二次創作
短編集②【リクエスト停止】
創作元:黒子のバスケ
キャラ:高尾和成
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「ねぇ○○さん」
『ん、なに』
高尾に、やけに真剣な眼差しで見つめられる
私達の居る空気が、やや甘く感じる
「俺、○○さんのこと好き」
『.......そ』
一瞬ときめいてしまった自分に後悔する
コイツはああいう奴だ。冗談に決まってる
高尾が声を荒げて私を呼んだ
「○○さん!」
『んもぉ、なに.......』
高尾の足音がピタリと止まり、後ろを振り返る
私の腕を掴んだ高尾の顔は、伏せていて分からない
「○○さんのこと、好きって言ってるんすよ」
『.......冗談やめようよ』
あぁ、返答が遅くなる。自分でも動揺してるのが、手に取るように分かる
少しでも期待をしてしまっているから、冗談だと分かった時の辛さが痛いから、誤魔化してしまう
「冗談じゃないですから。本気で○○さんのこと好きなんすよ、」
『ねぇ、そろそろ怒るよ』
拳に力が籠る。それと同時に掴まれている腕に痛みが走る
「本気だって!!俺、○○さんのことマジでっ.........!」
『......っ!』
高尾の顔が上がり、泣きそうなその瞳にバチリと視線が合わさる
「○○さんが認めてくれた時から、ずっと好きで......!○○さんが怪我して帰ってきた時なんか、冷静を保つのに必死でっ......!!」
『.......』
私の目頭がじわじわと熱くなる
「ガチで、マジで、○○さんのことすきなんだよ........」
敬語の抜けた、蕩けた声は私の耳によく通る
頭の中が一気に高尾色になる
《○○さんはしゃーないっすからねっ!》
《ふははっ!いぇーいっ!》
《○○さんは、じっとしててください》
《○○さんっ......!!無事で、マジ.....》
《俺はありのままの○○さんを推しますね!》
私の頭にまで響く高尾の声。ほんとに、つくづく......
「ねぇ、○○さん.......『.....だって....だよ』.....え?」
『私だって........高尾のこと好きだよっ!!』
どこまでも振り回される
「.......っえ.......」
『.........』
私はバカでも鈍感でもない。だから直ぐに気付いてしまった
《.....次はないからな》
《あははっ!たかっ......!っひ.....ちっそくっ......!!》
《高尾はちょっとくらい人に頼ること》
《高尾!!無事に帰ってこないと、ぶちのめす!》
《高尾は普通にしてた方が、かっこいーよ》
嫌でも分かる。高尾にだけは甘いこと。心配性なこと。繊細なこと。でも、目の前の事を理由にして、遠ざけてた
それに、年齢の差があって、叶う筈のない事だって。
でも、ずっとずっと、この気持ちに蓋をしてた筈なのに、溢れてしまう
いっそぶちまけた方がいいって、
「高尾と一緒にいたい」「高尾を知りたい」「高尾に見てほしい」
「高尾のことが好きだ」って気持ちが抑えらなかった
生暖かいモノが頬をつたる
「っね、ちょ、.......」
『高尾のことが、どうしようもないくらい好きだよ......ずっと、高尾にだけ違うって分かってたよ.......!でも、高尾と私には大きな差があるってっ!』
一度溢れ出してしまったモノは止められない
『でも諦められなくって........っ。私だってっ.........ほんとはずっと、!!』
高尾のことが好きだったんだよ、そう言い終わる前にふわりと優しく包み込まれる
「○○さん........!!」
『っ........』
高尾の胸に顔を埋めて、溢れ出す涙を堪える
まるで、分かってるから.......と言われているような気がした
その安心感に嗚咽が漏れる
『.......っ.....ふ.......っう.....』
自分のみっともなさに幻滅する。
それなのに高尾は変わらず、何も言わずに優しく抱きしめてくれた
(ずっと、あなたの優しさに甘えています)