文字サイズ変更

イオチュー はちくみッッ!!

#20

ー2章戦う、闘う、戰う、ー 職業病だね…


「ついてこい!」と田代先生が言った

鷹田「え?!どこ行くんすか?!」
他の先生たちもぽかんとしてついていくと——
着いたのは、湖を見下ろす高台だった

田代先生「よっし!花火するぞ!!」
バックからごそっと、手持ち花火の袋を取り出す

みんな「え?!花火?!」

今井「多くね?!」

水野先生「か、勝手にですか?!」

田代先生「許可取りましたから!…よし!一人2本ずつ取れ!」

生徒「はーい!」

関口先生はカメラを構え、
「はいこっち向いてー」と生徒たちの笑顔を撮る
その頬は、いつになく緩んでいた


渡辺先生「離れすぎないでねー!」

みんな思い思いの場所で火をつけ、
ぱちぱちと小さな光が夜に咲いた

久保「綺麗だねぇ…」

川瀬「うん…」 

線香花火が、二人の間で小さく揺れている

久保「ねえ、任務のとき……鳩尾、平気だった?」

川瀬「あぁ、全然大丈夫!慣れてるし」

久保「……“慣れてる”って、そういうこと言わないで」

川瀬「ごめん。……心配してくれた?」

久保「……うん。あんなふうに倒れるの、もう見たくない」

風が吹いて、久保の髪が揺れる
その横顔が花火の光を受けて、やけに綺麗だった
川瀬はふっと笑う
 
川瀬「…すごく綺麗」

久保「ね、花火出来ると思わなかった」

川瀬「ううん。花火も、だけど……」
少し照れくさそうに、でもまっすぐに
川瀬「——久保が、綺麗」

久保「……っ」
久保の花火が、ふっと消えた
一瞬の静寂
見つめ合う二人
そして、ふふっと笑い合う


[大文字][大文字][中央寄せ]ドンッ!![/中央寄せ][/大文字][/大文字]

ぎんじ「じゅっ、銃声か?!」

キム先生「ちがう…」

「打ち上げ花火だ!!!」と、誰かが叫ぶ

田代先生「え、今日花火大会あったんだな」

石井「てか銃声に聞こえる俺らって…」

沖田「職業病だねぇ…」

どっと笑いが起きる
夜空に大輪の花が咲く

大江「……運いいな、私たち」

ぱあっと空が光った
笑い声と花火の音が重なって、
それは、戦う彼らにとって久しぶりの“夏”の音だった

[水平線]

