この恋が終わる頃、また世界が爆破する。
翌朝、街中を飾る大きな見出しに
は?と声を荒げたくなった。
”美しい少年を襲った狂気に塗れた少女”
めがねをかけ直し、さらに目をこする。
期待なんかせず顔を上げるけど
やっぱりそこにはカメラ越しの僕とあの女子高生がいて。
指先まで広がる不快感を押し潰そうとばかりに
ギリッと歯を食いしばった。
この記事を作成した奴の気が知れない、し有り得ない。
人が死んだのに、何が美しいだ。
やるせない気分のまま舌打ちをした僕は
封鎖された駅から目線を外しタクシーの元へ急ぐ。
・ 「...そちらの女性もご一緒で?」
元々アプリで予約をしていたので
向かう先にはきちんとタクシーが止まっている。
財布の中身を確認して安心したとき
運転手さんがふいに僕を尋ねた。
質問の意味が分からず、少し沈黙が流れると
背後から耳障りな声が飛んできた。
「はい。一緒で良いですか?森川くん」
それは、きのう”なるせ”と名乗ったあの学生
「...良いと思うんなら一緒に来なよ」
ぶっきらぼうに言い切るも、
出来ることならこの場を今すぐ立ち去りたかった。
しかし予約した以上逃げるわけにも行かないから
密かな願いが叶うことはなく
隣に彼女が座る車内、かける言葉も見つからずして
ずり落ちたマスクを引き上げた。
そして、またこめかみが痛む。
本当にそろそろ病院に行った方が、と思うのと同時に
二度と行きたくない、という気持ちがせめぎ合う。
何かをしていなくちゃ落ち着けなくて
ラミネート加工されたスノードロップを握りしめた。
は?と声を荒げたくなった。
”美しい少年を襲った狂気に塗れた少女”
めがねをかけ直し、さらに目をこする。
期待なんかせず顔を上げるけど
やっぱりそこにはカメラ越しの僕とあの女子高生がいて。
指先まで広がる不快感を押し潰そうとばかりに
ギリッと歯を食いしばった。
この記事を作成した奴の気が知れない、し有り得ない。
人が死んだのに、何が美しいだ。
やるせない気分のまま舌打ちをした僕は
封鎖された駅から目線を外しタクシーの元へ急ぐ。
・ 「...そちらの女性もご一緒で?」
元々アプリで予約をしていたので
向かう先にはきちんとタクシーが止まっている。
財布の中身を確認して安心したとき
運転手さんがふいに僕を尋ねた。
質問の意味が分からず、少し沈黙が流れると
背後から耳障りな声が飛んできた。
「はい。一緒で良いですか?森川くん」
それは、きのう”なるせ”と名乗ったあの学生
「...良いと思うんなら一緒に来なよ」
ぶっきらぼうに言い切るも、
出来ることならこの場を今すぐ立ち去りたかった。
しかし予約した以上逃げるわけにも行かないから
密かな願いが叶うことはなく
隣に彼女が座る車内、かける言葉も見つからずして
ずり落ちたマスクを引き上げた。
そして、またこめかみが痛む。
本当にそろそろ病院に行った方が、と思うのと同時に
二度と行きたくない、という気持ちがせめぎ合う。
何かをしていなくちゃ落ち着けなくて
ラミネート加工されたスノードロップを握りしめた。