【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
目を開けると、[漢字]寝台[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]に鎖でつながれていた。近づく複数人の影に、顔が[明朝体]青ざめる[/明朝体]。
身をよじって逃げようとしても、[打消し]首輪のせいで無駄に[明朝体]首が閉まって[/明朝体]動けない。[/打消し]
[明朝体][大文字][大文字]「いやぁっ――――――――――!!」[/大文字][/大文字][/明朝体]
悲痛な悲鳴が無情にも[漢字]木霊[/漢字][ふりがな]こだま[/ふりがな]した。
[明朝体][小文字]「ぁ…ぁ…。」[/小文字][/明朝体]
[打消し][太字]痛い[/太字]、[太字]苦しい[/太字]、[太字]嫌だ[/太字][/打消し]――そんな感情が脳裏に埋め尽くす。現実は無情に、傷だらけ、痣だらけ、[漢字]汚[/漢字][ふりがな]けが[/ふりがな]されてしまった体を映し出した。
首輪は外されたものの、腰などの体の節々が痛み、立ち上がれない。
[小文字]「[明朝体]もぅ、かえれないの…。[/明朝体]」[/小文字]
一言、どうしようもない現実を嘆いた。これからこれ以上酷い目に合う。
頬が濡れる、伝う涙を拭う気力すら湧かずに、[明朝体]気怠さ[/明朝体]に身を任せて意識を手放した。
それから、髪を伸ばされて、女装を迫られた。誰もが口をそろえてこう言った。
「[太字]あの方[/太字]達が喜ぶから。」
あの方とは、政府の役人や、軍の将校。位の高い者に媚を売るために、[打消し]奴隷としてボクは[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に居る。[/打消し]
朦朧とする意識の中で言われた。嫌悪感が募り、もはや吐き気が込み上げた。
[下線][太字]家[/太字]に帰りたい、[太字]両親[/太字]に会いたい、もう[太字]殺して[/太字]、[/下線]そんな言葉を吐くたびに[打消し]罵詈雑言[/打消し]と共に否定される。
このころは、まだ思考ができていた。回数を重ねるたびに、気付けた。[下線]心を[太字]殺せば[/太字]平気だ[/下線]と。その思考に辿り着いたとしても、実行する[明朝体]勇気[/明朝体]はボクになかった。
「ハハッ、[太字]見た目[/太字]通り[太字]中身まで[/太字]ピンクに染まってんなぁッ‼」
両親が認めてくれた、褒めてくれた、その容姿さえ[漢字]貶[/漢字][ふりがな]けな[/ふりがな]される。その時に[打消し]ボクの[太字]心[/太字]は[明朝体]ぽっきり[/明朝体][太字]折れて壊れてしまった[/太字]。[/打消し]
その時から何も感じなくなった。僕の辿り着いた結論が実行できたんだな、そう[漢字]薄[/漢字][ふりがな]う[/ふりがな]っすらと感じる事しかできなかった。
「ッチ、政府が来たか。いいな、俺らは[漢字]手前[/漢字][ふりがな]てめえ[/ふりがな]を置いて逃げるが、絶対にアイツ等には捕まるな。その前に[下線]自分で[太字]死ね[/太字][/下線]。」
頭の中でぼんやりと繰り返して何度も木霊した。
[明朝体][小文字]「自分で死ぬ、自分で死ぬ…。」[/小文字][/明朝体]
何度も繰り返して反芻した。その日、耳に穴をあけられて、耳飾りを付けられた。[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の中には自決用の毒が入っているらしい。
正直、[打消し]死にたい[/打消し]という気持ちがボクを支配していたのかもしれない。早く、見捨てられたかった。[打消し][太字]自決[/太字]できるから[/打消し]。
[水平線]
やっと、その時が来たのかもしれない。誤魔化しに玄関に行った政府の役人は[打消し]殺されたようだった[/打消し]。
耳の穴から[打消し]肉が抉れて血が出る[/打消し]のもお構いなしに、毒の入った耳飾りを手に取った。[漢字]寝台[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]に打ち付けて、中身を慎重に、急いで取り出す。
