二次創作
短編集②【リクエスト可】
創作元:黒バス
キャラ:高尾和成
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私は思いもしなかったんだ。あの日、あの場所で、君に会ったことで全てが変わったことを
20XX年、6月9日。
ザーザー、と大粒の雨音が聞こえる。
私は色の変わったスカートと、ベタつく髪を触りながらため息をつく
今日は朝バタバタしていて、天気予報を見ていなかったのだ。でも、こんな不運はあるだろうか?........はぁ
止む気配のない雨を見ながら、時刻を見る
『16時32分.......』
ダメだ......お母さんも帰ってきてない。
最後の希望も失われて、私は1人ポツンと雨宿りをした
その時、誰かの足音が近づいてきた。
私はそんなことにも気づかず、ひたすらに絶望していた
そんな時だった。
あの、とやや低い声に呼ばれて、思わず「は、はいっ!」と裏返った返事をしてしまった
目の前の子は、少し笑って「雨宿り中......っすよね?」と優しく問いかけてくる
『あ、はい。お恥ずかしいことに.........傘を忘れたので』
「そっすか、」
私は、彼の右手に視線をやる。
傘、持ってるんだ。いいなぁ、
なんて、思うものの、恨むなら朝の自分を恨むしかなくて嫌気がさす。
そこで、彼が「じゃあ」と自分の頭に鞄を乗せて、今にも走り出しそうな格好をした
彼が、ずいっと傘を私の方へと差し出した
「それ、貸すっすわ!」
半ば無理矢理に押し付けられた、先まで彼に右手にあった傘。
え、と私が言葉を漏らすと「じゃあっ!」と彼は背を向けて走り去った
私は慌てて、ちょま、!と手を伸ばすが、背中は遠くなっていく
『えぇ.........貸すって言われても、返せないし......それに、名前とか.........』
独り言のように呟いたら、ひらり、と傘から名札が見えて、確認をする
『高尾、かずなりくん......?』
はぁ、と浅いため息をついて傘を開く
どこの人か、どんな人か、全くわからないけど傘、返せたらいいな
そんなことを考えるけど、私はどこかで"絶対にまた会える"なんて勘が働いた
(梅雨の時期には恋風を送ってしまおうか)