【拾われ少年、愛されました。スピンオフ作品/リクエスト受付中!】ルイン・ウォー
[明朝体][小文字]「ぅ―」[/小文字][/明朝体]
小さな呻き声が漏れる。
白に赤の混じった髪に、青い目。[下線]珍しい容姿[/下線]をした少女は、鳴りやまない[太字]耳鳴り[/太字]と、動けないほどの[太字]頭痛[/太字]に[漢字]蹲[/漢字][ふりがな]うずくま[/ふりがな]っていた。
とはいえ、少女は[下線]目覚めたばかり[/下線]、目の前が明るくなると同時に動けなくなっていた。
必死に眼球を上下左右に動かし、あたりが[下線]おかしな空間[/下線]になっていることに気付く。あたりは[明朝体]真っ白な[/明朝体]空間だった。常人ならば、数時間で[打消し]発狂[/打消し]するほどの何もない部屋。少女の周りには、[下線]うっすらと緑にかかった[太字]液体[/太字]が[太字]水たまり[/太字]を作り、水たまりに大量の大小さまざまな[太字]ガラス片[/太字]が散らばっていた。[/下線]
少女は辺りを見回すが、後方が[漢字]矢張[/漢字][ふりがな]やは[/ふりがな]りどうやっても見えない。銀色の物影が見えるだけだ。少女の状態を表す物はないと判断し、白い空間に、異色を放っていた黒い扉に向かって[漢字]匍匐前進[/漢字][ふりがな]ほふくぜんしん[/ふりがな]を進める。
[明朝体]「はぁッ、はぁッ…?」[/明朝体]
やっと耳鳴りと頭痛が収まり、扉にもたれ[漢字]乍[/漢字][ふりがな]なが[/ふりがな]らも立ち上がる。
後方を見ると、銀色の[太字]筒状[/太字]の金属に、側面と思われる部分にあったであろう[太字]ガラス[/太字]が割られ、端しか残っていない状態になっているものが置いてあった。
少女は異様な物体に、何の感情もわかなかった。[漢字]其処[/漢字][ふりがな]そこ[/ふりがな]から離れてしまう、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]れだけが心残りだった。
もしかしたら、[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に居たほうがいいかもしれない。[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]の外に何があるか分からない。[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]から離れたら、[下線]自分を包んでくれた虚無はもう守ってくれない。[/下線]
[大文字]『有』の世界[/大文字]と[大文字]『虚無』の世界[/大文字]の狭間に少女は立っていた。
[水平線]
数時間とも、数十秒とも取れる時間が流れ、少女は意を決した。
扉を手にかけ、開け放つ。静かな夜空が目に映った。[漢字]南十字星[/漢字][ふりがな]サザンクロス[/ふりがな]が[漢字]煌[/漢字][ふりがな]きら[/ふりがな]めき、少女の目も[漢字]煌[/漢字][ふりがな]きら[/ふりがな]めいた。
[明朝体]外に出て良かった[/明朝体]―――そう思えたことが、少女の[下線]一番の[太字]幸せ[/太字][/下線]なのだろう。
小さな呻き声が漏れる。
白に赤の混じった髪に、青い目。[下線]珍しい容姿[/下線]をした少女は、鳴りやまない[太字]耳鳴り[/太字]と、動けないほどの[太字]頭痛[/太字]に[漢字]蹲[/漢字][ふりがな]うずくま[/ふりがな]っていた。
とはいえ、少女は[下線]目覚めたばかり[/下線]、目の前が明るくなると同時に動けなくなっていた。
必死に眼球を上下左右に動かし、あたりが[下線]おかしな空間[/下線]になっていることに気付く。あたりは[明朝体]真っ白な[/明朝体]空間だった。常人ならば、数時間で[打消し]発狂[/打消し]するほどの何もない部屋。少女の周りには、[下線]うっすらと緑にかかった[太字]液体[/太字]が[太字]水たまり[/太字]を作り、水たまりに大量の大小さまざまな[太字]ガラス片[/太字]が散らばっていた。[/下線]
少女は辺りを見回すが、後方が[漢字]矢張[/漢字][ふりがな]やは[/ふりがな]りどうやっても見えない。銀色の物影が見えるだけだ。少女の状態を表す物はないと判断し、白い空間に、異色を放っていた黒い扉に向かって[漢字]匍匐前進[/漢字][ふりがな]ほふくぜんしん[/ふりがな]を進める。
[明朝体]「はぁッ、はぁッ…?」[/明朝体]
やっと耳鳴りと頭痛が収まり、扉にもたれ[漢字]乍[/漢字][ふりがな]なが[/ふりがな]らも立ち上がる。
後方を見ると、銀色の[太字]筒状[/太字]の金属に、側面と思われる部分にあったであろう[太字]ガラス[/太字]が割られ、端しか残っていない状態になっているものが置いてあった。
少女は異様な物体に、何の感情もわかなかった。[漢字]其処[/漢字][ふりがな]そこ[/ふりがな]から離れてしまう、[漢字]其[/漢字][ふりがな]そ[/ふりがな]れだけが心残りだった。
もしかしたら、[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に居たほうがいいかもしれない。[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]の外に何があるか分からない。[漢字]此処[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]から離れたら、[下線]自分を包んでくれた虚無はもう守ってくれない。[/下線]
[大文字]『有』の世界[/大文字]と[大文字]『虚無』の世界[/大文字]の狭間に少女は立っていた。
[水平線]
数時間とも、数十秒とも取れる時間が流れ、少女は意を決した。
扉を手にかけ、開け放つ。静かな夜空が目に映った。[漢字]南十字星[/漢字][ふりがな]サザンクロス[/ふりがな]が[漢字]煌[/漢字][ふりがな]きら[/ふりがな]めき、少女の目も[漢字]煌[/漢字][ふりがな]きら[/ふりがな]めいた。
[明朝体]外に出て良かった[/明朝体]―――そう思えたことが、少女の[下線]一番の[太字]幸せ[/太字][/下線]なのだろう。