孤独な一匹狼くん、現在孤立中のうそぎゃるちゃんが大好きすぎる件。
「.....で?うた。お前何考えてんの?」
いずみくんは、真顔でそんな事を聞いてきた。そして、この姿のわたしを観察するように見つめてくる。
入学式もすでに終了しており、人が段々と減っていく中、わたしといずみくんは2人、この場に最も似合わないと言っても過言ではないような雰囲気で言葉を交わしていた。
「な、何考えてんのって言われても....」
いずみくんは、わたしが到底似合わないような"ギャル"の姿をしているからそんな事を聞いている。
....でもそんなの、理由なんてたった1つしかない。
_____いずみくんに、可愛く思われたいから....
小さい頃から家が隣同士で、幼稚園・小学校・中学校ともに同じ学歴を歩んできたわたしといずみくん。
幼稚園の頃は、いずみくんとは普通の友達だった。
けど、小3年生の頃。わたしは当時、いじめやすかったのかなんなのかわからないけど、よく男の子たちに嫌がらせやちょっかいを出されていた。
うざったくてありゃしなくて、それはもう地獄の日々。
そんな時に助けてくれたのが、いずみくんだった。
『キーホルダーが、ないの......』
『待ってろ、俺が探してきてやる。』
どんどん嫌がらせがエスカレートして、間違えて持ってきてしまった大事なキーホルダーを隠されてしまった事が引き金。
実はその当時、女の子ともうまくやれていなくて、仲のいい子がいなかった。
だから、本当に頼れる人がいない状態。怖くて怖くて、仕方がなかった。
だけどそんな時、声をかけてくれたのがいずみくんだった。
『....これか?教卓裏にあった。』
『そ、それ.....!いずみくん...見つけてくれてありがとうっ....』
そして家に帰ってから、わたしはその一例の出来事をお母さんにすべて話した。
お母さんはしばらく考えたあと、わたしに「明日からはメガネをかけ髪は三つ編みに結う事」と言った。
どうしてメガネ?三つ編み?と疑問に思ったけど、なぜか翌日からは男の子からの嫌がらせがなくなって。
おまけに女の子からも話しかけてもらえるようになって、少しうれしくなった。
その格好を中学まで続けてきて、中3の終わりごろ、わたしはとんでもない事実に気づいた。
この格好、ちょっとダサくないかな....?って。
でもこの格好はお母さんリスペクトのものだから、お母さんに真相を聞くのが手っ取り早い。
....と思って、お母さんに「この格好って正解なの...?」と聞くと、お母さんは嬉しそうにわたしを抱きしめた。
『まあ〜〜!ようやく気づいたのね!いい?高校からは、メガネもとって髪はおろして行くことよ!はあ、うちの詩の"ギャルスタイル"も早くみたいわ〜!』
......という具合で、今の状態が完成している。
正直あのときのお母さんが言ってた事は未だちょっと理解できないけど、実はあの時の事件を引き金に、わたしはいずみくんの事が好きになっていた。
だから高校生からはまだ可愛い感じになったわたしを見てほしくて....と、軽くお母さんからのその条件を容認した。
.....今、いずみくんすんっごい形相でわたしの事見てるから、結局これが正解なのかもわからないんだけど...
でもさっき、いずみくんわたしの事「かわいい」って言ってたよね...!?
.....少しでも、いずみくんの横が似合う女の子になれればいいなあ....
「うた、聞いてる?」
ずいっと、いずみくんの綺麗な顔が押し寄せてきて我に返った。
「わっ.....え、えっと....どうしたの....?」
「........はあ、ごめんちょっと無理.....」
「え....なにが_______
わたしが言葉を言いかけた時、わたしの体をふわりと何かが覆った。
[太字][大文字]「もっかい言う。うた、かわいすぎる。」[/大文字][/太字]
「......ふ、ぇ....?」
驚いて、口からよくわからない声が出た。
......さ、さっきも聞いたよそれ...!!
ぼわっと、顔が蒸発しそうなくらいあつい。
[小文字]「...俺もちゃんと本気でぶつかんねーと、すぐとられる....」[/小文字]
.....今、いずみくんなんか言った....?
そしてそんな事を考える暇もなく、次から次へといずみくんは言葉を口にする。
「俺、一生うたの事誰にも触れさせるつもりないから。」
.....いずみくん!!?
でもとにかく、いずみくんはこの姿のわたしが嫌いというわけではなさそうで、わたしは少しだけ安心した。
それにしても、今日のいずみくん大丈夫かな、いつもなら絶対言わない言葉ランキング第一位くらいの「かわいい」って言葉を何回も言ってたけど....
