秘密の書き換え辞書
「莉緒って、普通じゃないよね」
よく、そう言われてきた。
たしかに僕は普通じゃないかもしれない。
よく妄想してぼーっとしてるし、女なのに自分のことを僕って言うし、アイドルの話とか全然わかんなくて、空気読めないこと言っちゃうし。
自分は普通じゃないんだ、ダメなんだって思い続けてきた。
でも、普通になれない。
それがたまらなく苦しかった。
ズブズブと、自己嫌悪の沼に沈んでいくみたいに。
ぱたん、と僕はアルバムを閉じた。
僕が見つめていたのは、一人だった頃の僕の写真。
鏡で今の自分の顔を見る。
うん。あの頃は絶望した暗い顔をしてたけど、今、僕の笑顔はキラキラ輝いてる。
それは、僕をそっくりそのまま受け入れてくれる人がいたから。
「普通」なんてないんだよって教えてくれたから。
だから今の僕があるんだ。
〈普通〉
普通なんて存在しない。僕らは一人一人違って、それぞれいいところがあるんだから。
「ありがとう」っていくら言っても言い切れないくらいだ。
ルルルル。
僕は電話をかけた。
『もしもし、莉緒? どうしたの?』
ああ、僕の大好きな君の声だ。
僕は無性に嬉しくなった。
『うん、沙月、あのね、急になんだよって思うかもしれないけど』
僕は一呼吸置いた。
『ありがとう』
『……っ……』
そのままの僕を大事にしてくれる君に。
伝えたかった。
『……わたしも』
『え?』
『わたしあの頃いじめられてたでしょ?』
『……うん』
『話しかけても、無視された。そっぽを向かれた。それでも、莉緒は』
……彼女の声が、震えてる。
『優しかった。笑顔を見せてくれた。一緒にいようねって、言ってくれた。たしかに莉緒は、「普通」っていうみんなが勝手に決めつけた枠とは、違うかもしれないよ。空気は読めないかもしれない。でもっ……』
沙月……。
『わたしは、莉緒の優しさが大好きだっ……!』
きっと、電話の向こうで、君はぼろぼろ泣いているのだと思う。
僕の目からも、思わず涙がこぼれた。
『……先に言うなよ。僕だって沙月が大好き……!』
二人で馬鹿みたいにいっぱい泣いた。
好きなだけ。
『『……大好き』』
よく、そう言われてきた。
たしかに僕は普通じゃないかもしれない。
よく妄想してぼーっとしてるし、女なのに自分のことを僕って言うし、アイドルの話とか全然わかんなくて、空気読めないこと言っちゃうし。
自分は普通じゃないんだ、ダメなんだって思い続けてきた。
でも、普通になれない。
それがたまらなく苦しかった。
ズブズブと、自己嫌悪の沼に沈んでいくみたいに。
ぱたん、と僕はアルバムを閉じた。
僕が見つめていたのは、一人だった頃の僕の写真。
鏡で今の自分の顔を見る。
うん。あの頃は絶望した暗い顔をしてたけど、今、僕の笑顔はキラキラ輝いてる。
それは、僕をそっくりそのまま受け入れてくれる人がいたから。
「普通」なんてないんだよって教えてくれたから。
だから今の僕があるんだ。
〈普通〉
普通なんて存在しない。僕らは一人一人違って、それぞれいいところがあるんだから。
「ありがとう」っていくら言っても言い切れないくらいだ。
ルルルル。
僕は電話をかけた。
『もしもし、莉緒? どうしたの?』
ああ、僕の大好きな君の声だ。
僕は無性に嬉しくなった。
『うん、沙月、あのね、急になんだよって思うかもしれないけど』
僕は一呼吸置いた。
『ありがとう』
『……っ……』
そのままの僕を大事にしてくれる君に。
伝えたかった。
『……わたしも』
『え?』
『わたしあの頃いじめられてたでしょ?』
『……うん』
『話しかけても、無視された。そっぽを向かれた。それでも、莉緒は』
……彼女の声が、震えてる。
『優しかった。笑顔を見せてくれた。一緒にいようねって、言ってくれた。たしかに莉緒は、「普通」っていうみんなが勝手に決めつけた枠とは、違うかもしれないよ。空気は読めないかもしれない。でもっ……』
沙月……。
『わたしは、莉緒の優しさが大好きだっ……!』
きっと、電話の向こうで、君はぼろぼろ泣いているのだと思う。
僕の目からも、思わず涙がこぼれた。
『……先に言うなよ。僕だって沙月が大好き……!』
二人で馬鹿みたいにいっぱい泣いた。
好きなだけ。
『『……大好き』』