【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
[大文字]「[大文字]軍医‼[/大文字]軍医は何処だ!」[/大文字][右寄せ][大文字]「重傷者ね!こっちだよ!!」[/大文字][/右寄せ]
「もう駄目だ!足を斬りな![大文字]麻酔は⁉[/大文字]」[右寄せ][大文字]「[漢字]此方[/漢字][ふりがな]こちら[/ふりがな]です!」[/大文字][/右寄せ]
「俺の…俺の足がぁ…!」[右寄せ]「[大文字][大文字][漢字]確[/漢字][ふりがな]しっか[/ふりがな]りしな![/大文字]生きてるんだから、帰れるんだよ![/大文字]」[/右寄せ]
夜遅く、やっと一息が付けた。深夜の少ししか休憩する暇はない。
昼夜絶え間なくけがをした軍人が運び込まれる。時には[打消し][明朝体]銃弾[/明朝体]を取り除き[/打消し]、[打消し]手足を[明朝体]切断[/明朝体]し[/打消し]、[打消し][明朝体]安楽死[/明朝体]させる[/打消し]。
「お待たせ、休憩してる[漢字]処[/漢字][ふりがな]ところ[/ふりがな]すまないけど、頼まれていた医療品だよ。」
「[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]!良いよ!平気、平気。[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]こそ大丈夫なの?[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]ほど余裕ないでしょ?」
少し動きが止まるも、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]霞の頭を撫でた。
「ぼくは良いんだよ。カスミにお世話になる程[漢字]軟弱[/漢字][ふりがな]ヤワ[/ふりがな]じゃないさ。」
「[大文字]そう?[/大文字]なら、良いんだけど。兎に角、最近、正面衝突が増えてるんでしょ?物資も[太字]限界[/太字]があるんだし、後もう[漢字]一寸[/漢字][ふりがな]ちょっと[/ふりがな]で終わらなきゃ、こっちの損害が勝っても戻らなくなるよ。」
「嗚呼、その通りだね。上層部に検討をお願いしてるんだけど、[漢字]あんまり良い[/漢字][ふりがな]馬鹿みたいな[/ふりがな]返事[漢字]が[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]貰えそうになくてね。」
「そっか。」―――[漢字]呟[/漢字][ふりがな]つぶや[/ふりがな]いて、受け取った医療品の整理を始める。
「早く[明朝体]終われば[/明朝体]いいのに。」
「そうだね。」
短く言葉を交わしてその日は分かれた。
質素で簡素な寝台で眠っていると怒号に起こされる。
[大文字]「[大文字][大文字]夜襲だぁッ‼[/大文字]総員っ位置に付けェッ‼[/大文字]」[/大文字]
轟音で耳を塞ぐ。本部として島の端に定着している空母から次々に[下線]航空部隊[/下線]が飛び立っているようだ。
[漢字]暫[/漢字][ふりがな]しばら[/ふりがな]くすると、次々に怪我人が運び込まれてくる。
「[大文字]ッ‼[/大文字]…アンタ、[打消し]楽に死ぬ[/打消し]か、[打消し]苦しんで生きる[/打消し]かどっちがいい。生きたいんだったら手術が必要だし、そのあと終戦まではまともに動けないよ。」
痛みを[漢字]堪[/漢字][ふりがな]こら[/ふりがな]えているのか、この後の苦しみが見えているのか、苦々しい顔をした。
[明朝体]「[大文字]生きたい[/大文字]…[下線]家族[/下線]が、待ってるんだ…。」[/明朝体]
彼の手術は砲撃に脅え[漢字]乍[/漢字][ふりがな]なが[/ふりがな]らもなんとかやり遂げて、慰安船に乗って本土に帰るらしく、最後に[明朝体]「ありがとう」[/明朝体]と告げて去った。
なんだか落ち着かなくて、一息ついたところで慰安船を見送るために空母の甲板に登った。
暗闇の中、何とか[明朝体]目を凝らして[/明朝体]慰安船が進みだしたところを見つける。
1㎞先、あと少しで見えなくなりそうなところで[明朝体][打消し]轟音が響いた[/打消し][/明朝体]。その時だけは耳を塞がずに、呆然と[打消し][太字]赤黒く[/太字]海上に燃え盛る[太字]船[/太字][/打消し]を見つめていた。
「家族が、待ってるんだ、か。」
「大きい音したけどどうした[小文字]の[/小文字]――」
「[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]、[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]が手当てした人たち[太字][打消し]みんな死んじゃった[/打消し][/太字]。」
