魔学研究部は今日も忙しい
「なんかすごい音したけど何やってんの?」
怒りに目を燃やしている紅葉に、座り込んでしまった楓、どうすればいいかわからなくて突っ立っている結奈。
そこに背の高い男子が顔を出した。
先輩だろうか。ハーフアップの髪がゆるーい雰囲気に合っている。
そしてまた、たいそうな美少年である。
「え……紅葉? どしたん?」
男子は驚いた顔をして、紅葉に声をかけた。
「──はっ」
我に返ったような紅葉。
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]としたことが! 怒りで我を失ってしまいましたわ……」
口調が落ち着いた紅葉。
さっきの彼女と、どちらが本性なのだろうか。
「あっ」
ぼんやりと座り込んでいた楓は、正気に戻って顔を上げた。
「すっ、すすす……すいませんでしたぁぁ!」
そしてまた土下座した。
[水平線]
「私も反省せねばなりません。部長として恥ずかしいですわ……」
「そっ、そんなことないですっ!」
紅葉に頭を下げられて、楓は慌てて言った。
皇女様に頭を下げられるなんて! めっそうもない!
そんなことをしている間に、もう全員部員が集まっている。
・宮ノ内紅葉(部長)3年 女
・[漢字]西園堂楽[/漢字][ふりがな]さいおんどうがく[/ふりがな](副部長)3年 男
・エル(なぜか名前しか名乗らない)(書記)
・[漢字]出雲那々紀[/漢字][ふりがな]いずもななき[/ふりがな] 2年 男(研究長)
・[漢字]浅井架琉[/漢字][ふりがな]あざいかける[/ふりがな] 2年 男
・[漢字]荻原愛美[/漢字][ふりがな]おぎわらまなみ[/ふりがな] 2年 女
・[漢字]風瀬翼[/漢字][ふりがな]かざせつばさ[/ふりがな] 1年 男
・天海結奈 1年 女
・葉月楓 1年 女
・謎な白い鳥(那々紀所有)
という感じである。
ちなみに楽というのはさっきのハーフアップの先輩だ。
エルは薄緑の髪に透けるような白い肌の中性的な見た目。なぜか「エル。書記です」と名乗ったきり自己紹介が終わった。
那々紀は白衣に丸ゴーグル。謎な白い鳥を肩にとまらせている。
架琉は元気そうな雰囲気。
愛美は優しそうで、おっとりした感じだ。
そして1年の翼。
黒髪に右目が赤茶、左目が碧色。
涼しげな顔立ちはまさにイケメンである。
……楓はさっきから翼のことが気になって仕方ないのだ。
顔がどうだとかそういう問題ではなく。
……なんか会ったことある気がする。
楓は召喚されてから約2年。
その間に会ったのだろうか。
いや、もっと、[太字]大事な人のような──。[/太字]
ううん。そんなはずない。
でも。
楓を見た翼が、一瞬、息を飲んだように見えたのは気のせい……?
[水平線]
「自己紹介、終わりましたね?」
「あの!」
「なんでしょう、楓殿」
か、楓殿……?
めちゃくちゃ違和感あるが、紅葉は皇女だからそう教えられているのかもしれない。
「質問があるんですけど、」
楓はさっきから一番気になっていたことをいう。
「エルさんって何年生なんですか?」
「ああ、エルね」
答えたのは紅葉やエル本人ではなく那々紀だ。
「エルは、学年とかないよ」
普通に意味のわからないことを言ってのけた。
「えっ? それってどういうこと──、」
「エルは、僕が創った[太字][漢字]人造人間[/漢字][ふりがな]アンドロイド[/ふりがな][/太字]だからね」
「はい。那々紀の言う通りです」
は、はああ?
エルさんが……、アンドロイド?
人間にしか見えないんだけど!
「僕の魔法は、[太字][漢字]創造主[/漢字][ふりがな]クリエーター[/ふりがな][/太字]。思い描いたものをその通りに創れるんだよ」
あーもう、異次元ですね。ってか異次元なんだけど。
魔法、やべぇな……。
[水平線]
「そういや、楓殿はどんな魔法が使えるのです?」
「なんかそれ謎に俺も気になるわ。なんでだか」
部長と副部長に口々に言われて、楓は口ごもった。
「……その……あたしは……」
「楓……」
結奈も困った顔をしている。
[太字]この世界では、魔法が使えるのが普通なんだ。[/太字]
使えないなんて言ったら、どんな反応されるんだろう。
使えない人も中にはいるらしいけど、稀だよね。
でも……そのうち知られること……。
[太字]「あたしは……、使えないんです」[/太字]
勇気を出して言った。
さて、何て言われるのだろうか。
「ああ、そうなんだ」
「?」
あまりにも普通に言われて、楓は拍子抜けした。
え、なにその反応?
