【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
下を向いた。体操座りで揺れる船の振動を静かに感じていた。
少女――[大文字]『[/大文字][漢字][大文字]与謝野[/大文字][/漢字][ふりがな]よさの[/ふりがな] [漢字][大文字]霞[/大文字][/漢字][ふりがな]かすみ[/ふりがな][大文字]』[/大文字]は船内に居た。この船は、戦場へと向かう。霞は[太字]軍医[/太字]として、動員された。霞の家系は代々医者を輩出している有名な家系。その中でも、天性の才に恵まれた霞は、[漢字]齢[/漢字][ふりがな]よわい[/ふりがな]12にして戦場へと向かっていた。拒否権など存在しない、あるのは、[下線]家族からの重苦しい期待と銃口[/下線]のみ。
[小文字]「ナギ君、元気かな…。」[/小文字]
戦場へと行ったら手紙なんて送れない。約束を破ってしまうことに憂鬱になっていた。
「初めまして、かな。ぼくは、君の上官になる者だよ。」
「…お初目に掛ります。軍医として同行させてもらう『与謝野 霞』です。」
家で仕込まれた礼儀を見せる。家族は自分の地位しか考えていないということを改めて実感する。
「詳しくはぼくも聞いてないんだけど、君って何歳?」
「[漢字]御年迄[/漢字][ふりがな]おんとしまで[/ふりがな]で、齢は12となります。」
「えぇっ⁉12って、学校を卒業したばかりじゃないか!」
気付かれないように、小さなため息を吐いた。
「[漢字]私目[/漢字][ふりがな]わたくしめ[/ふりがな]の家系は、医療に従事することを絶対としております。[下線]家族と軍の参謀部の方の意向[/下線]により参加した所存でございます。」
[大文字]「だからと言って子供が来て[大文字]いい場所じゃないッ‼[/大文字]」[/大文字]
「…再び申し上げますが、[下線][太字]家族[/太字]と[太字]軍の参謀部[/太字]の方の意向[/下線]です。」
はっきりと、そう述べた。もう一度事実を見返すと、馬鹿々々しい。
「帰りたい?」
「…[小文字]本音を[/小文字]言えば。」
目頭が熱くなってくる。船が揺れて、溜めていた涙が零れる。
「誰もいないよ。ぼくが、[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に居てあげるから。」
[小文字]「も[大文字]ぉ[/大文字]、やだぁ…約束も、破っちゃった、ナギ君に会いたい、戦争なんて行きたくない、脅されて、家族からも、ウチのこと考えずに押し出したし、学校行けないし…。」[/小文字]
上官と名乗った少年の軍服を濡らしながら、泣き[漢字]縋[/漢字][ふりがな]すが[/ふりがな]る。
「[漢字]恥[/漢字][ふりがな]は[/ふりがな]っず…[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]、年上の男性に泣き縋って…。」
「なんかごめんね…。」
数分後、落ち着いて、気を取り直す。
「…ね、上官のこと、[下線]センセイ[/下線]って、呼んでい?」
「いきなりだね…。まぁ、いいよ。じゃあ、[下線]カスミ[/下線]ってぼくも呼んでいい?」
はにかんで頷く。上官の顔が少し赤くなる。
「如何したの?『[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]』」
「い、嫌なんでもない。」
戦場へと静かに[漢字]甘酸っぱい[/漢字][ふりがな]おかしな[/ふりがな]空気を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]って軍艦は進み続けた――
少女――[大文字]『[/大文字][漢字][大文字]与謝野[/大文字][/漢字][ふりがな]よさの[/ふりがな] [漢字][大文字]霞[/大文字][/漢字][ふりがな]かすみ[/ふりがな][大文字]』[/大文字]は船内に居た。この船は、戦場へと向かう。霞は[太字]軍医[/太字]として、動員された。霞の家系は代々医者を輩出している有名な家系。その中でも、天性の才に恵まれた霞は、[漢字]齢[/漢字][ふりがな]よわい[/ふりがな]12にして戦場へと向かっていた。拒否権など存在しない、あるのは、[下線]家族からの重苦しい期待と銃口[/下線]のみ。
[小文字]「ナギ君、元気かな…。」[/小文字]
戦場へと行ったら手紙なんて送れない。約束を破ってしまうことに憂鬱になっていた。
「初めまして、かな。ぼくは、君の上官になる者だよ。」
「…お初目に掛ります。軍医として同行させてもらう『与謝野 霞』です。」
家で仕込まれた礼儀を見せる。家族は自分の地位しか考えていないということを改めて実感する。
「詳しくはぼくも聞いてないんだけど、君って何歳?」
「[漢字]御年迄[/漢字][ふりがな]おんとしまで[/ふりがな]で、齢は12となります。」
「えぇっ⁉12って、学校を卒業したばかりじゃないか!」
気付かれないように、小さなため息を吐いた。
「[漢字]私目[/漢字][ふりがな]わたくしめ[/ふりがな]の家系は、医療に従事することを絶対としております。[下線]家族と軍の参謀部の方の意向[/下線]により参加した所存でございます。」
[大文字]「だからと言って子供が来て[大文字]いい場所じゃないッ‼[/大文字]」[/大文字]
「…再び申し上げますが、[下線][太字]家族[/太字]と[太字]軍の参謀部[/太字]の方の意向[/下線]です。」
はっきりと、そう述べた。もう一度事実を見返すと、馬鹿々々しい。
「帰りたい?」
「…[小文字]本音を[/小文字]言えば。」
目頭が熱くなってくる。船が揺れて、溜めていた涙が零れる。
「誰もいないよ。ぼくが、[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に居てあげるから。」
[小文字]「も[大文字]ぉ[/大文字]、やだぁ…約束も、破っちゃった、ナギ君に会いたい、戦争なんて行きたくない、脅されて、家族からも、ウチのこと考えずに押し出したし、学校行けないし…。」[/小文字]
上官と名乗った少年の軍服を濡らしながら、泣き[漢字]縋[/漢字][ふりがな]すが[/ふりがな]る。
「[漢字]恥[/漢字][ふりがな]は[/ふりがな]っず…[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]、年上の男性に泣き縋って…。」
「なんかごめんね…。」
数分後、落ち着いて、気を取り直す。
「…ね、上官のこと、[下線]センセイ[/下線]って、呼んでい?」
「いきなりだね…。まぁ、いいよ。じゃあ、[下線]カスミ[/下線]ってぼくも呼んでいい?」
はにかんで頷く。上官の顔が少し赤くなる。
「如何したの?『[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]』」
「い、嫌なんでもない。」
戦場へと静かに[漢字]甘酸っぱい[/漢字][ふりがな]おかしな[/ふりがな]空気を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]って軍艦は進み続けた――