少年は祭壇を目にすると、ゆっくりと近づいていった。
少年が一歩歩くごとに、空気が震えるのが感じられた。
祭壇は少年が近づいてくることを警戒しているようだ。
それに気付いた少年は足を止め、祭壇を観察し始めた。
少年が立ち止まった時、祭壇から光が漏れ始めた。
その光は祭壇のあちこちから吹き出し、そして静かに消えた。
祭壇にはその跡がくっきりと残されていた。
光が収まると、祭壇には太陽のような紋様が刻まれていた。
少年はそれが洞窟の紋様と同じであることに気づいた。
だが少年は祭壇にばかり集中して、周囲の警戒を怠ってしまった。
少年は壁に刻まれた文字の存在に気付いていなかった。
そして少年は文字が動き始めてようやく悟ったのだ。
この部屋は祭壇のための部屋ではないことを。