三日目になった

朝、牧場のあたりにはうっすらと霧がかかっていた

キム先生「羊に続けー!」
キム先生が大声を上げ、全員は羊についていく

おっと、説明が遅れた
今は羊の放牧中だ

関口先生「あれ、どれが羊だ?」
そう言って石井の背中を、まるで動物かのように撫でる
石井「俺は人間です!!!」

田代先生「待て〜、ジンギスカーン」
霧を蹴って、羊の群れを追いかけている。大人気ないほど本気で

キム先生「ちょちょっ…動物虐待になっちゃう!」
思わず突っ込むキム先生

冴川「なんかさ…」
乙見「先生たち三人テンション上がってるよね」
晶場「うん、絶対」
と生徒たちはあきれ顔で、その大騒ぎを見守っていた

放牧のあとは自由行動で

橋元「ぎぃゃぁぁぁぁぁ」
高いところにあるブランコに乗っているところを、鷹田が全力で押している
鷹田「おらぁ!」


井上「なんじゃあれ」
井上と風宮がブランコを眺める
風宮「アルプスの少女ごっこ?」
井上「クララが立った〜」



――――牧場の中にあるレストランのバイキングへ

坂本「お腹減った…」

ここには自分でアイスが作れる機械などがある

鷹田「あ、あ!やば!」
あ、事故ってますね、アイス作りのレバーの止め方が分かないアホが1名

大江「…ん」
颯爽と現れ、ガシャッとレバーを止める
鷹田「お、大江さんに救われた…」

堀田「あ!チョコのやつに落とした!」
チョコファウンテンに具材を次々落としてしまう堀田

キム先生「待て待て、こう、こう!」
二人で四苦八苦しながらチョコフォンデュを楽しんでいる

そのキム先生を見ながら、

晶場「動き変じゃね?」
沖田「あー、なんかわかるかも」
乙見「変に腰庇ってるよね」
晶場「てか風邪ひいてんのかな、声が…」

そこにふらっと現れた関口先生が、
「騒ぎすぎたんだよ、キム先生は」
とだけ言って去っていく

それを見ていた徳田は、意味深に「……」と目を細めた



――ソーセージ作り体験をします!

講師の方に説明を受けた
井上「…で、なんだっけ?あんま話し聞いてなかった」
沖田「え?!真面目に聞こうよ!」
関口先生「嘘でしょ」
一応、一年の中での真面目枠です。彼女は

川瀬「え、これ合ってる?」

風宮「合って…ないね」

川瀬「やっぱりかぁ」

石井「ん、」
鷹田「んぉ」
石井と鷹田が、なぜか職人みたいな顔つきでテキパキとこなしている

ぎんじ「えい!」

堀島「雑すぎ!」

徳田「ちょ、前川くん、細い細い」

前川「えっ、うそ!」

石井鷹田以外はぎこちない…



水野先生「焼き終わるまで遊んでどうぞー」

みんな「わーい!」

乙見「うさぎみてくる!」

鳥羽「うわぁぁあぁぁ」

田代先生「はっはっは!ほら捕まえてみろー!」
田代先生と鳥羽が遊具で全力で遊んでいる

キム先生「……絶対大人じゃないね」

関口先生「ですね、でもキム先生も大概です」

キム先生「え、さっきのキミも言えない」

渡辺先生「いや、あなたら三人子供みたいにはしゃいでたから」

――ふと、風が変わった。
霧が少しずつ薄くなり、遠くの青空が顔を出していた


[水平線]
[中央寄せ]帰りのバス[/中央寄せ]

バスの揺れが、ゆっくりと体を包む
窓の外、牧場が遠ざかっていく
夕方の光が差し込み、車内をオレンジ色に染めていた


ぎんじ「いやー、楽しかったなぁ」

坂本「もう終わっちゃった…」

川瀬「次はまた来年だな!!」

キム先生「来年…ねぇ…」
(来年も続けられるのか…?この日常を…)
物憂げにそう言い、視線を窓の向こうに移す

関口がちらりと横目でキムを見る
何かを察したように、静かに言った
関口先生「大丈夫です、何があろうとも、彼らが…導いてくれます」

キム先生「…だね」

石井「あ、鷹ちゃんやっと寝た…」
石井が小声で言う

今井「やっと静かになった…」

久保「もう1日いたい〜」

井上「それなぁ」

―この日常を続けるためには、前に、前に、進み続けなければ
止まってしまったら…
止まってしまっても、8組の生意気な生徒たちが強引に進むさ―



ふと気づけば、みんな、寝ちゃってる
それを見て、キム先生は小さく息をついた

バスは、静かな夜道をまっすぐ進んでいった




















2025/11/07 20:49

かのん ID:≫ 1.9m6zyG3vt12
続きを執筆
小説を編集

パスワードをおぼえている場合はご自分で小説を削除してください。(削除方法
自分で削除するのは面倒くさい、忍びない、自分の責任にしたくない、などの理由で削除を依頼するのは絶対におやめください。

→本当に小説のパスワードを忘れてしまった
▼小説の削除を依頼する

小説削除依頼フォーム

お名前 ※必須
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
削除の理由 ※必須

なぜこの小説の削除を依頼したいですか

ご自分で投稿した小説ですか? ※必須

この小説は、あなたが投稿した小説で間違いありませんか?

削除後に復旧はできません※必須

削除したあとに復旧はできません。クレームも受け付けません。

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL
/ 20

コメント
[0]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL