二次創作
【文スト二次/リクエスト可/質問受付中】道化のラプソディア
「ぐっども~に~んぐ!」
「まァた遅刻かぁッ!此の唐変木!」
「わぁ~、国木田君が怒った~。」
「惚けてる暇があったら仕事をしろ!」
今日も今日とて、太宰は大胆不敵な遅刻をかまし、国木田に怒鳴られていた。
だが、一つだけ違う点が存在した。応接間のソファーで少女が眠りこけている。
彼女の名は、『ルイス・キャロル』、17歳。武装探偵社の新入社員である。
「なにこれ?」
「あっ、太宰さん!おはようございます。えっと、前に軍警に引き渡した密輸組織から菓子折りが届きまして……。」
「……ルイスが食べたってこと?」
「はい…なんか、眠る前に、『あ~、致死量ぎりぎりの青酸カリかな~』って言って…。」
探偵社員、『中島 敦』が心配そうにルイスを見る。大人の致死量出なかったとしても、探偵社員の中で比較的に幼いルイスには十分致死量のはずなのだ。
「まァ、ルイスはわざわざ食べて毒があるのか確かめたんでしょ。」
「そんな危険な…‼」
「ま、これでルイスが起き上がるまで待つだけだから解決したんじゃないの~?」
「否、まだ…もう一つ別の組織から届いてまして…。」
「わ~、凄い偶~然~。じゃ、いっただきま~す!」
「えぇっ⁉」
太宰が菓子折りのクッキーを口に放り込んだ。味わう姿を心配げに社員が見守る。
「あ~、アレかぁ…面倒くさいやつ。じゃ、後頑張ってね~。」
―――ピカァッ!
「うわぁっ⁉」
「⁉」
「なんだッ!?」
その時、まばゆい光が突如現れた。次に目を開けると、目の前に居た筈の太宰は消えていた。
「きっ消えたっ⁉」
「消えてない。ソファーの方。」
光とは反対の方向に椅子をまわしていた『江戸川 乱歩』が馬鹿々々しそうな目で見た。
「はっ、はい!」
敦がソファーの方を確認しようと近付いた時、急に目の前が暗くなり、首筋に冷たい物が当たる。
「動いたら殺す。質問に答えて。」
淡々とした少年の声がやけに響いて聞こえる。
「なっ…⁉」
国木田の驚愕した声が聞こえる。
「此処は何処だ?」
「えっあっ、武装探偵社…です、けど…。」
「…はぁ?じゃあ次。なんで僕を誘拐したの?」
溜め息のような、呆れた様な声がする。会話がまるで噛み合っていないようだ。
「誘拐?え…どういう、事ですか…?」
「僕気付いたら此処に居るんだけど?誘拐しかありえないでしょ。何言ってるの。」
「…あ、もしかして。貴方、幼児化した太宰さん…?」
鏡花の声がする。国木田も同じ発想に至ったようだ。敦一人が目を塞がれて状況を理解できていない。
「嗚呼!そういう事なのね。」
ソファーで眠っていたはずの小さな影が起き上がる。
「あれでしょ?毒薬でも飲んじゃったのかしら?えぇっと、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]とこの子は探偵社員で、毒見したって事かしら?」
「えっ、ルイスちゃん⁉」
「なんで[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]がわざわざ毒見してるかなぁんて!そんなに未来の[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]は貴方達に心を許しているのね。」
何時もより遥かに小さなルイスは不思議そうな顔をして近くにいる人を眺めた。
「貴方もその白髪の人の脅しを止めたら?」
「僕が一番あり得ないと思ってるんだけど?何でこんな奴らのために未来の僕が毒見してるの?離した時に何もしないっていう確証がないでしょ。」
太宰は頑なに信用する心算はない様だ。
「……じゃあ、――異能力『不思議の国のアリス』。此れで何処か怪しい動きをした時点で皆殺す。いいでしょ?」
ルイスが手を鳴らし、トランプ兵を呼び出す。
「君が僕と敵対していないとは限らないけど?」
