【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
「[大文字]よーし![/大文字]呼びにくいから~こっちの人たちが[下線]第一部隊[/下線]ね、でこっちが[下線]第二[/下線]、こっちが[大文字][下線]第三[/下線]![/大文字]」
目の前にいる[太字]巨大な軍[/太字]に向かって似合わない[明朝体]ほのぼの[/明朝体]とした声をあげる。
「初めまして、私は[漢字][大文字]太宰[/大文字][/漢字][ふりがな]だざい[/ふりがな]。[太字][斜体]CSF[/斜体][/太字]に所属してる。[漢字]位[/漢字][ふりがな]くらい[/ふりがな]は…忘れたけど[下線][太字]幹部より[/太字]かは、[太字]高い[/太字]方だ[/下線]よ。」
太宰は戦場に位置する本部に呼ばれていた。どう見ても[明朝体]負ける戦い[/明朝体]なのにどうせなら[打消し]道連れ[/打消し]だと粘る敵軍の[太字][打消し]殲滅[/打消し][/太字]を任されたのだ。
「私は正直断りたかったんだけど…ま、芥川くんも頑張ってる事だし!私も頑張ろ~っと!」
黒い[漢字]外套[/漢字][ふりがな]コート[/ふりがな]をなびかせ、[明朝体]粉雪[/明朝体]の降る戦場を歩く。
[大文字][大文字][大文字]「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」[/大文字][/大文字][/大文字]
銃剣突撃をしてくる兵士を[打消し][明朝体]いとも簡単[/明朝体]に撃ち落とす[/打消し]。
前線を[漢字]闊歩[/漢字][ふりがな]かっぽ[/ふりがな]しながら、道連れを図る敵軍兵士を倒していると、[漢字]何時の間[/漢字][ふりがな]いつ ま[/ふりがな]にか辺りは死体の山が積み上がっていた。
「…[明朝体]あはっ[/明朝体]、真っ赤になっちゃった。」
静かになった戦場で[明朝体]乾いた笑いが響いた[/明朝体]。
[大文字]「[大文字]太宰さんッ![/大文字]少年兵の特効です――!」[/大文字]
[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に居た味方兵が叫ぶ。[明朝体]水色の髪に水色の[漢字]瞳[/漢字][ふりがな]ひとみ[/ふりがな][/明朝体]の恐らく、少年兵が[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]を握って走ってきた。
何で子供が[漢字]此処[/漢字][ふりがな]戦場[/ふりがな]に…?
「[大文字]分かってる[/大文字]って、私がそんなに[明朝体]弱い[/明朝体]と思ってるのかい?」
そんな疑問もよそに手に握っていた[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]を奪い取り、遠くへ投げる。
[大文字]「耳を塞いで伏せろッ!」[/大文字]
僕は少年兵の子の耳を塞いで伏せる。少年兵は驚いた顔をしたように見えたが、もう一度見てみると[明朝体][漢字]虚[/漢字][ふりがな]うつ[/ふりがな]ろな目[/明朝体]をしていた。
目の前が[明朝体]明滅[/明朝体]したかと思えば、突風と共に[太字]轟音[/太字]が響く。[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]が爆発したようだ。
「[大文字][明朝体][大文字]~ッ‼[/大文字][/明朝体]耳キーンってなるんだけど⁉[/大文字]」
少年兵は軍服へと手を伸ばす。残っ[漢字]た手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]で[打消し]自爆[/打消し]しようとしていた。
「させない、[大文字]よ![大文字]皆![/大文字][漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]の子の手足押さえて!折らないように手加減してねっ![/大文字]」
近くに居た味方兵に指示して、少年兵を押さえつける。
全てを[明朝体]諦めている[/明朝体]ような、全てを[明朝体]理解し、達観している[/明朝体]ような、ただ――[明朝体]虚ろな表情[/明朝体]をしていた。
ただ、一言で表すならば[明朝体]『[大文字]無[/大文字]』[/明朝体]であった。
