魔学研究部は今日も忙しい
[大文字][/大文字]「使えないんだ。先天性の異常みたいなやつ」
ま、マジか……。
「じゃあ……あたしらお仲間ですか!?」
「んなわけねーだろ。お前みたいなポンコツとおれのどこが仲間だ」
冷たくあしらわれた。塩対応。
……そっか……風瀬くん、使えないんだ。
少し、親近感が湧く。
でも、やっぱり……[太字]あたしとは、違うよね。[/太字]
風瀬くんは、先天性で使えないだけでやっぱり異世界人。
あたしは、[太字]人間……。[/太字]
楓は、ちょっとしんみりする。
「あのねえ楓ちゃん、翼は魔法は使えないけど[太字]他の面がエグいよ[/太字]」
ちゃ、ちゃん付けですか西園堂先輩……?
まあそれはおいておくことにして、
「エグいってどこがですか……?」[太字][/太字]
「あーそれはね、運動神経。翼、ちょっとそこの木刀で[太字]そこの岩割ってみて[/太字]」
楽は窓の外にある巨大なゴツい岩を指さした。
「楽さん、おれは見世物じゃないです」
不機嫌そうな翼。
「いーからいーから」
翼は渋々となぜか壁に立てかけてあった木刀を手に立ち上がる。
どうやら楽には弱いらしい。
「あの岩を割る……っ!?」
無理に決まってんじゃん。
どうやら異世界人の運動能力は人間と同じらしいから。
岩の前に、翼が木刀を構えて立った。
ースッー。
途端、空気が研ぎ澄ませられる。
翼の色の違う眼が、岩を見据えた。
翼が飛び上がって、美しく──、
腕を振る。
スパァァァン。
気持ちの良い音を立てて、岩は真っ二つに切れた。
また地面に降り立った翼は、息切れ一つしていなかった。
「すごい……」
楓は思わず呟いた。
すごいよ……風瀬くん!
「すごいっしょ、翼。俺の誇り」
楽も嬉しそうに翼と眼を輝かせる楓を見ている。
ばあーん!
部室のドアを思いっきり開けて、翼が思いっきり顔をしかめて入ってきた。
「やりましたよ、楽さん。これでいいですよね」
「うん、新入生たちにもわかってもらえたみたいだしね」
「別にわかってもらえなくてもいい……」
「なんか言った?」
「……」
楽と翼の会話はコントみたいだ。
ずっと圧倒されていた結奈がやっと口を開いた。
「西園堂先輩と風瀬は知り合いなんですか?」
「まあねー」
楽はニヤニヤして翼の顔を覗き込む。
「色々あって、お知り合いだよねー」
「やめてください、楽さん」
ようやく会話がやんだ。
楓はさっきから喋りたくて仕方がなかったので飛びつくように言う。
「風瀬くん! すごい! すっっっごい! 尊敬するっ!」
「ん? あ……まーなおれはお前とは違うから」
少し赤くなる翼。
「いいですわねこういう雰囲気」
「だねぇ」
「コッコピピーツツピピ」(白い鳥が喋った! 後で那々紀に聞いたところ「いいですね~」という意味らしい)
そんな会話をする部長と副部長(プラス一羽)。
[太字]「殺しますよ?」[/太字]
「な~にいってんの翼、そんなこと君ができるわけないじゃん」
「そろそろ……その会話やめましょうか、副部長、翼くん」
愛美が苦笑いで止めた。
「では、[太字]本題に入りましょう[/太字]」
紅葉がエヘンと咳払いをして、ホワイトボードに「やること」と書いた。達筆だ。
[太字]「この魔学研究部──略して魔研の、今後やることについてですわ」[/太字]
ま、マジか……。
「じゃあ……あたしらお仲間ですか!?」
「んなわけねーだろ。お前みたいなポンコツとおれのどこが仲間だ」
冷たくあしらわれた。塩対応。
……そっか……風瀬くん、使えないんだ。
少し、親近感が湧く。
でも、やっぱり……[太字]あたしとは、違うよね。[/太字]
風瀬くんは、先天性で使えないだけでやっぱり異世界人。
あたしは、[太字]人間……。[/太字]
楓は、ちょっとしんみりする。
「あのねえ楓ちゃん、翼は魔法は使えないけど[太字]他の面がエグいよ[/太字]」
ちゃ、ちゃん付けですか西園堂先輩……?
まあそれはおいておくことにして、
「エグいってどこがですか……?」[太字][/太字]
「あーそれはね、運動神経。翼、ちょっとそこの木刀で[太字]そこの岩割ってみて[/太字]」
楽は窓の外にある巨大なゴツい岩を指さした。
「楽さん、おれは見世物じゃないです」
不機嫌そうな翼。
「いーからいーから」
翼は渋々となぜか壁に立てかけてあった木刀を手に立ち上がる。
どうやら楽には弱いらしい。
「あの岩を割る……っ!?」
無理に決まってんじゃん。
どうやら異世界人の運動能力は人間と同じらしいから。
岩の前に、翼が木刀を構えて立った。
ースッー。
途端、空気が研ぎ澄ませられる。
翼の色の違う眼が、岩を見据えた。
翼が飛び上がって、美しく──、
腕を振る。
スパァァァン。
気持ちの良い音を立てて、岩は真っ二つに切れた。
また地面に降り立った翼は、息切れ一つしていなかった。
「すごい……」
楓は思わず呟いた。
すごいよ……風瀬くん!
「すごいっしょ、翼。俺の誇り」
楽も嬉しそうに翼と眼を輝かせる楓を見ている。
ばあーん!
部室のドアを思いっきり開けて、翼が思いっきり顔をしかめて入ってきた。
「やりましたよ、楽さん。これでいいですよね」
「うん、新入生たちにもわかってもらえたみたいだしね」
「別にわかってもらえなくてもいい……」
「なんか言った?」
「……」
楽と翼の会話はコントみたいだ。
ずっと圧倒されていた結奈がやっと口を開いた。
「西園堂先輩と風瀬は知り合いなんですか?」
「まあねー」
楽はニヤニヤして翼の顔を覗き込む。
「色々あって、お知り合いだよねー」
「やめてください、楽さん」
ようやく会話がやんだ。
楓はさっきから喋りたくて仕方がなかったので飛びつくように言う。
「風瀬くん! すごい! すっっっごい! 尊敬するっ!」
「ん? あ……まーなおれはお前とは違うから」
少し赤くなる翼。
「いいですわねこういう雰囲気」
「だねぇ」
「コッコピピーツツピピ」(白い鳥が喋った! 後で那々紀に聞いたところ「いいですね~」という意味らしい)
そんな会話をする部長と副部長(プラス一羽)。
[太字]「殺しますよ?」[/太字]
「な~にいってんの翼、そんなこと君ができるわけないじゃん」
「そろそろ……その会話やめましょうか、副部長、翼くん」
愛美が苦笑いで止めた。
「では、[太字]本題に入りましょう[/太字]」
紅葉がエヘンと咳払いをして、ホワイトボードに「やること」と書いた。達筆だ。
[太字]「この魔学研究部──略して魔研の、今後やることについてですわ」[/太字]