「じゃあ、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]を殺せば?まぁ、そしたら貴方の終わりになるわね。」
太宰がやっと敦から離れる。敦の目の前には、金髪碧眼の幼女と、黒い蓬髪の少年が立って居た。少年と言っても、7歳程度の子供に見える。
「さて、今は何年かしら?」
鏡花がカレンダーを指差す。
「えぇ…14年後?」
「えっ⁉じゃ、じゃぁ…ルイスちゃんは17歳だから…3歳?」
「だっ…太宰が…7…さ、い…?」
敦と国木田が驚いた声を上げる。3歳の幼女がこの様なハッキリとした思考を持つとは思えない。
「ねぇ、貴方は何処に居たの?」
「戦場。参謀をしてる…否、貴方達にとってはしてた、の方が正しいわね!」
疑問が残るものの、残念ながら深追いする余裕はなかった。女性陣の魔の手が迫っていた。
「ルイスさぁん、ちょぉっぴり、こちらに来てくださいませんか?」
「なぁに?」
ナオミに手招きされて、医療室へと連れて行かれる。其処には女性陣が全員居るとも知らずに。
「お待たせいたしましたわ!」
「前々からやってみようとは思ってたんだけど…想像以上の出来だねェ。」
よく分かっていなさそうな表情をしたルイスが、軍服を脱がさられ、メイド服を着させられていた。
「…此れは如何いう服なの?戦闘用ではない…と思うけど。」
「アンタ、メイド服を知らないのかい?」
「…アリスなら知ってるかしら。」
「何て言いましたの?」
「否…やっぱり分かんないわ。」
ルイスが太宰の方を見ると、其方も其方で酷いことになっていた。
「カーテンで仕切られてて、反対側で何が起きてるのか分からなかったけど…貴方もやられちゃったのね。」
「…?ぇ…どういう状況か分かんないんだけど。」
「簡単に言うとアレね。やった事は無いけど…所謂着せ替え人形にされてるわ。」
二人は顔を見合わせ得て溜息を吐いた。
「ルイスちゃんと太宰さんって、初対面でも仲が良いんですね。」
敦がふと二人に向かって呟いた。
「「はあ?」」
「「誰が」」
「「こんな奴と⁉」」
―――ピカァッ!
そう二人が叫んだ途端、眩い光がまた辺りを包んだ。
「きゃっ⁉眩しいわ…どういう状況なのかしら?」
「敦君たちお疲れ様~。なんか色々大変だったろう?」
「おかげさまでな。」
国木田が疲れのたまったような溜息を吐いた。
「あ~、青酸カリ以外にも入ってたのね。」
納得したような声を上げ、ルイスは手をパンと叩いた。
「じゃ、業務に戻りましょ。」
結局は、何時もの日々に過ぎないのだった。
「まァた遅刻かぁッ!此の唐変木!」
「わぁ~、国木田君が怒った~。」
「惚けてる暇があったら仕事をしろ!」
今日も今日とて、太宰は大胆不敵な遅刻をかまし、国木田に怒鳴られていた。
だが、一つだけ違う点が存在した。応接間のソファーで少女が眠りこけている。
彼女の名は、『ルイス・キャロル』、17歳。武装探偵社の新入社員である。
「なにこれ?」
「あっ、太宰さん!おはようございます。えっと、前に軍警に引き渡した密輸組織から菓子折りが届きまして……。」
「……ルイスが食べたってこと?」
「はい…なんか、眠る前に、『あ~、致死量ぎりぎりの青酸カリかな~』って言って…。」
探偵社員、『中島 敦』が心配そうにルイスを見る。大人の致死量出なかったとしても、探偵社員の中で比較的に幼いルイスには十分致死量のはずなのだ。
「まァ、ルイスはわざわざ食べて毒があるのか確かめたんでしょ。」
「そんな危険な…‼」
「ま、これでルイスが起き上がるまで待つだけだから解決したんじゃないの~?」
「否、まだ…もう一つ別の組織から届いてまして…。」
「わ~、凄い偶~然~。じゃ、いっただきま~す!」
「えぇっ⁉」
太宰が菓子折りのクッキーを口に放り込んだ。味わう姿を心配げに社員が見守る。
「あ~、アレかぁ…面倒くさいやつ。じゃ、後頑張ってね~。」
―――ピカァッ!