「[小文字]うわぁ…。[/小文字]十個も隠してたの?[大文字]あ[/大文字]、先に言っとくけど、君は私のもとに居ることになるからね!」
一瞬感じた既視感を[漢字]拭[/漢字][ふりがな]ぬぐ[/ふりがな]うように少年兵に話しかけた。
手足の拘束を離してあげて味方兵と茶化しながら話す。少年兵は静かに立ち上がって僕らを見たが、すぐにふらついて地面に手をついた。
[大文字]「⁉」[/大文字]
そのまま地に伏せ、気を失ったようだ。
「[漢字][大文字]確[/大文字][/漢字][ふりがな]しっか[/ふりがな][大文字]りしろ![/大文字]」
腕で支えるように少年兵を仰向けにさせると、薄汚れた包帯が[打消し]赤黒く[漢字]滲[/漢字][ふりがな]にじ[/ふりがな]み始めている[/打消し]事が分かる。
[大文字]「[大文字]衛生兵‼[/大文字]こっちに来て!」[/大文字]
少年兵は衛生兵に任せて、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]本土へ捕虜として僕の部屋に持って行くように命じた。[打消し]捕虜収容所[/打消し]に持って行かれては何をされるか分からないからだ。
「…もういないね。本部の方の空母も攻撃を始めたんでしょ?キミたちは先に本部の方戻ってていいよ。…[大文字]僕?[/大文字]あ~、考え事。人いない方が良いからさ。」
味方兵を先に戻らせる。
「[太字]絶対[/太字]、あの子何かあるよね…他に少年兵は見られなかったし…。[漢字]何か[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]が、おかしい。わざわざ[下線]一人だけ[/下線]少年兵を入れるのか?素晴らしい才能を持ってたとしても、最悪、[打消し]銃は引き金さえ引ければ[/打消し]何とでもなるはず…。[大文字]消したい存在[/大文字]だったから?嗚呼、何となく言っただけだけど、結構説得力あるね…。」
自問自答を終わらせ、帰ろうとしたとき、目の前の[漢字]藪[/漢字][ふりがな]やぶ[/ふりがな]が[明朝体]不自然に揺れた[/明朝体]。
[大文字]「誰だッ⁉」[/大文字]
小銃を構えながら藪に近づくと、後ずさるような音が聞こえる。
[明朝体]非戦闘員[/明朝体]なのだろうか―――?
その思考が完結する前に藪を手でどけるように覗くと、一人の少女が脅えた素振りで後ずさっていた。腰が抜けたのかうまく動けていない。
[小文字]「ぁ…センセイ…ゴメンナサイっ…。」[/小文字]
(見た感じ軍医かな…[漢字]如何[/漢字][ふりがな]どう[/ふりがな]しよ。)
涙を流す少女の目の前で小銃を落とした。
「[大文字]ねぇ[/大文字]、お嬢さん。[漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]の小銃を拾う気が無いんなら私と[漢字]お喋り[/漢字][ふりがな]交渉[/ふりがな]しないかい?」
「[明朝体][小文字]ぇ…?[/小文字][/明朝体]ぅん…。」
少女は錯乱している訳ではない様で、[下線]命が守られる可能性がある方[/下線]が[漢字]何方[/漢字][ふりがな]どちら[/ふりがな]かは分かっているようだった。
「うーん[大文字]じゃ[/大文字]、まず[太字]一つ目[/太字]。お嬢さんはどういう立場だったのかな?」
「軍医。[下線][太字]家族[/太字]と[太字]軍の参謀部[/太字]の勧め[/下線]で動員された…。」
(動員、というよりは[打消し]脅し[/打消し]だねェ。)
「[太字]二つ目[/太字]。君は生き残る[太字]約束[/太字]をしている。違うかい?」
「えぇ。[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]は本土に戻りたいとは言わない…でも、生きなきゃ、[太字]約束[/太字]は破りたくないから…。」
「[太字]三つ目[/太字]。私と一緒に来ない?私が君の[下線]生き残るサポオト[/下線]してあげるからさ。」
少女は驚いた顔をして、太宰の顔を見詰めた。
「アンタに何の[太字]利益[/太字]があるんだい…⁉」
「…[明朝体]さぁ?[/明朝体]僕が[漢字]既視感[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]を感じてるから、かな?」
「…アンタは、きっと[太字]孤独[/太字]を感じてるんだね。」
