二次創作
短編集②【リクエスト停止】
創作元:HQ
キャラ:黒尾鉄朗
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私は一度、死のうとした。
その頃、17歳の高校2年生。7年前のそんなことを思い出してしまうことになったのは、
今、私が死のうとしているから
『.........』
生温い風が柔らかく吹いて、私を包もうとする
7年前、死のうとしたのに今生きているのは、ひとつの理由があった
《俺が、●●さんを必要としてるよ》
.........まぁ、今思い出したところで何にもならないか
あの頃みたいに、彼は駆けつけてくれないから。
星が光る夜空を見上げながら、口をゆっくり開ける
『くろ.......いや、やめよ』
今更、彼の名前を口に出しても、その存在に縋ってしまうだけだ
「......ふぅ、」私は一息ついて、冷たい歩道橋に立つ
車が通る車道を見て、申し訳なくなる
私を弾いた人は災難、としか言えないな。どうか、誰も私を弾きませんように
コツコツ、とやけに早いスピードで歩道橋を渡る音を聴いて、また申し訳なくなる
嫌なとこ、見せちゃうな。ごめんね
もしかしたら私を弾くかもしれない人、この光景を見ることになる歩行者、歩道橋を渡る人、
『死ぬ時まで、嫌な思いさせちゃって、ごめんね』
あぁ、やっとこの"苦しい世界"から逃れられる
でもちょっとだけ.......あの人に会いたかったな
生暖かい風が私の体を後ろへと傾ける
『さようなら、世界』
さようなら、淡い思い出
_____この時、私は夜空に光る、太陽のような人と目が合った
「......ッ、間に合った!!」
バシッと、痛い音が鳴らせながら腕を取られる
覚えしかない声と、顔に、私の目から生暖かいモノが頬へと伝っていく
『な、なんっ.........で』
どうして、ここにあなたが
出かけた疑問は口からうまく出なくて、苦い思い出が脳内に駆け巡っただけだった
《俺さ、●●さんに死なれたら困るんだよね》
私の目を見ながら、少し息を切らしながらも、太陽のような笑顔を浮かべて彼は言った
「好きな子に死なれちゃ、困るんだよねっ......!」
《なんでって...........、........"友達"だから》
その姿は、まるで夜空に咲く一番星のようだった
(あの日、はぐらかしてしまった本音を今)
(今、伝えられてしまった本音が)