メシアのとある場所に位置する部屋。
古い洋風の家具にカーペット。

一人の女が書類に目を通しながら眉を顰める。
黒い髪は長く、毛先は紫色だ。青い瞳が少し細まる。


「[明朝体]はぁ、囚人同士の喧嘩は困ったものだよ[/明朝体]」


すると、木で出来たドアの向こうからノックの音が聞こえる。


「入ってきたまえ」


お盆に乗せて紅茶とチーズケーキを運んできた男。
藍色の短髪に銀の瞳、青い縁のメガネ。身長は黒髪の女より少し高いぐらいだろうか。


「[明朝体]お茶と菓子をお持ちしました。『[太字]監獄長[/太字]』様。[/明朝体]」
「分かってるじゃないか、スヴェンケル」


机の上にティーカップとチーズケーキが置かれる。
女は慣れた手つきでフォークを受け取ると、チーズケーキにフォークを入れる。


「ああ、スヴェンケル。せっかく来たんだから私の仕事を手伝ってくれよ」
「何をどうしたらそうなるんですか」
「別に君を操って醜態を晒してあげても私は一向に構わないんだけれどね」


焦ったように男は机に近付いて言う。


「やらせていただきます」
「よろしい。」


満足したように女は紅茶をすする。

明るい陽が射した。


「随分眩しいねぇ」
「カーテン、お閉めしましょうか?」
「いや、構わないさ。私は結構好きなんだよ。」


『[明朝体]明るい光も、それの所為で生まれる影も。[/明朝体]』


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