その音を聞いたのか、一人の男性が中に入ってくる。
[大文字]「[大文字]おいッ[/大文字]、何をしているッ⁉」[/大文字]
――[明朝体]急がなきゃ。[/明朝体]
砂みたいな毒を口に入れる。が、吐き気が急に込み上げてくる。
もし、この中に[打消し]体がヘンになる薬[/打消し]が入ってたら――
[明朝体]「[大文字]うぐ[/大文字]っ、[小文字]お[/小文字]ぇ、」[/明朝体]
気付けば勝手に吐いていた。今さっき飲み込んだはずの粉と空っぽの胃から[打消し]絞り出した[太字]胃液[/太字][/打消し]が抑えた手の指の隙間から溢れる。胃液の[打消し]酸味[/打消し]が口[明朝体]いっぱい[/明朝体]に広がって気持ち悪い。
[漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]れじゃ、[大文字]死ねない[/大文字]。何か、[漢字]尖[/漢字][ふりがな]とが[/ふりがな]っているもの――
万年筆がナイトテーブルの上に転がっている。手を伸ばすが、[打消し]男に捕まって動けない。[/打消し]
「[小文字][小文字][小文字][明朝体]死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ[/明朝体][/小文字][/小文字][/小文字]」
[下線][太字]無意識[/太字]に何度も繰り返し[/下線][漢字][下線]呟[/下線][/漢字][ふりがな]つぶや[/ふりがな][下線]く[/下線]、男性が驚いたような表情をしていた。
目は虚ろで、もはや骨と皮しかない[明朝体]カラダ[/明朝体]に付けられた、[打消し][太字]裂傷[/太字]、[太字]擦過傷[/太字]、[太字]火傷[/太字]、[太字]打撲痕[/太字]。[/打消し]
放置すればすぐ死ぬような環境に居たことが一目でわかる。
「一回、寝ろ。起きたら話は聞いてやる。」
そう言って、男は首に手刀を打ち込んだ。
[明朝体][小文字]「ッ…ぁ…。」[/小文字][/明朝体]
[明朝体]パタリ[/明朝体]と音を立てて[漢字]寝台[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]に倒れ込む。
この日が、この子供の運命の二番目の分岐点だったのかもしれない―――
身をよじって逃げようとしても、[打消し]首輪のせいで無駄に[明朝体]首が閉まって[/明朝体]動けない。[/打消し]
[明朝体][大文字][大文字]「いやぁっ――――――――――!!」[/大文字][/大文字][/明朝体]
悲痛な悲鳴が無情にも[漢字]木霊[/漢字][ふりがな]こだま[/ふりがな]した。
[明朝体][小文字]「ぁ…ぁ…。」[/小文字][/明朝体]
[打消し][太字]痛い[/太字]、[太字]苦しい[/太字]、[太字]嫌だ[/太字][/打消し]――そんな感情が脳裏に埋め尽くす。現実は無情に、傷だらけ、痣だらけ、[漢字]汚[/漢字][ふりがな]けが[/ふりがな]されてしまった体を映し出した。
首輪は外されたものの、腰などの体の節々が痛み、立ち上がれない。
[小文字]「[明朝体]もぅ、かえれないの…。[/明朝体]」[/小文字]
一言、どうしようもない現実を嘆いた。これからこれ以上酷い目に合う。
頬が濡れる、伝う涙を拭う気力すら湧かずに、[明朝体]気怠さ[/明朝体]に身を任せて意識を手放した。
それから、髪を伸ばされて、女装を迫られた。誰もが口をそろえてこう言った。
「[太字]あの方[/太字]達が喜ぶから。」
あの方とは、政府の役人や、軍の将校。位の高い者に媚を売るために、[打消し]奴隷としてボクは[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に居る。[/打消し]
朦朧とする意識の中で言われた。嫌悪感が募り、もはや吐き気が込み上げた。
[下線][太字]家[/太字]に帰りたい、[太字]両親[/太字]に会いたい、もう[太字]殺して[/太字]、[/下線]そんな言葉を吐くたびに[打消し]罵詈雑言[/打消し]と共に否定される。
このころは、まだ思考ができていた。回数を重ねるたびに、気付けた。[下線]心を[太字]殺せば[/太字]平気だ[/下線]と。その思考に辿り着いたとしても、実行する[明朝体]勇気[/明朝体]はボクになかった。
