二次創作
【文スト二次/リクエスト可/質問受付中】道化のラプソディア
「その飾り付は右の天井近くにお願い。そう、もうちょっと上にね。ルイスは、そう、もうちょっと左」
とある部屋で太宰とルイスが宴の準備をしていた。
「とっても素敵なお部屋ね。治らしい部屋だわ」
捨てられた造船場はこう言った者の住処になるのは必然的なことだ。
廃れ、滅びゆく運命を抱えたこの場所は、今や、彼の望む部屋へと塗り替えられていった。
「はあ、楽しみだなあ。中也くんが自由を得た記念に、こんな盛大なパーティーを催してもらったと知ったら彼はどれくらい喜ぶだろうか」
右手は石膏帯で固められているが、左手で器用に飾り付けていく。
聖夜祭に小包を待つ子供のように、嬉々とした声を上げながら中也をひたすら貶める計画を蘭堂に語る太宰を横目にルイスはクルクルとリボンを回して燕尾服を着こなしたモノクルの白兎と戯れていた。
『主様、どうするのでショウカ?』
「…なんのことかしら?」
『いつもはここら辺で介入するでショウ。珍しく傍観しているのデスネ』
「私は子供だもの。ちょっぴり勘のいい子供。それだけじゃないのかしら?お前も言うようになったものね」
リボンをひらひらと靡かせて「アン・ドゥ・トロワ」と笑いながら、見下ろすように白兎を見る。どこか、絶対的支配者を思わせる目線に辺りの温度を下げていく。
太宰の目線がこちらに向く瞬間、ルイスは柔らかい笑みを浮かべて「冗談よ」、と笑って見せた。
「どちらかというとお前が思考できていたことの方が驚く点ね」
『思考がなければ主様に従ってなどいまセンヨ。いずれもこの方が両方にとっても良かったのもデシタシ』
「そうね、そうなのよね。これが正解だもの。…治!生焼け肉理論のお話は終わったかしら!?」
太宰に向かってそう聞くと苦虫を噛み潰したような顔をした。
「あらあら、貴方が楽しげに話をしていたもの。邪魔しないようなタイミングを伺っていただけよ」
白兎にリボンを持たせて蘭堂と相対する太宰の隣に立った。
「どうせ君も気づいているんだろう。変なところで茶々入れないでくれる?」
「あらあら、ごめんなさいね。私だって貴方の推理の結果を聞いて見たくなったのよ」
太宰は咳払いをひとつ、もう一度言葉を紡ぎ直す。
「犯人は……貴方だよ、蘭堂さん」
沈黙。
あらゆる音がこの部屋から消失していた。太宰は追い打ちをかけるように言葉を続けると、蘭堂もやっと困ったような表情を見せた。
おかしな講座を始めたところでルイスは呆れたように息を吐いて、耳だけを傾けるように白兎からリボンを受け取って遊び始めた。
会話が終わり、混ざろうと白兎を呼び寄せ、リボンを持たせる。
前を向き直ったその時、小さな風切り音をルイスは捉えた。
「時計ウサギっ!!下がって!!」
刹那、時計ウサギのすぐ隣、すなわち、蘭堂がいたところが何も無くなっていた。
否、何かが壁を突き破り、そのまま蘭堂を薙ぎ払った。
そこには、見覚えのある小さな影があった。
とある部屋で太宰とルイスが宴の準備をしていた。
「とっても素敵なお部屋ね。治らしい部屋だわ」
捨てられた造船場はこう言った者の住処になるのは必然的なことだ。
廃れ、滅びゆく運命を抱えたこの場所は、今や、彼の望む部屋へと塗り替えられていった。
「はあ、楽しみだなあ。中也くんが自由を得た記念に、こんな盛大なパーティーを催してもらったと知ったら彼はどれくらい喜ぶだろうか」
右手は石膏帯で固められているが、左手で器用に飾り付けていく。
聖夜祭に小包を待つ子供のように、嬉々とした声を上げながら中也をひたすら貶める計画を蘭堂に語る太宰を横目にルイスはクルクルとリボンを回して燕尾服を着こなしたモノクルの白兎と戯れていた。
『主様、どうするのでショウカ?』
「…なんのことかしら?」
『いつもはここら辺で介入するでショウ。珍しく傍観しているのデスネ』
「私は子供だもの。ちょっぴり勘のいい子供。それだけじゃないのかしら?お前も言うようになったものね」
リボンをひらひらと靡かせて「アン・ドゥ・トロワ」と笑いながら、見下ろすように白兎を見る。どこか、絶対的支配者を思わせる目線に辺りの温度を下げていく。
太宰の目線がこちらに向く瞬間、ルイスは柔らかい笑みを浮かべて「冗談よ」、と笑って見せた。
「どちらかというとお前が思考できていたことの方が驚く点ね」
『思考がなければ主様に従ってなどいまセンヨ。いずれもこの方が両方にとっても良かったのもデシタシ』
「そうね、そうなのよね。これが正解だもの。…治!生焼け肉理論のお話は終わったかしら!?」
太宰に向かってそう聞くと苦虫を噛み潰したような顔をした。
「あらあら、貴方が楽しげに話をしていたもの。邪魔しないようなタイミングを伺っていただけよ」
白兎にリボンを持たせて蘭堂と相対する太宰の隣に立った。
「どうせ君も気づいているんだろう。変なところで茶々入れないでくれる?」
「あらあら、ごめんなさいね。私だって貴方の推理の結果を聞いて見たくなったのよ」
太宰は咳払いをひとつ、もう一度言葉を紡ぎ直す。
「犯人は……貴方だよ、蘭堂さん」
沈黙。
あらゆる音がこの部屋から消失していた。太宰は追い打ちをかけるように言葉を続けると、蘭堂もやっと困ったような表情を見せた。
おかしな講座を始めたところでルイスは呆れたように息を吐いて、耳だけを傾けるように白兎からリボンを受け取って遊び始めた。
会話が終わり、混ざろうと白兎を呼び寄せ、リボンを持たせる。
前を向き直ったその時、小さな風切り音をルイスは捉えた。
「時計ウサギっ!!下がって!!」
刹那、時計ウサギのすぐ隣、すなわち、蘭堂がいたところが何も無くなっていた。
否、何かが壁を突き破り、そのまま蘭堂を薙ぎ払った。
そこには、見覚えのある小さな影があった。