私は幼い頃、ゆで卵が好きだった。ある日、両親は結婚記念日で2人でレストランに行ってしまった。私は用意されていた食事を食べたが、それでもお腹がすいていた。そこで、ふと思った。ゆで卵が食べたい、と。しかし私は親がゆで卵を作るところを見たことがなかった。でも、私は電子レンジで物を温めることが出来ることは知っていたため、生の卵を6個ほど電子レンジに投げ込み、適当にボタンを押した。
2秒後、電子レンジが爆発し、卵は消し炭になった。私の期待はわずか2秒で粉砕された。私は信じられず消し炭を口に入れた。吐いた。当たり前だ。よく見ると粉々になった電子レンジが激しく燃えていることに気づいた。私はありったけのペットボトルの水をかけたが、誤ってごま油をかけてしまい、家は火の海になった。私は家から避難し、119番通報したが、消防車が来たのは2時間後であった。消防署が火事になったからだという。知るか。
結局、家はなくなった。両親が発狂する中、私はただ無を感じた。期待も砕かれ、家もなくなるという大惨事に感情が追い付かなかったのだ。その後、私の家は自転車保険にしか入っていなかったが、自転車も全焼したため、保険金がおり、なんとか家を建て直すことができた。
私はそれ以降ゆで卵が嫌いになった。