二次創作
【文スト二次/リクエスト可/質問受付中】道化のラプソディア
青白い空が、横浜の上空に広がっていた。
ルイスを除いた太宰と中也は、不承不承としつつも捜査を開始した。
太宰と中也の間には約五mの間が空いていた。その間を埋めるようにルイスが間に入って歩く。
「……おい。」
「なぁに?中也。」
「何処に向かってんだよ。」
黙ってそのまま歩いた。静寂とした時が流れる。
「おい?」
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]も分からないわ。治に聞いて頂戴。」
中也は心底厭そうな顔をして溜め息をついた。そして同じように声を掛ける。
「なァ、おい。どこに行くかぐらい教えやがれ。」
前方を歩く太宰は後ろも振り向かずに数歩歩いて口を開いた。
「いやあいい天気だなあ。いい天気すぎて妖精さんの声が聞こえるなあ。」
「巫山戯んな。俺の声だ。」
太宰はやっと振り返った。
「嗚呼、君、いたの。悪いけど話しかけないでくれる?一寸今呼吸で忙しいから。」
「首引っこ抜くぞ包帯野郎。そうじゃなくて、何処に向かってるか答えろ、つってんだよ。」
「答えるから近寄らないでくれる?連れだと思われたくない。」
「心配すんな俺も思われたくねえから。」
ずいと、ルイスを通り越して顔を間近に近づけた。
「うふふ。気が合うねえ。そんな君が大好きだよ!」
「うわ、やめろ‼気色悪くて死ぬ!」
「……うん、僕も気持ち悪くて死ぬかと思った。」
太宰は後悔の表情で呻いた。
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]、蚊帳の外ね。仲間外れにするんなら、森センセにチクっちゃうわよ。その暁には…ね!」
「はいはい、仲良し仲良し。……で、今向かってる場所だっけ?これから向かうのは調査だよ。爆発を一番間近で目撃した人間に聞き込みに行く。」
「聞き込みだと?面倒だな……敵を締め上げて吐かせて終わり、って話にゃなんねえのか?」
「「なるわけないでしょ。」」
太宰は嫌悪の顔で、ルイスはドン引きした顔で同時に答えた。中也が少し怯む。
「……だ、第一、何で爆発なんか調べるんだよ。調べるなら先代の目撃情報だろ?」
太宰は中也の顔をしばらく眺めた後、口を開いた。
「追うべきは先代の噂じゃなく、『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』本体の噂だからだよ。」
「よみがえった先代が異能による偽装だとしたら、異能者本人が『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』の役回りを演じてるってことになるのよ。」
太宰が続けようとした言葉をルイスが引き継ぐ。太宰は文句をたれようとしたが、蚊帳の外にし続けるとどうなるか分からないため、しょうがなく黙った。
「嗚呼、どんなに完璧な偽装をする犯人でも、呼吸し食事し生活するのは避けられない。そっちを追うんだ。」
中也は顔をしかめた。
「だが……『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』の噂なら、『羊』」
「の仲間が散々調べてる……ね。」
二人はルイスを見た。
「先読みするな…かしら?」
太宰はため息をついた。こうなったルイスと口論をしたとしても全て先読みされる。
諦めて、太宰は中也ににやりと笑った。
「いくら『羊』の噂好きさん達でも、話を聞けない相手ってのはいるものだよ。」
正面を向き、再び歩き始めながら云った。
「一週間前、僕達が経験したのと同じ爆発が起きていた。場所も同じ、擂鉢街でだ。先代そのものの姿は目撃されてなかったから気付くのが遅れたけど、恐らく僕たちが負ってる事件と同じものが原因だろう。其の爆発の生存者に話を訊きに行く。」
「生存者ってことは……」
「死人が出たのかしら?」
「……嗚呼、マフィアの一団だ。生き残った人は異能者でね、君も既に会っている人物だよ。この先に自宅があって、そこで話を聞く約束を――」
太宰が路地の先を指差した時――呼応するように、その方角から轟音が鳴り響いた。
「はあ⁉」
「た~まや~!」
中也は驚いて轟音の方を見た。ルイスはルイスでよく分からない反応をしている。
「……あー。今のは爆発の音だね。」
太宰は面倒そうな顔をした。
爆発のあった屋敷らしい場所から、黒い煙が上がる。銃声も微かに届いてくる。
「おいおい。あそこに話を聞きに行くんじゃねえのかよ?」
「犯人に先を越されちゃったわね。」
「おっとっと、そりゃまじかよ。ヤベエなそりゃ、大事だ。」
太宰とルイスが中也を見る。言動とは裏腹に、中也の表情は期待に輝いていた。
「聞き込み早めで、犯人をぶちのめす作戦に変更って事だろ?」
「はあ……?」
「最高じゃねえか。行くぞオラ早く来い!」
セリフの終わりと同時に風のように失踪していく中也を、太宰は無表情で眺めた。
「……」
「子供だ」
「……」
隣を見る。ルイスが「どや‼なのよ。」と言いながら指を二本立てた。
