イオチュー はちくみッッ!!
夏休みは暑かった。その暑さも、沖田の『氷雪』と冴川の『旋風』でなんとか乗り切った
……ただし、橋下の『炎火』だけは少し迷惑だった
沖田「もー!手が掛かる!」
冴川「調節できるかなぁ」
橋下「すまんすまん」
その結果、他クラスからは
「8組だけ気温差えぐい!」
とクレームが入るほどだった
[水平線]
そして、二学期になり、
転入生…?
渡辺先生「通常級から体験の生徒が入ります」
??「西園寺です、よろしくお願いします」
中学二年生にしては大柄なその男。目はぱっちり、まつ毛は濃く長く、爽やかな印象を与える
今井(大きい、普通の子よりも。軍人みたい…?)
徳田は西園寺の足元から背中まで、
まるで“情報を読み取るように”じっと観察していた
吉村ぎんじはいつもの無表情で、
しかし一瞬だけ目つきを鋭くする
鷹田「……先生、体験って何日間?」
関口先生(また厄介な気配だな…)
[太字]“バレたらどうなるか”[/太字]
それが上級生全員の頭に浮かんでいた
一番最初に話しかけに行ったのは、一年生の前川と井上
前川・井上「こんにちわー、はじめまして!」
西園寺は驚きながらたどたどしく挨拶を返す、
西園寺「こ、こんにちわ、西園寺です」
井上「西園寺くんよろしくねー」
前川「よろしくー」
しかし当の西園寺は、そんな視線に気づかず…
西園寺(…なんでみんな、こんな優しいんだ?
普通級より居心地がいい…)
戸惑いと安心が入り混じったような表情をしていた。
なんか見覚えある?と大江は思った
それもそのはず、こいつは何話か前の運動会の白団団員西園寺くん
さらにその隣で井上が無邪気に微笑む。
井上「ねえねえ、西園寺くんって運動得意なの?」
西園寺「え、あ、まあ……好きかな」
誰がどう見ても運動が得意そうな体格に、控えめで遠慮がちな発言
その対比が大きく、見ている者は思わずめまいがしそうだった
流石に誰もなぜこのクラスに体験に来た、とは聞けない
教室の空気は柔らかくても、無言の遠慮がそこには確かにある
でもだいたい…勉強についていけない、クラスに馴染めない、朝が苦手、…もしくはいじめ
西園寺自身も、それを口にする勇気はない
ただ、ここにいるだけ少し安心できる――そんな空気を感じていた
[太字]「いつ、この子に任務のことを話すか――」[/太字]
西園寺が正式にクラスに馴染み、本格的に活動に参加するまでは、軽々しく口に出せない
まだ体験入学の段階で、誰も強制できる立場ではないのだ
しかし、いつかは向き合わなければならない
この子が普通に生活している今の安心感を壊さないように――、
でも、もし任務や能力のことを知らないままだと、あとで危険が及ぶかもしれない
口に出さずとも、全員が同じ不安を抱えていた。
堀島が突然、髪をくしゃくしゃとかき上げて、
堀島「ま、窓! 閉めて!」
ビクッと肩を震わせながら叫ぶ
キム「ん?…了解」
キム先生が滑り込むように窓へ向かい、シャッと閉めた
バシュっと一発目は床に打ち込まれる
[中央寄せ]スナイパーだ[/中央寄せ]
しかも狙われているのは、西園寺!
西園寺「え?なんか俺の近くに…?」
西園寺の机の付近に、次々と弾丸が撃ち込まれる
川瀬(銃弾、見えてる?!)
坂本(ただ者じゃない…?)