どきどきと、安心と、これからへの期待と不安で、胸がパンクしそうだった。
「うた、ほんとに好き。」
どうしてかわかりませんが、何やら今日のいずみくんはおかしいです。
side 和泉
[漢字]柊[/漢字][ふりがな]ひいらぎ[/ふりがな][漢字]和泉[/漢字][ふりがな]いずみ[/ふりがな]。高1。
今日は、母親と一緒に入学式へ来ていた。
死ぬほどめんどくさくてだるかったけど、いざ式へ来てみると、その思いが一転した。
________うたが居たんだ。
ずっと後悔していたんだ、なんでうたに志望校をしっかりと聞き出さなかったのかと。
俺は、出逢った時からうたの事が好きだった。
それは小学校に入学しても、中学校へ入学しても、なんなら今現在高校へ入学しても全く俺から詩への想いは変わらないままで。
そしてこの高校でうたの姿を見た時は、嬉しさと同時に不安も浮かんできた。
何を思ったのかは知らないが、なぜかうたが小学校中学校ではかけていたメガネと三つ編みをやめて、メガネは外し髪も三つ編みに結うのではなくきれいになびかせていた。
驚いて二度見してしまったが、変わらないうたのその姿。
うたはこの世の誰よりもかわいすぎるから、すぐに知らないやつらから勝手に好かれるんだろう。想像しなくても、目に浮かんできた。
今すぐ独り占めしたい思いと、このまま変わらない関係性を紡いで仲良くしていきたいという思い。どちらも本心で、どちらも選びたくなかった。
......でも、思ってる事を伝えるくらいはいいんじゃないか。
想いを伝えれば、何かが変わってしまうかもしれない。幻滅されるかもしれない。挙句の果てには絡みさえなくなってしまうかもしれない。
けど、このまま何も言わずにうたを知らない輩に奪われてしまう事の方が、俺は怖くて怖くてたまらなかった。
「うた、ほんとに好き。」
そのまま流れるようにして、俺はうたに思ってる事を伝えた。
.....まあ、当の本人は今なにがおこってるのかわかってないみたいだけど.....
そんなとこも好きだ、と俺は改めて思った。
まあでも今はとりあえず、うたから意識してもらえるようになればはなまる満点だ。
.....とにかく地道な努力を続けよう。
でもうたは鈍感だからな...まだまだ、先は長いようだ。
いずみくんは、真顔でそんな事を聞いてきた。そして、この姿のわたしを観察するように見つめてくる。
入学式もすでに終了しており、人が段々と減っていく中、わたしといずみくんは2人、この場に最も似合わないと言っても過言ではないような雰囲気で言葉を交わしていた。
「な、何考えてんのって言われても....」
いずみくんは、わたしが到底似合わないような"ギャル"の姿をしているからそんな事を聞いている。
....でもそんなの、理由なんてたった1つしかない。
_____いずみくんに、可愛く思われたいから....
小さい頃から家が隣同士で、幼稚園・小学校・中学校ともに同じ学歴を歩んできたわたしといずみくん。
幼稚園の頃は、いずみくんとは普通の友達だった。
けど、小3年生の頃。わたしは当時、いじめやすかったのかなんなのかわからないけど、よく男の子たちに嫌がらせやちょっかいを出されていた。
うざったくてありゃしなくて、それはもう地獄の日々。
そんな時に助けてくれたのが、いずみくんだった。
『キーホルダーが、ないの......』
『待ってろ、俺が探してきてやる。』
どんどん嫌がらせがエスカレートして、間違えて持ってきてしまった大事なキーホルダーを隠されてしまった事が引き金。
実はその当時、女の子ともうまくやれていなくて、仲のいい子がいなかった。
だから、本当に頼れる人がいない状態。怖くて怖くて、仕方がなかった。
だけどそんな時、声をかけてくれたのがいずみくんだった。
『....これか?教卓裏にあった。』
『そ、それ.....!いずみくん...見つけてくれてありがとうっ....』
そして家に帰ってから、わたしはその一例の出来事をお母さんにすべて話した。
お母さんはしばらく考えたあと、わたしに「明日からはメガネをかけ髪は三つ編みに結う事」と言った。
どうしてメガネ?三つ編み?と疑問に思ったけど、なぜか翌日からは男の子からの嫌がらせがなくなって。
おまけに女の子からも話しかけてもらえるようになって、少しうれしくなった。
その格好を中学まで続けてきて、中3の終わりごろ、わたしはとんでもない事実に気づいた。
この格好、ちょっとダサくないかな....?って。
でもこの格好はお母さんリスペクトのものだから、お母さんに真相を聞くのが手っ取り早い。
....と思って、お母さんに「この格好って正解なの...?」と聞くと、お母さんは嬉しそうにわたしを抱きしめた。
『まあ〜〜!ようやく気づいたのね!いい?高校からは、メガネもとって髪はおろして行くことよ!はあ、うちの詩の"ギャルスタイル"も早くみたいわ〜!』
......という具合で、今の状態が完成している。
正直あのときのお母さんが言ってた事は未だちょっと理解できないけど、実はあの時の事件を引き金に、わたしはいずみくんの事が好きになっていた。
だから高校生からはまだ可愛い感じになったわたしを見てほしくて....と、軽くお母さんからのその条件を容認した。
.....今、いずみくんすんっごい形相でわたしの事見てるから、結局これが正解なのかもわからないんだけど...
