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ツギハギ短編物語

#3

最初村の魔王様

 村に着いた。

 最初の村だ。たぶん。

 木の家、井戸、畑、そして掲示板。
 RPG的に安心する景色。

 だが掲示板の内容が不穏だった。

【魔王さま : 本日も畑を耕してくださいました】
【魔王さま : 井戸の修理ありがとうございました】
【魔王さま : 子どもと遊んでくれて感謝】

「……は?」

 僕は看板を二度見....
いや、三度見した。

 そのとき、後ろから声がする。

「旅の方ですか?」

 振り向くと、角の生えた男が鍬を持って立っていた。
マント着用。威厳あり。オーラは出てないが、どう見てもラスボスの外見。

 だが笑顔が近所のお兄さん。

「畑、踏まないでくださいね。昨日整地したばかりなので」

「あっすみません」

 思わず謝った。
 気づかぬうちに入ってしまっていたようだ。

 村人が寄ってくる。

「魔王さま、この人たぶん勇者です!」
「ついに来たのか…!」
「家の壺を隠せ!!」

「待って僕、何もしてない」

 その瞬間、足元に宝箱を見つける。

 反射で開けた。

 パンが入ってた。

「「「やっぱりーー!!」」」

 村人が悲鳴をあげる。

「それ。非常食です!」
「三日分のです!」
「魔王さまが焼いてくれたのに!」

「ごめん」

 魔王が優しく僕の肩に手を置く。

「勇者様、落ち着いてください。ここはダンジョンではありません」

 そのとき、近くの壺に肘が当たる。

 割れた。

 静寂。

 その直後、子どもが泣き出す。

「あー……えっと……」

 魔王がしゃがんで破片を集める。

「大丈夫ですよ。形あるものはいずれ壊れますから」

 人格者だ。

 村人たちが俺を見る目だけが冷たい。

 掲示板に新しい紙が貼られる。

【本日の村の被害:勇者】

「僕がモンスター扱い!?」

 魔王は苦笑する。

「勇者とは本来、世界を変える存在ですからね」

「フォローになってない」

 夕日が沈む。

 僕は村の外に立たされていた。

 門が閉まる。

 内側から声がする。

「次の村へお願いします」

 世界を救うことになるかもしれない、旅が始まった。

 たぶん、悪評と共に。

作者メッセージ

RPGの勇者って客観的に見たら悪いやつですよね!!

2026/02/26 07:35

あるてま ID:≫ 95Gttt9074/iQ
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