#参加募集!# 妖狐の姫
「おはよー」
「おはよう、はるちゃん」
今日も叔母に甘やかされる一日が、始まる。
「今日のお弁当、おかずはなにがいい?」
ちょっとくらい自分で考えろよな、と思いながら返事をする。
「うーん。昨日食べれなかったハンバーグかなー」
結局あのまま寝落ちして、叔母が作った遙瑀の大好物のハンバーグを食べられなかったのだ。
「分かったわ、はるちゃんはあのハンバーグ大好きだもんねぇ」
ニコニコと微笑む叔母の愛が、今日も重い。
「行ってきます」
「いってらっしゃい。最近暗いから早く帰って来てね」
顔が暗かったのか、と焦るが、そういうことではなさそうで安堵の息をつく。
いつも通り、朝でも暗い路地を通る。
昨日はなかった煙草のかすが落ちている横で着替える。
「よしッ」
声を出して気合いを入れると、遙瑀は路地から通学路へ出た。
「おっはよーはるっ!」
翠羅の明るい声が聞こえた。
「待たないでいいっていっつも言ってるだろ?」
「えー、でもー、はるがいないと落ち着かないから!」
「どーせ俺を叩きたいだけだろ」
うっ、と言葉に詰まる翠羅。
合気道を習っていた翠羅から逃げるのはかなり難しいのでできればやめてほしいところだ。
「よく分かってんじゃんかはるぅー」
バシバシ翠羅は遙瑀を叩く。
「痛い痛い痛い痛い」
遙瑀は広い通学路を逃げ回った。
学校についてしまえば、放課後までは普通に勉強ができる。はずだった。
「あら、はる。こんにちは」
「うげっ」
眠りかける遙瑀を肩を叩いて起こしたのは、遙瑀の親友、蘇芽理 来夏。
紫の着物を上品に着こなす、ストレートの髪を靡かせる美女だ。
「…久しぶりだな」
「ええ」
優雅に頷く来夏。
久しぶりに会うのは、[漢字]こいつ[/漢字][ふりがな]来夏[/ふりがな]がはっきり言えば不登校だからだ。
そうとは言え、いじめられてるわけでもないので、単に学校にきたくないだけだろうと思う。
「お前、制服ぐらい着ろよな」
「あァら、あなたも同じですわ」
厳しいところを突かれる。
そう、来夏は遙瑀が男装していることを知っている数少ないうちの一人だ。
あとは翠羅くらいか。
小さい頃からずっと一緒にいるので、急に男装し始めたのも勿論知っている。
(…なんで来夏はわかったんだろーなあ)
来夏に男装のことを言った覚えはないのに、いつしか見抜かれていたのだ。
「あんまおっきい声で言うなよ」
「もちろん」
自信たっぷりに頷く来夏。
嫌味な性格ではなかったはずだが… 遙瑀の秘密を知ってからな気がする、嫌味になったのは。
半ば苛つきながら遙瑀は朝の会の号令をかけるために声を張り上げた。
「やあああっと終わったあ…」
声が出てしまう。
来夏は斜め後ろの席で、ずっと嫌味な視線を送ってくるので全く休めない。
「なにが終わったので?」
「い、いやなんでも」
[漢字]こいつ[/漢字][ふりがな]来夏[/ふりがな]は、遙瑀の中で要注意人物になった。
「今日はライちゃんもいることだし、三人で帰ろお!」
翠羅が拳を突きあげて、遙瑀はため息をついた。
まあでも…帰る時くらいは、一緒にしてあげるか。
なんだかんだ優しい遙瑀であった。
[水平線]
「それでは、私はここで」
「あ、私も行く!そんじゃあ、はるまた明日!」
「ああ」
遙瑀は短く音を発して、路地へと入った。
今日も[漢字]娘[/漢字][ふりがな]オンナノコ[/ふりがな]になってから家へ帰ろうとすると…。
後ろから、ひそひそ声が聞こえてきた。
「ねえ、あれって…!?」
「だよね、私も思った」
よく似た女の子たちの声。
(まじか、見られた!?)
遙瑀は冷や汗をダラダラとかく。
すると、足元に[漢字]異形[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]の影が落ちた。
遙瑀はびく、と震える。
恐る恐る振り返ると、そこに居たのは…!
