【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
静かになって、敵軍が顔を出したところを[打消し][太字]機銃掃射[/太字]で薙ぎ払う。[/打消し]
後衛に居た火炎放射兵が生き残った兵士を焼き殺し、[漢字]焦げ臭い[/漢字][ふりがな]死体を焼き尽くす[/ふりがな]においが充満した。
塹壕で身を潜めていると、[明朝体]パァン[/明朝体]と、音が鳴り、鼓膜を突く[打消し][太字]断末魔[/太字][/打消し]と共に塹壕の向こう側で赤い爆発が起きた。
[漢字]狙撃兵[/漢字][ふりがな]スナイパー[/ふりがな]に撃たれない程度に顔を出すと、真っ黒な死体が[漢字]囂々[/漢字][ふりがな]ごうごう[/ふりがな]と燃えていた。火炎放射兵の燃料タンクが狙撃されて[明朝体][打消し]死んだらしい[/打消し][/明朝体]。
込み上げる吐き気を必死に堪えて辺りを見回すと、どんどん友軍が塹壕を飛び出して、[打消し]何を言っているのか分からない[太字]悲鳴[/太字]のような、[太字]奇声[/太字]のような、[太字]断末魔[/太字][/打消し]をあげながら敵軍の塹壕へと突っ込んでいく。
[大文字][大文字][明朝体]『玉砕』[/明朝体][/大文字][/大文字]。政府の役人や軍の将校が好む言葉だ。とうとう[下線]実行する日[/下線]が来てしまったらしい。
どうせ逃げようとしても、本土へと帰ろうとした慰安船の様に沈められる。[下線][明朝体]どうせ死ぬ[/明朝体]ならば[明朝体]どう死んだ[/明朝体]って変わらない。[/下線]
塹壕から顔を出すと、真横に銃弾を通り抜けた。ヘルメットをかすり、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]ヘルメットごと後ろへ[明朝体]押し倒される[/明朝体]。
次に銃弾が通ることはなかったことから、敵軍はもう死んだと思い込んでいるらしい。そのすきにもう一度塹壕から顔を出し、辺りを見回す。
先に飛び出していった友軍は[太字]全滅[/太字]したようだ。
敵軍側に[下線]軍服も[太字]何も装備していない[/太字]一人の男性[/下線]が目立つ。辺りに死体が積み上がってるため、だいたいはこの男が殺したようだ。気だるげな欠伸をあげ、兵士を指揮している。
[漢字]皆[/漢字][ふりがな]みな[/ふりがな]が死んだと勘違いしている今が、[下線]最後の[太字]チャンス[/太字][/下線]だろう。
余った数少ない手榴弾を搔き集め、軍服や装備の間に[大文字]入れるだけ入れる[/大文字]。[下線]最後に一つの手榴弾を手でしっかりと握り、[明朝体]安全ピンを抜く。[/明朝体][/下線]
男めがけて子供さながらの機動力を生かして[太字]特攻[/太字]。
これで終わる。[下線][太字]どうせ死ぬ[/太字]ぐらいなら、[太字]負ける[/太字]んなら、沢山の敵も纏めて[太字]道連れ[/太字]だ。[/下線]
[大文字]「[大文字]太宰さんッ![/大文字]少年兵の特効です――!」[/大文字]
「分かってるって、私がそんなに[明朝体]弱い[/明朝体]と思ってるのかい?」
握り締めた手榴弾を流れるように奪われ遠くへ投げられる。
[大文字]「耳を塞いで伏せろッ!」[/大文字]
太宰と呼ばれた男は、[打消し]ウチの耳を塞いで伏せた。[/打消し]
[大文字]「[大文字]~ッ‼[/大文字]耳[明朝体]キーン[/明朝体]ってなるんだけど⁉」[/大文字]
まだ、手榴弾は残ってる、[太字]もう一回[/太字]――
[大文字]「させない、[大文字]よ![/大文字]皆!此の子の手足押さえて!折らないように手加減してねっ!」[/大文字]
手足を地面に押さえつけられる。
「[大文字]さぁって![/大文字]君の手榴弾全部、[小文字]僕[/小文字]…あ、[大文字]私が貰うね![/大文字]」
さっき入れたばかりの手榴弾が全て奪われてしまった。
[明朝体]あーあ。もうお終いか。[/明朝体]
「うわぁ…。十個も隠してたの?あ、先に言っとくけど、[大文字]君は私のもとに居ることになるからね![/大文字]」
「太宰さん…?」
「[大文字]芥川くんの真似![/大文字]芥川くんの方でも[漢字]男の娘[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]捕まえたから~。」
「捕まえたというよりは保護したというのでは…?」[右寄せ][大文字]「[大文字]そこ![/大文字]細かい事は気にしない!」[/大文字][/右寄せ]
手榴弾や武器が全て取り上げられ、手足の拘束が無くなる。
立ち上がると、突然視界が揺れ始める。思わず地に手をついた。包帯が赤黒くにじみ、血が垂れてくる。
先ほど走ったせいで、与謝野軍医に手当てしてもらった[打消し]傷口が開いたようだ。[/打消し]