西園寺は、すれすれで弾を避けていた。見えているかのように
そして、銃弾が西園寺の額めがけて飛んだ瞬間
そこで関口先生が
バインダーを投げる
バインダーが銃弾を弾いた
関口先生「…セーフ?」
西園寺「え?…待って、なにここ…なんで銃弾?」
西園寺が状況のおかしさに気づく
渡辺先生「あーもー!関口先生、なんで投げるんですか!」
堀田「やっちゃったね!」
関口先生「命と引き換えにしたら軽いですよ、バインダーくらい」
晶場「いやっ、多分そうじゃなくて」
乙見「バレる方がヤバいんじゃないですか?」
関口先生「あ、そうでしたね」
とキョトンとする関口先生
西園寺「えっ、まって、どゆこと?」
前川「あはは…もうこれ隠しようないよね…」
久保「あーあ、初日にバレちゃったか」
石井「んぁー、バレたからには仲間だな、ここに入るの確定だ!」
西園寺「あ、まぁそれはいいけど」
徳田「殺し屋だよ、見たからにはね」
にやりと笑う
西園寺「ころ…?殺し屋?!」
キム先生「ははっ、典型的な良い反応!」
西園寺はガバっと机から立ち上がり
西園寺「やばいやばいやばい!!俺帰る!やっぱこのクラス無理!!」
川瀬「ちょ!廊下行くの危険だって!」
風宮「外にも“いる”かもしれないし」
西園寺「“いる”?!!って誰が?!」
徳田「君を撃ち抜こうとしてる殺し屋かなぁ」
完全に西園寺を弄んでいる
西園寺「落ち着いて言うことじゃない!!」
久保「むしろ落ち着いて言わないと全員パニックなんで…」
関口先生「ええと、西園寺くん。はい、落ち着いてくださいね。
まず8組は――」
関口先生「いやそのまえに、西園寺くん。君は狙われていて撃たれそ…」キム先生「はいストップ、関口くん。淡々と説明すると怖さ倍増するよ」
関口先生「あ、そうですか?」
西園寺「淡々と『撃たれそうでしたね』って言われた俺の気持ちは?!」
水野先生「もー、だから!危険物を投げないでって言ってるでしょ!」
キム先生「でも良いねーその反応!鮮度ある!初々しぃ!」
西園寺「た、助ける気ある???」
呆気にとられる西園寺
石井「まーまぁ、西園寺。
命狙われるってことは…ね?」
冴川「“価値がある”ってことだよ。西園寺くんに能力があるって証拠じゃない?」
西園寺「え、能力?なにそれ…」
キム先生「さーて、じゃあ引き出すの頑張ろー」
前川「うん、西園寺くん、逃げてもムダだからね〜」
前川がその場で西園寺を押さえ込む
西園寺「説明してから捕まえて!!」
田代先生「よし、歓迎会だ!!」
こうして無理やり8組の一員になった西園寺くん
どう活躍してくれるのかな?
……ただし、橋下の『炎火』だけは少し迷惑だった
沖田「もー!手が掛かる!」
冴川「調節できるかなぁ」
橋下「すまんすまん」
その結果、他クラスからは
「8組だけ気温差えぐい!」
とクレームが入るほどだった
[水平線]
そして、二学期になり、
転入生…?
渡辺先生「通常級から体験の生徒が入ります」
??「西園寺です、よろしくお願いします」
中学二年生にしては大柄なその男。目はぱっちり、まつ毛は濃く長く、爽やかな印象を与える
今井(大きい、普通の子よりも。軍人みたい…?)
徳田は西園寺の足元から背中まで、
まるで“情報を読み取るように”じっと観察していた
吉村ぎんじはいつもの無表情で、
しかし一瞬だけ目つきを鋭くする
鷹田「……先生、体験って何日間?」
関口先生(また厄介な気配だな…)
[太字]“バレたらどうなるか”[/太字]
それが上級生全員の頭に浮かんでいた
一番最初に話しかけに行ったのは、一年生の前川と井上
前川・井上「こんにちわー、はじめまして!」
西園寺は驚きながらたどたどしく挨拶を返す、
西園寺「こ、こんにちわ、西園寺です」
井上「西園寺くんよろしくねー」
前川「よろしくー」
しかし当の西園寺は、そんな視線に気づかず…
西園寺(…なんでみんな、こんな優しいんだ?