「おはよう、はるちゃん」
今日も叔母に甘やかされる一日が、始まる。
「今日のお弁当、おかずはなにがいい?」
ちょっとくらい自分で考えろよな、と思いながら返事をする。
「うーん。昨日食べれなかったハンバーグかなー」
結局あのまま寝落ちして、叔母が作った遙瑀の大好物のハンバーグを食べられなかったのだ。
「分かったわ、はるちゃんはあのハンバーグ大好きだもんねぇ」
ニコニコと微笑む叔母の愛が、今日も重い。
「行ってきます」
「いってらっしゃい。最近暗いから早く帰って来てね」
顔が暗かったのか、と焦るが、そういうことではなさそうで安堵の息をつく。
いつも通り、朝でも暗い路地を通る。
昨日はなかった煙草のかすが落ちている横で着替える。
「よしッ」
声を出して気合いを入れると、遙瑀は路地から通学路へ出た。
「おっはよーはるっ!」
翠羅の明るい声が聞こえた。
「待たないでいいっていっつも言ってるだろ?」
「えー、でもー、はるがいないと落ち着かないから!」
「どーせ俺を叩きたいだけだろ」
うっ、と言葉に詰まる翠羅。
合気道を習っていた翠羅から逃げるのはかなり難しいのでできればやめてほしいところだ。
「よく分かってんじゃんかはるぅー」
バシバシ翠羅は遙瑀を叩く。
「痛い痛い痛い痛い」
遙瑀は広い通学路を逃げ回った。
学校についてしまえば、放課後までは普通に勉強ができる。はずだった。
「あら、はる。こんにちは」
「うげっ」
眠りかける遙瑀を肩を叩いて起こしたのは、遙瑀の親友、蘇芽理 来夏。
紫の着物を上品に着こなす、ストレートの髪を靡かせる美女だ。
「…久しぶりだな」
「ええ」
優雅に頷く来夏。
久しぶりに会うのは、[漢字]こいつ[/漢字][ふりがな]来夏[/ふりがな]がはっきり言えば不登校だからだ。
そうとは言え、いじめられてるわけでもないので、単に学校にきたくないだけだろうと思う。
「お前、制服ぐらい着ろよな」
「あァら、あなたも同じですわ」
厳しいところを突かれる。
そう、来夏は遙瑀が男装していることを知っている数少ないうちの一人だ。
あとは翠羅くらいか。
小さい頃からずっと一緒にいるので、急に男装し始めたのも勿論知っている。
(…なんで来夏はわかったんだろーなあ)
来夏に男装のことを言った覚えはないのに、いつしか見抜かれていたのだ。
「あんまおっきい声で言うなよ」
「もちろん」
自信たっぷりに頷く来夏。
嫌味な性格ではなかったはずだが… 遙瑀の秘密を知ってからな気がする、嫌味になったのは。
半ば苛つきながら遙瑀は朝の会の号令をかけるために声を張り上げた。
「やあああっと終わったあ…」
声が出てしまう。
来夏は斜め後ろの席で、ずっと嫌味な視線を送ってくるので全く休めない。
「なにが終わったので?」
「い、いやなんでも」
[漢字]こいつ[/漢字][ふりがな]来夏[/ふりがな]は、遙瑀の中で要注意人物になった。
「今日はライちゃんもいることだし、三人で帰ろお!」
翠羅が拳を突きあげて、遙瑀はため息をついた。
まあでも…帰る時くらいは、一緒にしてあげるか。
なんだかんだ優しい遙瑀であった。
[水平線]
「それでは、私はここで」
「あ、私も行く!そんじゃあ、はるまた明日!」
「ああ」
遙瑀は短く音を発して、路地へと入った。
今日も[漢字]娘[/漢字][ふりがな]オンナノコ[/ふりがな]になってから家へ帰ろうとすると…。
後ろから、ひそひそ声が聞こえてきた。
「ねえ、あれって…!?」
「だよね、私も思った」
よく似た女の子たちの声。
(まじか、見られた!?)
遙瑀は冷や汗をダラダラとかく。
すると、足元に[漢字]異形[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]の影が落ちた。
遙瑀はびく、と震える。
恐る恐る振り返ると、そこに居たのは…!