「ハハッ、[太字]見た目[/太字]通り[太字]中身まで[/太字]ピンクに染まってんなぁッ‼」
両親が認めてくれた、褒めてくれた、その容姿さえ[漢字]貶[/漢字][ふりがな]けな[/ふりがな]される。その時に[打消し]ボクの[太字]心[/太字]は[明朝体]ぽっきり[/明朝体][太字]折れて壊れてしまった[/太字]。[/打消し]
その時から何も感じなくなった。僕の辿り着いた結論が実行できたんだな、そう[漢字]薄[/漢字][ふりがな]う[/ふりがな]っすらと感じる事しかできなかった。
「ッチ、政府が来たか。いいな、俺らは[漢字]手前[/漢字][ふりがな]てめえ[/ふりがな]を置いて逃げるが、絶対にアイツ等には捕まるな。その前に[下線]自分で[太字]死ね[/太字][/下線]。」
頭の中でぼんやりと繰り返して何度も木霊した。
[明朝体][小文字]「自分で死ぬ、自分で死ぬ…。」[/小文字][/明朝体]
何度も繰り返して反芻した。その日、耳に穴をあけられて、耳飾りを付けられた。[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の中には自決用の毒が入っているらしい。
正直、[打消し]死にたい[/打消し]という気持ちがボクを支配していたのかもしれない。早く、見捨てられたかった。[打消し][太字]自決[/太字]できるから[/打消し]。
[水平線]
やっと、その時が来たのかもしれない。誤魔化しに玄関に行った政府の役人は[打消し]殺されたようだった[/打消し]。
耳の穴から[打消し]肉が抉れて血が出る[/打消し]のもお構いなしに、毒の入った耳飾りを手に取った。[漢字]寝台[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]に打ち付けて、中身を慎重に、急いで取り出す。
その音を聞いたのか、一人の男性が中に入ってくる。
[大文字]「[大文字]おいッ[/大文字]、何をしているッ⁉」[/大文字]
――[明朝体]急がなきゃ。[/明朝体]
砂みたいな毒を口に入れる。が、吐き気が急に込み上げてくる。
もし、この中に[打消し]体がヘンになる薬[/打消し]が入ってたら――
[明朝体]「[大文字]うぐ[/大文字]っ、[小文字]お[/小文字]ぇ、」[/明朝体]
気付けば勝手に吐いていた。今さっき飲み込んだはずの粉と空っぽの胃から[打消し]絞り出した[太字]胃液[/太字][/打消し]が抑えた手の指の隙間から溢れる。胃液の[打消し]酸味[/打消し]が口[明朝体]いっぱい[/明朝体]に広がって気持ち悪い。
[漢字]此[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]れじゃ、[大文字]死ねない[/大文字]。何か、[漢字]尖[/漢字][ふりがな]とが[/ふりがな]っているもの――
万年筆がナイトテーブルの上に転がっている。手を伸ばすが、[打消し]男に捕まって動けない。[/打消し]
「[小文字][小文字][小文字][明朝体]死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ死ななくちゃ[/明朝体][/小文字][/小文字][/小文字]」
[下線][太字]無意識[/太字]に何度も繰り返し[/下線][漢字][下線]呟[/下線][/漢字][ふりがな]つぶや[/ふりがな][下線]く[/下線]、男性が驚いたような表情をしていた。
目は虚ろで、もはや骨と皮しかない[明朝体]カラダ[/明朝体]に付けられた、[打消し][太字]裂傷[/太字]、[太字]擦過傷[/太字]、[太字]火傷[/太字]、[太字]打撲痕[/太字]。[/打消し]
放置すればすぐ死ぬような環境に居たことが一目でわかる。
「一回、寝ろ。起きたら話は聞いてやる。」
そう言って、男は首に手刀を打ち込んだ。
[明朝体][小文字]「ッ…ぁ…。」[/小文字][/明朝体]
[明朝体]パタリ[/明朝体]と音を立てて[漢字]寝台[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]に倒れ込む。
この日が、この子供の運命の二番目の分岐点だったのかもしれない―――