でもさっき、いずみくんわたしの事「かわいい」って言ってたよね...!?
.....少しでも、いずみくんの横が似合う女の子になれればいいなあ....
「うた、聞いてる?」
ずいっと、いずみくんの綺麗な顔が押し寄せてきて我に返った。
「わっ.....え、えっと....どうしたの....?」
「........はあ、ごめんちょっと無理.....」
「え....なにが_______
わたしが言葉を言いかけた時、わたしの体をふわりと何かが覆った。
[太字][大文字]「もっかい言う。うた、かわいすぎる。」[/大文字][/太字]
「......ふ、ぇ....?」
驚いて、口からよくわからない声が出た。
......さ、さっきも聞いたよそれ...!!
ぼわっと、顔が蒸発しそうなくらいあつい。
[小文字]「...俺もちゃんと本気でぶつかんねーと、すぐとられる....」[/小文字]
.....今、いずみくんなんか言った....?
そしてそんな事を考える暇もなく、次から次へといずみくんは言葉を口にする。
「俺、一生うたの事誰にも触れさせるつもりないから。」
.....いずみくん!!?
でもとにかく、いずみくんはこの姿のわたしが嫌いというわけではなさそうで、わたしは少しだけ安心した。
それにしても、今日のいずみくん大丈夫かな、いつもなら絶対言わない言葉ランキング第一位くらいの「かわいい」って言葉を何回も言ってたけど....
どきどきと、安心と、これからへの期待と不安で、胸がパンクしそうだった。
「うた、ほんとに好き。」
どうしてかわかりませんが、何やら今日のいずみくんはおかしいです。
side 和泉
[漢字]柊[/漢字][ふりがな]ひいらぎ[/ふりがな][漢字]和泉[/漢字][ふりがな]いずみ[/ふりがな]。高1。
今日は、母親と一緒に入学式へ来ていた。
死ぬほどめんどくさくてだるかったけど、いざ式へ来てみると、その思いが一転した。
________うたが居たんだ。
ずっと後悔していたんだ、なんでうたに志望校をしっかりと聞き出さなかったのかと。
俺は、出逢った時からうたの事が好きだった。
それは小学校に入学しても、中学校へ入学しても、なんなら今現在高校へ入学しても全く俺から詩への想いは変わらないままで。
そしてこの高校でうたの姿を見た時は、嬉しさと同時に不安も浮かんできた。
何を思ったのかは知らないが、なぜかうたが小学校中学校ではかけていたメガネと三つ編みをやめて、メガネは外し髪も三つ編みに結うのではなくきれいになびかせていた。
驚いて二度見してしまったが、変わらないうたのその姿。
うたはこの世の誰よりもかわいすぎるから、すぐに知らないやつらから勝手に好かれるんだろう。想像しなくても、目に浮かんできた。
今すぐ独り占めしたい思いと、このまま変わらない関係性を紡いで仲良くしていきたいという思い。どちらも本心で、どちらも選びたくなかった。
......でも、思ってる事を伝えるくらいはいいんじゃないか。
想いを伝えれば、何かが変わってしまうかもしれない。幻滅されるかもしれない。挙句の果てには絡みさえなくなってしまうかもしれない。
けど、このまま何も言わずにうたを知らない輩に奪われてしまう事の方が、俺は怖くて怖くてたまらなかった。
「うた、ほんとに好き。」
そのまま流れるようにして、俺はうたに思ってる事を伝えた。
.....まあ、当の本人は今なにがおこってるのかわかってないみたいだけど.....
そんなとこも好きだ、と俺は改めて思った。
まあでも今はとりあえず、うたから意識してもらえるようになればはなまる満点だ。
.....とにかく地道な努力を続けよう。
でもうたは鈍感だからな...まだまだ、先は長いようだ。