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また、どこかで

#6


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 第一志望の大学に落ちて、滑り止めだった大学に入学した。
俺が魅せられた大学とは全く違って、この学校は最悪だ。

校舎はどこもぼろぼろだし、授業は眠い。
日が経つにつれて減っていく生徒。
俺も、その中の1人だった。


 俺は大森新之助。
地方では『本男』と呼ばれていた。

体はヒョロイくせに背が高くて、余計に細く見える。
いくら食っても、太らない。
そのうち、食うことすら嫌になって、カップラーメンとかばっか食べるようになった。

 大学に出るからと、母さんには無理を言って、寮に住むようになった。
母さんは病気だ。
父さんはいない。
俺は小さい時から母さんの看病をしていた。
時々、母さんの姉、俺のおばさんが診にくるが、たまにだ。

俺は、逃げた。
俺は、母さんを見るのが嫌になったんだ。
俺は、最低なやつだ。
俺は、母さんを殺した。

 母さんは、俺が大学をサボって夜に遊んでいる間に死んだ。
もう、会えない。
俺はその時、自分が犯した罪を自覚した。
なんて最低なやつなんだ。

 違う。
俺は初めから、俺が何をしているかなんて、わかっていたんだ。
なのに、見ていないふりを、気づいていないふりをしていただけなんだ。
もっと最低だ。
わかっていた、はずなのに。

 俺は大学を退学した。
寮を出て、家に帰った。
もちろん、家には誰もいない。

昼から酒を飲んで、タバコを吸った。
夜になったら家を出て、夜道をほっつき歩いた。
背が高いせいで、大人にしか見えない。
夜道を歩いていても、誰にも声をかけられない。
俺の心はまだ、子供のままなのに。

 ある日。
俺は路地裏でタバコを吸っていた。
くらい空に、煙がキラキラと光っている。

「お兄さん」
ふいに、右から声をかけられた。
目線だけ右に向けると、顎に髭を生やしたおっさんだった。
「んだよ」
「毎日、辛いでしょ。どう?楽になれるモノ、いらない?」

楽に、なれるー?

俺の辛さが、こんなおっさんだけど、認められた気がした。
俺は操られるように、おっさんが差し出した袋に手を伸ばした。

 その時、
「その子、ウチの子だから取らないでくれる?」
俺の横に、誰かが立っていた。

2025/05/17 09:49

あちゃぱ ID:≫ 1.5LHN/5O97I6
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