「じゃあ、[太字]翼と一緒[/太字]じゃん」
「──え……風瀬くんも⁉︎」
楓は驚いた。
神秘的な目の色とかから、すごい魔法使えそうだなーと思っていたから。
すると翼に睨まれた。
「デカい声出すな」
「すすみません」
翼はため息をついて、言った。
[太字]「ああ。おれもだ」[/太字]
怒りに目を燃やしている紅葉に、座り込んでしまった楓、どうすればいいかわからなくて突っ立っている結奈。
そこに背の高い男子が顔を出した。
先輩だろうか。ハーフアップの髪がゆるーい雰囲気に合っている。
そしてまた、たいそうな美少年である。
「え……紅葉? どしたん?」
男子は驚いた顔をして、紅葉に声をかけた。
「──はっ」
我に返ったような紅葉。
「[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]としたことが! 怒りで我を失ってしまいましたわ……」
口調が落ち着いた紅葉。
さっきの彼女と、どちらが本性なのだろうか。
「あっ」
ぼんやりと座り込んでいた楓は、正気に戻って顔を上げた。
「すっ、すすす……すいませんでしたぁぁ!」
そしてまた土下座した。
[水平線]
「私も反省せねばなりません。部長として恥ずかしいですわ……」
「そっ、そんなことないですっ!」
紅葉に頭を下げられて、楓は慌てて言った。
皇女様に頭を下げられるなんて! めっそうもない!
そんなことをしている間に、もう全員部員が集まっている。
・宮ノ内紅葉(部長)3年 女
・[漢字]西園堂楽[/漢字][ふりがな]さいおんどうがく[/ふりがな](副部長)3年 男
・エル(なぜか名前しか名乗らない)(書記)
・[漢字]出雲那々紀[/漢字][ふりがな]いずもななき[/ふりがな] 2年 男(研究長)
・[漢字]浅井架琉[/漢字][ふりがな]あざいかける[/ふりがな] 2年 男
・[漢字]荻原愛美[/漢字][ふりがな]おぎわらまなみ[/ふりがな] 2年 女
・[漢字]風瀬翼[/漢字][ふりがな]かざせつばさ[/ふりがな] 1年 男
・天海結奈 1年 女
・葉月楓 1年 女
・謎な白い鳥(那々紀所有)
という感じである。
ちなみに楽というのはさっきのハーフアップの先輩だ。
エルは薄緑の髪に透けるような白い肌の中性的な見た目。なぜか「エル。書記です」と名乗ったきり自己紹介が終わった。
那々紀は白衣に丸ゴーグル。謎な白い鳥を肩にとまらせている。
架琉は元気そうな雰囲気。
愛美は優しそうで、おっとりした感じだ。
そして1年の翼。
黒髪に右目が赤茶、左目が碧色。
涼しげな顔立ちはまさにイケメンである。
……楓はさっきから翼のことが気になって仕方ないのだ。
顔がどうだとかそういう問題ではなく。
……なんか会ったことある気がする。
楓は召喚されてから約2年。
その間に会ったのだろうか。
いや、もっと、[太字]大事な人のような──。[/太字]
ううん。そんなはずない。
でも。
楓を見た翼が、一瞬、息を飲んだように見えたのは気のせい……?
[水平線]
「自己紹介、終わりましたね?」
「あの!」
「なんでしょう、楓殿」
か、楓殿……?
めちゃくちゃ違和感あるが、紅葉は皇女だからそう教えられているのかもしれない。
「質問があるんですけど、」
楓はさっきから一番気になっていたことをいう。
「エルさんって何年生なんですか?」
「ああ、エルね」
答えたのは紅葉やエル本人ではなく那々紀だ。
「エルは、学年とかないよ」
普通に意味のわからないことを言ってのけた。
「えっ? それってどういうこと──、」
「エルは、僕が創った[太字][漢字]人造人間[/漢字][ふりがな]アンドロイド[/ふりがな][/太字]だからね」
「はい。那々紀の言う通りです」
は、はああ?
エルさんが……、アンドロイド?
人間にしか見えないんだけど!
「僕の魔法は、[太字][漢字]創造主[/漢字][ふりがな]クリエーター[/ふりがな][/太字]。思い描いたものをその通りに創れるんだよ」
あーもう、異次元ですね。ってか異次元なんだけど。
魔法、やべぇな……。
[水平線]
「そういや、楓殿はどんな魔法が使えるのです?」
「なんかそれ謎に俺も気になるわ。なんでだか」
部長と副部長に口々に言われて、楓は口ごもった。
「……その……あたしは……」
「楓……」
結奈も困った顔をしている。
[太字]この世界では、魔法が使えるのが普通なんだ。[/太字]
使えないなんて言ったら、どんな反応されるんだろう。
使えない人も中にはいるらしいけど、稀だよね。
でも……そのうち知られること……。
[太字]「あたしは……、使えないんです」[/太字]
勇気を出して言った。
さて、何て言われるのだろうか。
「ああ、そうなんだ」
「?」
あまりにも普通に言われて、楓は拍子抜けした。
え、なにその反応?
「じゃあ、[太字]翼と一緒[/太字]じゃん」
「──え……風瀬くんも⁉︎」
楓は驚いた。
神秘的な目の色とかから、すごい魔法使えそうだなーと思っていたから。
すると翼に睨まれた。
「デカい声出すな」
「すすみません」
翼はため息をついて、言った。
[太字]「ああ。おれもだ」[/太字]