＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿変な夢を見た。




[太字]ウスイ・リツ[/太字]はそう思いながら、憎ましいくらい澄んでいる青空を見上げた。




ウスイ・リツは、ごく普通の男子高校生だ。

日本の一般家庭に生まれ、平凡な人生を送ってきた男子高校生だ。

更にそこに付け加えることがあれば、容姿もごく普通ということくらいだろう。




首より少し上で揃えられた黒髪に、すれ違っても記憶に残るほど整っているわけでもない平凡な顔。

それが、ウスイ・リツという男について言える全ての情報だ。




「んで、高校卒業もせずに異世界に来てしまったわけだ･･････」




リツはそう言いながら、再び澄んだ空を見上げて、睨んだ。




リツは先程まで、高校から帰っていたはずだ。

帰ったら大学入試の勉強をしなくてはいけないけど、数学の課題もしなくてはと、そう考えていて、校門を出た瞬間、リツの視界は強い光で包まれた。

その眩しさに目を閉じ、次に開いた時は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




「見知らぬ街にいた、と･･････どう見ても、日本ではねぇよな」




リツの視界に映っているのは、二次元にしか存在していないような、様々な種族だ。

犬や猫などが人間ほどの大きさか、それより大きいくらいの背丈で、服を着て二足歩行していたり、車ではなく馬車が使われており、その馬車を引いているのは狼よりも一回り大きいくらいの犬に見える動物だ。




ドッキリにしては少し規模が多すぎるし、リツはアニメやゲーム、漫画の類が好きなので理解はすぐに出来た。


だが、理解は出来ても、それを受け入れることはリツには出来ない。




「とりあえずは言葉とかが通じるかを確認しねぇとな･･････オレって、なんでこんなに冷静なんだろ」




何故か冷静な自分に対してそう言いながらも、リツは重い腰を上げてベンチっぽい椅子から、立ち上がったのだった。