二次創作
【文スト二次/リクエスト可/質問受付中】道化のラプソディア
「うう寒い……風通しが良くなって三倍寒い……風の当たらない土の中で、蝉の幼虫の様に残りの人生を過ごしたい……。」
屋敷の二階で準幹部の蘭堂が震えていた。
屋敷の中は酷い惨状であった。壁材は剝がれ、照明は天井から落ちて割れていた。棚の小物は床に散乱し、青い皿やら、苔色の本やら橙色の絵画やらが床の上を賑やかに彩っていた。
おまけに、敵兵の死体が床のデコレエションとして添えられ、紅い血液が部屋の統一感を出していた。
「まるで、前衛芸術ね。」
ルイスがポツリと呟き、虚しくも北風が運んで行った。
「災難だったねえ、蘭堂さん。はいこれ、暖炉にくべる木材。」
「うう……助かるよ太宰君。この屋敷に暖炉があって本当に良かった……。」
トランプ兵がバケツリレーをするように木材をルイスを通して蘭堂に渡していく。
「おいお前ら、今の木材、どっから持ってきた?」
「「この家の柱。」」
二人は平然な顔をして答えた。
荒涼とした応接間で蘭堂と会話していた。焼却炉の様に燃え盛る暖炉が目立っている。
蘭堂は先代のころから仕える古株だ。先代の時代では不遇な扱いを受けていたが、森の時代になり、準幹部に取り上げられた。周囲は森派、つまりは先代よりも現体制に与していると見做していた。
「蘭堂さんが襲われちゃったのも、簡単に予想がつくわ。」
ルイスは床に転がった本を暖炉に放り込みながら言った。
「『噂の拡張』だ。森派の蘭堂さんが爆殺で殺されたとなれば、人々は『先代の怒り』をより強く実感するだろう。実際、此処に来る前に『GSS』の指揮車を調べたら、黒い爆発を偽装するための手順書が見つかった。」
「黒い爆発、とは……?」
蘭堂が震えながら訊ねた。
「僕も詳しい内から専門的なところは後で調べるけど、ナトリウムランプを光源にした薬品による炎色反応を利用すると、黒に近い炎が作れるらしい。」
太宰は拾ってきた書類を眺めながら云った。
「花火みたいなものよね。まァ、知識と材料さえあれば誰でもできる簡単なトリックね。」
ルイスも太宰の持つ書類を覗き込むように見た。
「まあいずれ、お粗末チープ[漢字][/漢字][ふりがな][/ふりがな]な作戦だよ。」
「蘭堂さんは始末し損ねて、偽装作戦部隊は返り討ち。あらら、可哀そう。」
「つまりこう云う事か?」
中也が右足に体重をかけて腰に手を当てた。
「『GSS』の連中がマフィアを仲間割れさせるために『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』になりすまし、この旦那を襲ったが失敗した、と。」
「「そうなるね/そうなるわね」」
「んじゃ一連の黒幕は、『GSS』の大将?」
「その可能性は高いと思うけど。」
「……何か引っかかるわね。『GSS』の現総帥は冷徹な異能者と言われているわ。態々、こんな事するのかしら?」
「ルイス君の言う通りだ……。しかも彼は北米の秘密機関『[漢字]組合[/漢字][ふりがな]ギルド[/ふりがな]』と深い関係にあるという噂だ……誅伐するにしても、相当な準備をしなくてはならないと云うことができる……太宰くん、暖炉の燃料、おかわり……。」
「はいどうぞ。」
太宰がルイスから受け取った高価そうな絵画を手渡しながら云った。
ルイスは話の方向が分かりきっているのか、トランプ兵たちと瓦礫を積み木の様にして積み上げている。
「蘭堂さん?」
目を少し話すと、太宰が『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』について蘭堂に聞いていた。
蘭堂の手が震えている。寒さのためではない――――
蘭堂の瞳には脅えが映っている。あまり動揺しない蘭堂が動揺している。明らかな異常性が伝わるのだった。
ルイスも手を止めて、蘭堂の話を聞くため、駆け寄って行った。
屋敷の二階で準幹部の蘭堂が震えていた。
屋敷の中は酷い惨状であった。壁材は剝がれ、照明は天井から落ちて割れていた。棚の小物は床に散乱し、青い皿やら、苔色の本やら橙色の絵画やらが床の上を賑やかに彩っていた。
おまけに、敵兵の死体が床のデコレエションとして添えられ、紅い血液が部屋の統一感を出していた。
「まるで、前衛芸術ね。」
ルイスがポツリと呟き、虚しくも北風が運んで行った。
「災難だったねえ、蘭堂さん。はいこれ、暖炉にくべる木材。」
「うう……助かるよ太宰君。この屋敷に暖炉があって本当に良かった……。」
トランプ兵がバケツリレーをするように木材をルイスを通して蘭堂に渡していく。
「おいお前ら、今の木材、どっから持ってきた?」
「「この家の柱。」」
二人は平然な顔をして答えた。
荒涼とした応接間で蘭堂と会話していた。焼却炉の様に燃え盛る暖炉が目立っている。
蘭堂は先代のころから仕える古株だ。先代の時代では不遇な扱いを受けていたが、森の時代になり、準幹部に取り上げられた。周囲は森派、つまりは先代よりも現体制に与していると見做していた。
「蘭堂さんが襲われちゃったのも、簡単に予想がつくわ。」
ルイスは床に転がった本を暖炉に放り込みながら言った。
「『噂の拡張』だ。森派の蘭堂さんが爆殺で殺されたとなれば、人々は『先代の怒り』をより強く実感するだろう。実際、此処に来る前に『GSS』の指揮車を調べたら、黒い爆発を偽装するための手順書が見つかった。」
「黒い爆発、とは……?」
蘭堂が震えながら訊ねた。
「僕も詳しい内から専門的なところは後で調べるけど、ナトリウムランプを光源にした薬品による炎色反応を利用すると、黒に近い炎が作れるらしい。」
太宰は拾ってきた書類を眺めながら云った。
「花火みたいなものよね。まァ、知識と材料さえあれば誰でもできる簡単なトリックね。」
ルイスも太宰の持つ書類を覗き込むように見た。
「まあいずれ、お粗末チープ[漢字][/漢字][ふりがな][/ふりがな]な作戦だよ。」
「蘭堂さんは始末し損ねて、偽装作戦部隊は返り討ち。あらら、可哀そう。」
「つまりこう云う事か?」
中也が右足に体重をかけて腰に手を当てた。
「『GSS』の連中がマフィアを仲間割れさせるために『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』になりすまし、この旦那を襲ったが失敗した、と。」
「「そうなるね/そうなるわね」」
「んじゃ一連の黒幕は、『GSS』の大将?」
「その可能性は高いと思うけど。」
「……何か引っかかるわね。『GSS』の現総帥は冷徹な異能者と言われているわ。態々、こんな事するのかしら?」
「ルイス君の言う通りだ……。しかも彼は北米の秘密機関『[漢字]組合[/漢字][ふりがな]ギルド[/ふりがな]』と深い関係にあるという噂だ……誅伐するにしても、相当な準備をしなくてはならないと云うことができる……太宰くん、暖炉の燃料、おかわり……。」
「はいどうぞ。」
太宰がルイスから受け取った高価そうな絵画を手渡しながら云った。
ルイスは話の方向が分かりきっているのか、トランプ兵たちと瓦礫を積み木の様にして積み上げている。
「蘭堂さん?」
目を少し話すと、太宰が『[漢字]荒覇吐[/漢字][ふりがな]アラハバキ[/ふりがな]』について蘭堂に聞いていた。
蘭堂の手が震えている。寒さのためではない――――
蘭堂の瞳には脅えが映っている。あまり動揺しない蘭堂が動揺している。明らかな異常性が伝わるのだった。
ルイスも手を止めて、蘭堂の話を聞くため、駆け寄って行った。