[明朝体]「そうかなぁ?」[/明朝体]
嗤った。何に嗤ったのかは分からない。でも、僕はこの日、二人の子供を救ったとでも[太字]一般論[/太字]では言うのだろう。
僕は、二人の子供を[太字]地獄[/太字]に堕とした―――
目の前にいる[太字]巨大な軍[/太字]に向かって似合わない[明朝体]ほのぼの[/明朝体]とした声をあげる。
「初めまして、私は[漢字][大文字]太宰[/大文字][/漢字][ふりがな]だざい[/ふりがな]。[太字][斜体]CSF[/斜体][/太字]に所属してる。[漢字]位[/漢字][ふりがな]くらい[/ふりがな]は…忘れたけど[下線][太字]幹部より[/太字]かは、[太字]高い[/太字]方だ[/下線]よ。」
太宰は戦場に位置する本部に呼ばれていた。どう見ても[明朝体]負ける戦い[/明朝体]なのにどうせなら[打消し]道連れ[/打消し]だと粘る敵軍の[太字][打消し]殲滅[/打消し][/太字]を任されたのだ。
「私は正直断りたかったんだけど…ま、芥川くんも頑張ってる事だし!私も頑張ろ~っと!」
黒い[漢字]外套[/漢字][ふりがな]コート[/ふりがな]をなびかせ、[明朝体]粉雪[/明朝体]の降る戦場を歩く。
[大文字][大文字][大文字]「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」[/大文字][/大文字][/大文字]
銃剣突撃をしてくる兵士を[打消し][明朝体]いとも簡単[/明朝体]に撃ち落とす[/打消し]。
前線を[漢字]闊歩[/漢字][ふりがな]かっぽ[/ふりがな]しながら、道連れを図る敵軍兵士を倒していると、[漢字]何時の間[/漢字][ふりがな]いつ ま[/ふりがな]にか辺りは死体の山が積み上がっていた。
「…[明朝体]あはっ[/明朝体]、真っ赤になっちゃった。」
静かになった戦場で[明朝体]乾いた笑いが響いた[/明朝体]。
[大文字]「[大文字]太宰さんッ![/大文字]少年兵の特効です――!」[/大文字]
[漢字]傍[/漢字][ふりがな]そば[/ふりがな]に居た味方兵が叫ぶ。[明朝体]水色の髪に水色の[漢字]瞳[/漢字][ふりがな]ひとみ[/ふりがな][/明朝体]の恐らく、少年兵が[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]を握って走ってきた。
何で子供が[漢字]此処[/漢字][ふりがな]戦場[/ふりがな]に…?
「[大文字]分かってる[/大文字]って、私がそんなに[明朝体]弱い[/明朝体]と思ってるのかい?」
そんな疑問もよそに手に握っていた[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]を奪い取り、遠くへ投げる。
[大文字]「耳を塞いで伏せろッ!」[/大文字]
僕は少年兵の子の耳を塞いで伏せる。少年兵は驚いた顔をしたように見えたが、もう一度見てみると[明朝体][漢字]虚[/漢字][ふりがな]うつ[/ふりがな]ろな目[/明朝体]をしていた。
目の前が[明朝体]明滅[/明朝体]したかと思えば、突風と共に[太字]轟音[/太字]が響く。[漢字]手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]が爆発したようだ。
「[大文字][明朝体][大文字]~ッ‼[/大文字][/明朝体]耳キーンってなるんだけど⁉[/大文字]」
少年兵は軍服へと手を伸ばす。残っ[漢字]た手榴弾[/漢字][ふりがな]グレネード[/ふりがな]で[打消し]自爆[/打消し]しようとしていた。
「させない、[大文字]よ![大文字]皆![/大文字][漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]の子の手足押さえて!折らないように手加減してねっ![/大文字]」
近くに居た味方兵に指示して、少年兵を押さえつける。
全てを[明朝体]諦めている[/明朝体]ような、全てを[明朝体]理解し、達観している[/明朝体]ような、ただ――[明朝体]虚ろな表情[/明朝体]をしていた。
ただ、一言で表すならば[明朝体]『[大文字]無[/大文字]』[/明朝体]であった。
「[小文字]うわぁ…。[/小文字]十個も隠してたの?[大文字]あ[/大文字]、先に言っとくけど、君は私のもとに居ることになるからね!」
一瞬感じた既視感を[漢字]拭[/漢字][ふりがな]ぬぐ[/ふりがな]うように少年兵に話しかけた。