太宰は盛大に溜息を吐いた。
ルイスを除いた太宰と中也は、不承不承としつつも捜査を開始した。
太宰と中也の間には約五mの間が空いていた。その間を埋めるようにルイスが間に入って歩く。
「……おい。」
「なぁに?中也。」
「何処に向かってんだよ。」
黙ってそのまま歩いた。静寂とした時が流れる。
「おい?」
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]も分からないわ。治に聞いて頂戴。」
中也は心底厭そうな顔をして溜め息をついた。そして同じように声を掛ける。
「なァ、おい。どこに行くかぐらい教えやがれ。」
前方を歩く太宰は後ろも振り向かずに数歩歩いて口を開いた。
「いやあいい天気だなあ。いい天気すぎて妖精さんの声が聞こえるなあ。」
「巫山戯んな。俺の声だ。」
太宰はやっと振り返った。
「嗚呼、君、いたの。悪いけど話しかけないでくれる?一寸今呼吸で忙しいから。」
「首引っこ抜くぞ包帯野郎。そうじゃなくて、何処に向かってるか答えろ、つってんだよ。」
「答えるから近寄らないでくれる?連れだと思われたくない。」
「心配すんな俺も思われたくねえから。」
ずいと、ルイスを通り越して顔を間近に近づけた。
「うふふ。気が合うねえ。そんな君が大好きだよ!」
「うわ、やめろ‼気色悪くて死ぬ!」
「……うん、僕も気持ち悪くて死ぬかと思った。」
太宰は後悔の表情で呻いた。
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]、蚊帳の外ね。仲間外れにするんなら、森センセにチクっちゃうわよ。その暁には…ね!」
「はいはい、仲良し仲良し。……で、今向かってる場所だっけ?これから向かうのは調査だよ。爆発を一番間近で目撃した人間に聞き込みに行く。」
「聞き込みだと?面倒だな……敵を締め上げて吐かせて終わり、って話にゃなんねえのか?」
「「なるわけないでしょ。」」
太宰は嫌悪の顔で、ルイスはドン引きした顔で同時に答えた。中也が少し怯む。
「……だ、第一、何で爆発なんか調べるんだよ。調べるなら先代の目撃情報だろ?」
太宰は中也の顔をしばらく眺めた後、口を開いた。
「追うべきは先代の噂じゃなく、『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』本体の噂だからだよ。」
「よみがえった先代が異能による偽装だとしたら、異能者本人が『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』の役回りを演じてるってことになるのよ。」
太宰が続けようとした言葉をルイスが引き継ぐ。太宰は文句をたれようとしたが、蚊帳の外にし続けるとどうなるか分からないため、しょうがなく黙った。
「嗚呼、どんなに完璧な偽装をする犯人でも、呼吸し食事し生活するのは避けられない。そっちを追うんだ。」
中也は顔をしかめた。
「だが……『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』の噂なら、『羊』」
「の仲間が散々調べてる……ね。」
二人はルイスを見た。
「先読みするな…かしら?」
太宰はため息をついた。こうなったルイスと口論をしたとしても全て先読みされる。
諦めて、太宰は中也ににやりと笑った。
「いくら『羊』の噂好きさん達でも、話を聞けない相手ってのはいるものだよ。」
正面を向き、再び歩き始めながら云った。
「一週間前、僕達が経験したのと同じ爆発が起きていた。場所も同じ、擂鉢街でだ。先代そのものの姿は目撃されてなかったから気付くのが遅れたけど、恐らく僕たちが負ってる事件と同じものが原因だろう。其の爆発の生存者に話を訊きに行く。」
「生存者ってことは……」
「死人が出たのかしら?」
「……嗚呼、マフィアの一団だ。生き残った人は異能者でね、君も既に会っている人物だよ。この先に自宅があって、そこで話を聞く約束を――」
太宰が路地の先を指差した時――呼応するように、その方角から轟音が鳴り響いた。
「はあ⁉」
「た~まや~!」
中也は驚いて轟音の方を見た。ルイスはルイスでよく分からない反応をしている。
「……あー。今のは爆発の音だね。」
太宰は面倒そうな顔をした。
爆発のあった屋敷らしい場所から、黒い煙が上がる。銃声も微かに届いてくる。
「おいおい。あそこに話を聞きに行くんじゃねえのかよ?」
「犯人に先を越されちゃったわね。」
「おっとっと、そりゃまじかよ。ヤベエなそりゃ、大事だ。」
太宰とルイスが中也を見る。言動とは裏腹に、中也の表情は期待に輝いていた。
「聞き込み早めで、犯人をぶちのめす作戦に変更って事だろ?」
「はあ……?」
「最高じゃねえか。行くぞオラ早く来い!」
セリフの終わりと同時に風のように失踪していく中也を、太宰は無表情で眺めた。
「……」
「子供だ」
「……」
隣を見る。ルイスが「どや‼なのよ。」と言いながら指を二本立てた。
太宰は盛大に溜息を吐いた。