赤黒い炎はだんだん[打消し]水平線[/打消し][下線]に沈んでいく。[/下線]この日を機に、本土へ帰ろうとした船は沈められるようになった。
[明朝体] もう、帰れなくなった――[/明朝体]
「もう駄目だ!足を斬りな![大文字]麻酔は⁉[/大文字]」[右寄せ][大文字]「[漢字]此方[/漢字][ふりがな]こちら[/ふりがな]です!」[/大文字][/右寄せ]
「俺の…俺の足がぁ…!」[右寄せ]「[大文字][大文字][漢字]確[/漢字][ふりがな]しっか[/ふりがな]りしな![/大文字]生きてるんだから、帰れるんだよ![/大文字]」[/右寄せ]
夜遅く、やっと一息が付けた。深夜の少ししか休憩する暇はない。
昼夜絶え間なくけがをした軍人が運び込まれる。時には[打消し][明朝体]銃弾[/明朝体]を取り除き[/打消し]、[打消し]手足を[明朝体]切断[/明朝体]し[/打消し]、[打消し][明朝体]安楽死[/明朝体]させる[/打消し]。
「お待たせ、休憩してる[漢字]処[/漢字][ふりがな]ところ[/ふりがな]すまないけど、頼まれていた医療品だよ。」
「[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]!良いよ!平気、平気。[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]こそ大丈夫なの?[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]ほど余裕ないでしょ?」
少し動きが止まるも、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]の[漢字]儘[/漢字][ふりがな]まま[/ふりがな]霞の頭を撫でた。
「ぼくは良いんだよ。カスミにお世話になる程[漢字]軟弱[/漢字][ふりがな]ヤワ[/ふりがな]じゃないさ。」
「[大文字]そう?[/大文字]なら、良いんだけど。兎に角、最近、正面衝突が増えてるんでしょ?物資も[太字]限界[/太字]があるんだし、後もう[漢字]一寸[/漢字][ふりがな]ちょっと[/ふりがな]で終わらなきゃ、こっちの損害が勝っても戻らなくなるよ。」
「嗚呼、その通りだね。上層部に検討をお願いしてるんだけど、[漢字]あんまり良い[/漢字][ふりがな]馬鹿みたいな[/ふりがな]返事[漢字]が[/漢字][ふりがな]しか[/ふりがな]貰えそうになくてね。」
「そっか。」―――[漢字]呟[/漢字][ふりがな]つぶや[/ふりがな]いて、受け取った医療品の整理を始める。
「早く[明朝体]終われば[/明朝体]いいのに。」
「そうだね。」
短く言葉を交わしてその日は分かれた。
質素で簡素な寝台で眠っていると怒号に起こされる。
[大文字]「[大文字][大文字]夜襲だぁッ‼[/大文字]総員っ位置に付けェッ‼[/大文字]」[/大文字]
轟音で耳を塞ぐ。本部として島の端に定着している空母から次々に[下線]航空部隊[/下線]が飛び立っているようだ。
[漢字]暫[/漢字][ふりがな]しばら[/ふりがな]くすると、次々に怪我人が運び込まれてくる。
「[大文字]ッ‼[/大文字]…アンタ、[打消し]楽に死ぬ[/打消し]か、[打消し]苦しんで生きる[/打消し]かどっちがいい。生きたいんだったら手術が必要だし、そのあと終戦まではまともに動けないよ。」
痛みを[漢字]堪[/漢字][ふりがな]こら[/ふりがな]えているのか、この後の苦しみが見えているのか、苦々しい顔をした。
[明朝体]「[大文字]生きたい[/大文字]…[下線]家族[/下線]が、待ってるんだ…。」[/明朝体]
彼の手術は砲撃に脅え[漢字]乍[/漢字][ふりがな]なが[/ふりがな]らもなんとかやり遂げて、慰安船に乗って本土に帰るらしく、最後に[明朝体]「ありがとう」[/明朝体]と告げて去った。
なんだか落ち着かなくて、一息ついたところで慰安船を見送るために空母の甲板に登った。
暗闇の中、何とか[明朝体]目を凝らして[/明朝体]慰安船が進みだしたところを見つける。
1㎞先、あと少しで見えなくなりそうなところで[明朝体][打消し]轟音が響いた[/打消し][/明朝体]。その時だけは耳を塞がずに、呆然と[打消し][太字]赤黒く[/太字]海上に燃え盛る[太字]船[/太字][/打消し]を見つめていた。
「家族が、待ってるんだ、か。」
「大きい音したけどどうした[小文字]の[/小文字]――」
「[漢字]上官[/漢字][ふりがな]センセイ[/ふりがな]、[漢字]妾[/漢字][ふりがな]アタシ[/ふりがな]が手当てした人たち[太字][打消し]みんな死んじゃった[/打消し][/太字]。」
赤黒い炎はだんだん[打消し]水平線[/打消し][下線]に沈んでいく。[/下線]この日を機に、本土へ帰ろうとした船は沈められるようになった。
[明朝体] もう、帰れなくなった――[/明朝体]