目の前が暗くなってきたけど別に怖くはなかった。
どうせ[太字]死ぬ[/太字]んだから―――
後衛に居た火炎放射兵が生き残った兵士を焼き殺し、[漢字]焦げ臭い[/漢字][ふりがな]死体を焼き尽くす[/ふりがな]においが充満した。
塹壕で身を潜めていると、[明朝体]パァン[/明朝体]と、音が鳴り、鼓膜を突く[打消し][太字]断末魔[/太字][/打消し]と共に塹壕の向こう側で赤い爆発が起きた。
[漢字]狙撃兵[/漢字][ふりがな]スナイパー[/ふりがな]に撃たれない程度に顔を出すと、真っ黒な死体が[漢字]囂々[/漢字][ふりがな]ごうごう[/ふりがな]と燃えていた。火炎放射兵の燃料タンクが狙撃されて[明朝体][打消し]死んだらしい[/打消し][/明朝体]。
込み上げる吐き気を必死に堪えて辺りを見回すと、どんどん友軍が塹壕を飛び出して、[打消し]何を言っているのか分からない[太字]悲鳴[/太字]のような、[太字]奇声[/太字]のような、[太字]断末魔[/太字][/打消し]をあげながら敵軍の塹壕へと突っ込んでいく。
[大文字][大文字][明朝体]『玉砕』[/明朝体][/大文字][/大文字]。政府の役人や軍の将校が好む言葉だ。とうとう[下線]実行する日[/下線]が来てしまったらしい。
どうせ逃げようとしても、本土へと帰ろうとした慰安船の様に沈められる。[下線][明朝体]どうせ死ぬ[/明朝体]ならば[明朝体]どう死んだ[/明朝体]って変わらない。[/下線]
塹壕から顔を出すと、真横に銃弾を通り抜けた。ヘルメットをかすり、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]ヘルメットごと後ろへ[明朝体]押し倒される[/明朝体]。
次に銃弾が通ることはなかったことから、敵軍はもう死んだと思い込んでいるらしい。そのすきにもう一度塹壕から顔を出し、辺りを見回す。
先に飛び出していった友軍は[太字]全滅[/太字]したようだ。
敵軍側に[下線]軍服も[太字]何も装備していない[/太字]一人の男性[/下線]が目立つ。辺りに死体が積み上がってるため、だいたいはこの男が殺したようだ。気だるげな欠伸をあげ、兵士を指揮している。
[漢字]皆[/漢字][ふりがな]みな[/ふりがな]が死んだと勘違いしている今が、[下線]最後の[太字]チャンス[/太字][/下線]だろう。
余った数少ない手榴弾を搔き集め、軍服や装備の間に[大文字]入れるだけ入れる[/大文字]。[下線]最後に一つの手榴弾を手でしっかりと握り、[明朝体]安全ピンを抜く。[/明朝体][/下線]
男めがけて子供さながらの機動力を生かして[太字]特攻[/太字]。
これで終わる。[下線][太字]どうせ死ぬ[/太字]ぐらいなら、[太字]負ける[/太字]んなら、沢山の敵も纏めて[太字]道連れ[/太字]だ。[/下線]
[大文字]「[大文字]太宰さんッ![/大文字]少年兵の特効です――!」[/大文字]
「分かってるって、私がそんなに[明朝体]弱い[/明朝体]と思ってるのかい?」
握り締めた手榴弾を流れるように奪われ遠くへ投げられる。
[大文字]「耳を塞いで伏せろッ!」[/大文字]
太宰と呼ばれた男は、[打消し]ウチの耳を塞いで伏せた。[/打消し]
[大文字]「[大文字]~ッ‼[/大文字]耳[明朝体]キーン[/明朝体]ってなるんだけど⁉」[/大文字]
まだ、手榴弾は残ってる、[太字]もう一回[/太字]――
[大文字]「させない、[大文字]よ![/大文字]皆!此の子の手足押さえて!折らないように手加減してねっ!」[/大文字]
手足を地面に押さえつけられる。
「[大文字]さぁって![/大文字]君の手榴弾全部、[小文字]僕[/小文字]…あ、[大文字]私が貰うね![/大文字]」
さっき入れたばかりの手榴弾が全て奪われてしまった。
[明朝体]あーあ。もうお終いか。[/明朝体]
「うわぁ…。十個も隠してたの?あ、先に言っとくけど、[大文字]君は私のもとに居ることになるからね![/大文字]」
「太宰さん…?」
「[大文字]芥川くんの真似![/大文字]芥川くんの方でも[漢字]男の娘[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]捕まえたから~。」
「捕まえたというよりは保護したというのでは…?」[右寄せ][大文字]「[大文字]そこ![/大文字]細かい事は気にしない!」[/大文字][/右寄せ]
手榴弾や武器が全て取り上げられ、手足の拘束が無くなる。
立ち上がると、突然視界が揺れ始める。思わず地に手をついた。包帯が赤黒くにじみ、血が垂れてくる。
先ほど走ったせいで、与謝野軍医に手当てしてもらった[打消し]傷口が開いたようだ。[/打消し]
目の前が暗くなってきたけど別に怖くはなかった。
どうせ[太字]死ぬ[/太字]んだから―――