手足の拘束を離してあげて味方兵と茶化しながら話す。少年兵は静かに立ち上がって僕らを見たが、すぐにふらついて地面に手をついた。
[大文字]「⁉」[/大文字]
そのまま地に伏せ、気を失ったようだ。
「[漢字][大文字]確[/大文字][/漢字][ふりがな]しっか[/ふりがな][大文字]りしろ![/大文字]」
腕で支えるように少年兵を仰向けにさせると、薄汚れた包帯が[打消し]赤黒く[漢字]滲[/漢字][ふりがな]にじ[/ふりがな]み始めている[/打消し]事が分かる。
[大文字]「[大文字]衛生兵‼[/大文字]こっちに来て!」[/大文字]
少年兵は衛生兵に任せて、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]本土へ捕虜として僕の部屋に持って行くように命じた。[打消し]捕虜収容所[/打消し]に持って行かれては何をされるか分からないからだ。
「…もういないね。本部の方の空母も攻撃を始めたんでしょ?キミたちは先に本部の方戻ってていいよ。…[大文字]僕?[/大文字]あ~、考え事。人いない方が良いからさ。」
味方兵を先に戻らせる。
「[太字]絶対[/太字]、あの子何かあるよね…他に少年兵は見られなかったし…。[漢字]何か[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]が、おかしい。わざわざ[下線]一人だけ[/下線]少年兵を入れるのか?素晴らしい才能を持ってたとしても、最悪、[打消し]銃は引き金さえ引ければ[/打消し]何とでもなるはず…。[大文字]消したい存在[/大文字]だったから?嗚呼、何となく言っただけだけど、結構説得力あるね…。」
自問自答を終わらせ、帰ろうとしたとき、目の前の[漢字]藪[/漢字][ふりがな]やぶ[/ふりがな]が[明朝体]不自然に揺れた[/明朝体]。
[大文字]「誰だッ⁉」[/大文字]
小銃を構えながら藪に近づくと、後ずさるような音が聞こえる。
[明朝体]非戦闘員[/明朝体]なのだろうか―――?
その思考が完結する前に藪を手でどけるように覗くと、一人の少女が脅えた素振りで後ずさっていた。腰が抜けたのかうまく動けていない。
[小文字]「ぁ…センセイ…ゴメンナサイっ…。」[/小文字]
(見た感じ軍医かな…[漢字]如何[/漢字][ふりがな]どう[/ふりがな]しよ。)
涙を流す少女の目の前で小銃を落とした。
「[大文字]ねぇ[/大文字]、お嬢さん。[漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]の小銃を拾う気が無いんなら私と[漢字]お喋り[/漢字][ふりがな]交渉[/ふりがな]しないかい?」
「[明朝体][小文字]ぇ…?[/小文字][/明朝体]ぅん…。」
少女は錯乱している訳ではない様で、[下線]命が守られる可能性がある方[/下線]が[漢字]何方[/漢字][ふりがな]どちら[/ふりがな]かは分かっているようだった。
「うーん[大文字]じゃ[/大文字]、まず[太字]一つ目[/太字]。お嬢さんはどういう立場だったのかな?」
「軍医。[下線][太字]家族[/太字]と[太字]軍の参謀部[/太字]の勧め[/下線]で動員された…。」
(動員、というよりは[打消し]脅し[/打消し]だねェ。)
「[太字]二つ目[/太字]。君は生き残る[太字]約束[/太字]をしている。違うかい?」
「えぇ。[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]は本土に戻りたいとは言わない…でも、生きなきゃ、[太字]約束[/太字]は破りたくないから…。」
「[太字]三つ目[/太字]。私と一緒に来ない?私が君の[下線]生き残るサポオト[/下線]してあげるからさ。」
少女は驚いた顔をして、太宰の顔を見詰めた。
「アンタに何の[太字]利益[/太字]があるんだい…⁉」
「…[明朝体]さぁ?[/明朝体]僕が[漢字]既視感[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]を感じてるから、かな?」
「…アンタは、きっと[太字]孤独[/太字]を感じてるんだね。」
[明朝体]「そうかなぁ?」[/明朝体]
嗤った。何に嗤ったのかは分からない。でも、僕はこの日、二人の子供を救ったとでも[太字]一般論[/太字]では言うのだろう。
僕は、二人の子供を[太字]地獄[/太字]に堕とした―――