普通級より居心地がいい…)
戸惑いと安心が入り混じったような表情をしていた。
なんか見覚えある?と大江は思った
それもそのはず、こいつは何話か前の運動会の白団団員西園寺くん
さらにその隣で井上が無邪気に微笑む。
井上「ねえねえ、西園寺くんって運動得意なの?」
西園寺「え、あ、まあ……好きかな」
誰がどう見ても運動が得意そうな体格に、控えめで遠慮がちな発言
その対比が大きく、見ている者は思わずめまいがしそうだった
流石に誰もなぜこのクラスに体験に来た、とは聞けない
教室の空気は柔らかくても、無言の遠慮がそこには確かにある
でもだいたい…勉強についていけない、クラスに馴染めない、朝が苦手、…もしくはいじめ
西園寺自身も、それを口にする勇気はない
ただ、ここにいるだけ少し安心できる――そんな空気を感じていた
[太字]「いつ、この子に任務のことを話すか――」[/太字]
西園寺が正式にクラスに馴染み、本格的に活動に参加するまでは、軽々しく口に出せない
まだ体験入学の段階で、誰も強制できる立場ではないのだ
しかし、いつかは向き合わなければならない
この子が普通に生活している今の安心感を壊さないように――、
でも、もし任務や能力のことを知らないままだと、あとで危険が及ぶかもしれない
口に出さずとも、全員が同じ不安を抱えていた。
堀島が突然、髪をくしゃくしゃとかき上げて、
堀島「ま、窓! 閉めて!」
ビクッと肩を震わせながら叫ぶ
キム「ん?…了解」
キム先生が滑り込むように窓へ向かい、シャッと閉めた
バシュっと一発目は床に打ち込まれる
[中央寄せ]スナイパーだ[/中央寄せ]
しかも狙われているのは、西園寺!
西園寺「え?なんか俺の近くに…?」
西園寺の机の付近に、次々と弾丸が撃ち込まれる
川瀬(銃弾、見えてる?!)
坂本(ただ者じゃない…?)
西園寺は、すれすれで弾を避けていた。見えているかのように
そして、銃弾が西園寺の額めがけて飛んだ瞬間
そこで関口先生が
バインダーを投げる
バインダーが銃弾を弾いた
関口先生「…セーフ?」
西園寺「え?…待って、なにここ…なんで銃弾?」
西園寺が状況のおかしさに気づく
渡辺先生「あーもー!関口先生、なんで投げるんですか!」
堀田「やっちゃったね!」
関口先生「命と引き換えにしたら軽いですよ、バインダーくらい」
晶場「いやっ、多分そうじゃなくて」
乙見「バレる方がヤバいんじゃないですか?」
関口先生「あ、そうでしたね」
とキョトンとする関口先生
西園寺「えっ、まって、どゆこと?」
前川「あはは…もうこれ隠しようないよね…」
久保「あーあ、初日にバレちゃったか」
石井「んぁー、バレたからには仲間だな、ここに入るの確定だ!」
西園寺「あ、まぁそれはいいけど」
徳田「殺し屋だよ、見たからにはね」
にやりと笑う
西園寺「ころ…?殺し屋?!」
キム先生「ははっ、典型的な良い反応!」
西園寺はガバっと机から立ち上がり
西園寺「やばいやばいやばい!!俺帰る!やっぱこのクラス無理!!」
川瀬「ちょ!廊下行くの危険だって!」
風宮「外にも“いる”かもしれないし」
西園寺「“いる”?!!って誰が?!」
徳田「君を撃ち抜こうとしてる殺し屋かなぁ」
完全に西園寺を弄んでいる
西園寺「落ち着いて言うことじゃない!!」
久保「むしろ落ち着いて言わないと全員パニックなんで…」
関口先生「ええと、西園寺くん。はい、落ち着いてくださいね。
まず8組は――」
関口先生「いやそのまえに、西園寺くん。君は狙われていて撃たれそ…」キム先生「はいストップ、関口くん。淡々と説明すると怖さ倍増するよ」
関口先生「あ、そうですか?」
西園寺「淡々と『撃たれそうでしたね』って言われた俺の気持ちは?!」
水野先生「もー、だから!危険物を投げないでって言ってるでしょ!」
キム先生「でも良いねーその反応!鮮度ある!初々しぃ!」
西園寺「た、助ける気ある???」
呆気にとられる西園寺
石井「まーまぁ、西園寺。
命狙われるってことは…ね?」
冴川「“価値がある”ってことだよ。西園寺くんに能力があるって証拠じゃない?」
西園寺「え、能力?なにそれ…」
キム先生「さーて、じゃあ引き出すの頑張ろー」
前川「うん、西園寺くん、逃げてもムダだからね〜」
前川がその場で西園寺を押さえ込む
西園寺「説明してから捕まえて!!」
田代先生「よし、歓迎会だ!!」
こうして無理やり8組の一員になった西園寺くん
どう活躍してくれるのかな?