れた人影。用十が居た。
「翠子様、そんなに慌てられてどうしましたか?」
いつもの調子で話しかける用十に、声を絞り出して答えた。
「今日、見合いがあったんです。そして…口付けを[漢字]され[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]ました。」
少し寂しげな表情を見せ、すぐに表情を整え、いつも通り用十が言う。
「仕方がないことですね。まず華族の方と、添い遂げようとするなんて、無理な話ですもんね。でも…」
「でも?」
「本当のことを言うと、ずっと翠子様と添い遂げたいと…心のどこかで、無理だとわかっていても。」
「私もずっとそう思っていました。だから、用十とは[漢字]来世[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]で、一緒になりましょう。」
「えぇ。」
後日、桜並木近くの池で華族の石川翠子、庶民の高井用十が水死体で発見された。
もうその時には桜は散っていた。