「うわぁっ⁉」
「⁉」
「なんだッ!?」
その時、まばゆい光が突如現れた。次に目を開けると、目の前に居た筈の太宰は消えていた。
「きっ消えたっ⁉」
「消えてない。ソファーの方。」
光とは反対の方向に椅子をまわしていた『江戸川 乱歩』が馬鹿々々しそうな目で見た。
「はっ、はい!」
敦がソファーの方を確認しようと近付いた時、急に目の前が暗くなり、首筋に冷たい物が当たる。
「動いたら殺す。質問に答えて。」
淡々とした少年の声がやけに響いて聞こえる。
「なっ…⁉」
国木田の驚愕した声が聞こえる。
「此処は何処だ?」
「えっあっ、武装探偵社…です、けど…。」
「…はぁ?じゃあ次。なんで僕を誘拐したの?」
溜め息のような、呆れた様な声がする。会話がまるで噛み合っていないようだ。
「誘拐?え…どういう、事ですか…?」
「僕気付いたら此処に居るんだけど?誘拐しかありえないでしょ。何言ってるの。」
「…あ、もしかして。貴方、幼児化した太宰さん…?」
鏡花の声がする。国木田も同じ発想に至ったようだ。敦一人が目を塞がれて状況を理解できていない。
「嗚呼!そういう事なのね。」
ソファーで眠っていたはずの小さな影が起き上がる。
「あれでしょ?毒薬でも飲んじゃったのかしら?えぇっと、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]とこの子は探偵社員で、毒見したって事かしら?」
「えっ、ルイスちゃん⁉」
「なんで[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]がわざわざ毒見してるかなぁんて!そんなに未来の[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]は貴方達に心を許しているのね。」
何時もより遥かに小さなルイスは不思議そうな顔をして近くにいる人を眺めた。
「貴方もその白髪の人の脅しを止めたら?」
「僕が一番あり得ないと思ってるんだけど?何でこんな奴らのために未来の僕が毒見してるの?離した時に何もしないっていう確証がないでしょ。」
太宰は頑なに信用する心算はない様だ。
「……じゃあ、――異能力『不思議の国のアリス』。此れで何処か怪しい動きをした時点で皆殺す。いいでしょ?」
ルイスが手を鳴らし、トランプ兵を呼び出す。
「君が僕と敵対していないとは限らないけど?」
「じゃあ、[漢字]私[/漢字][ふりがな]ワタクシ[/ふりがな]を殺せば?まぁ、そしたら貴方の終わりになるわね。」
太宰がやっと敦から離れる。敦の目の前には、金髪碧眼の幼女と、黒い蓬髪の少年が立って居た。少年と言っても、7歳程度の子供に見える。
「さて、今は何年かしら?」
鏡花がカレンダーを指差す。
「えぇ…14年後?」
「えっ⁉じゃ、じゃぁ…ルイスちゃんは17歳だから…3歳?」
「だっ…太宰が…7…さ、い…?」
敦と国木田が驚いた声を上げる。3歳の幼女がこの様なハッキリとした思考を持つとは思えない。
「ねぇ、貴方は何処に居たの?」
「戦場。参謀をしてる…否、貴方達にとってはしてた、の方が正しいわね!」
疑問が残るものの、残念ながら深追いする余裕はなかった。女性陣の魔の手が迫っていた。
「ルイスさぁん、ちょぉっぴり、こちらに来てくださいませんか?」
「なぁに?」
ナオミに手招きされて、医療室へと連れて行かれる。其処には女性陣が全員居るとも知らずに。
「お待たせいたしましたわ!」
「前々からやってみようとは思ってたんだけど…想像以上の出来だねェ。」
よく分かっていなさそうな表情をしたルイスが、軍服を脱がさられ、メイド服を着させられていた。
「…此れは如何いう服なの?戦闘用ではない…と思うけど。」
「アンタ、メイド服を知らないのかい?」
「…アリスなら知ってるかしら。」
「何て言いましたの?」
「否…やっぱり分かんないわ。」
ルイスが太宰の方を見ると、其方も其方で酷いことになっていた。
「カーテンで仕切られてて、反対側で何が起きてるのか分からなかったけど…貴方もやられちゃったのね。」
「…?ぇ…どういう状況か分かんないんだけど。」
「簡単に言うとアレね。やった事は無いけど…所謂着せ替え人形にされてるわ。」
二人は顔を見合わせ得て溜息を吐いた。
「ルイスちゃんと太宰さんって、初対面でも仲が良いんですね。」
敦がふと二人に向かって呟いた。
「「はあ?」」
「「誰が」」
「「こんな奴と⁉」」
―――ピカァッ!
そう二人が叫んだ途端、眩い光がまた辺りを包んだ。
「きゃっ⁉眩しいわ…どういう状況なのかしら?」
「敦君たちお疲れ様~。なんか色々大変だったろう?」
「おかげさまでな。」
国木田が疲れのたまったような溜息を吐いた。
「あ~、青酸カリ以外にも入ってたのね。」
納得したような声を上げ、ルイスは手をパンと叩いた。
「じゃ、業務に戻りましょ。」
結局は、何時もの日々に過ぎないのだった。