この世界では生きることが全て

《黄色の時計塔》

私は凛に塔のことや，大人達のこと，そして化け物のことを聞いた。凛は困ったような顔で首を横に振った。
少し歩くと，広場のようなところに着いた。
『ねぇ凛……他の子供達とか…何処に居るかわかる?』
凛は少しだけ考えてから，こう言った。
『多分ここの世界が狂っているのかもね。ルイ…私的にはここらへんには誰もいないのかも。声だって聞こえないしね…。』
凛の綺麗な横顔を見つめた。〝ここの世界が狂っているのかもね〟その言葉に不思議と納得した。
するとその時轟音が響いた。音がした方をみるとそこには光り輝く時計塔があった。黄色の光が美しく、辺りの地面を照らし出す。凛は光り輝く時計塔を見つめた。
『いまは10時みたいだけど…この時計塔だと777時になっているわね…』
らっきーせぶん?を意識した時計塔なのだろうか。
光り輝く時計塔から少し離れたところに猫がいたことに気づいた。オレンジ色の猫で不思議そうにこちらを見ていた。猫の優しい鳴き声が響いた。『にゃ～お』
『ねぇ凛，あの猫お腹でも空いているのかな…?』
凛は猫を見つめこう言った。『あの猫は大人ではないのかな…?子猫なのかも…。動物にもこの世界の狂いがついているのかしら。』
凛の素晴らしい観察力に思わず頷く。
その時猫の奥から人影が出てきた。その猫は出てきた者の足元でまた鳴き声を上げる。『ごめんなさい!あたしの猫が……ってあれ…こんな時計塔なんてあったかな…』
その猫の飼い主だろうか。ツインテールが下の方で優しく揺れる。時計塔から漏れ出す黄色の光が猫の飼い主を照らす。『いや全然平気だよ!私の名前は凛，こっちはルイ君の名前は?』凛の圧倒的コミュ力で初対面でも普通に接している。羨ましく思った。私は人見知りだしなぁ。
『あっ…えっと凛ちゃん!!ルイちゃん!!宜しくね!私の名前は葉奈だよッ』
そういった葉奈の周りで化け物達が蠢いた。


《黄色の光が化け物と葉奈，それに猫を照らし出した。その美しさは凛でも見惚れるものだった。》