これが4人のルームシェア
倉近「ねぇ、ぎんじ、聞いた?」
ぎんじ「聞いた」
布団の上でトランプの手を止め、ぎんじと顔を見合わせた。
──隣の部屋から、雪世の「ハグっ!」が飛び込んできたから。
倉近「ねえ……ハグって今、ほんとに“ハグ”って意味で言ってたよね?」
ぎんじ「なんならその直前、“抱きついていい?”って確認してたからな」
倉近「てか、微妙に会話成立してなくて笑える」
ぎんじ「それな」
倉近「てか…えっ、やば……こっちはババ抜きで平和に盛り上がってるのに、隣ではバカップル爆誕!?」
ぎんじ「しかもテンション高い方がのぼせた相手に抱きつく構図。下手すりゃ犯罪」
倉近「いやもう……何これ、朝になったら“ふたり別の世界の住人”になってたらどうするよ?」
ぎんじ「“雪世と前田、夏の旅館で恋に落ちる”ってスポーツ新聞案件」
倉近「見出しにすんなって」
妄想が膨らむ中、次の一言が聞こえる。
──雪世「はい、連れてきます!」
もうその言葉だけで状況は察せた。
倉近「……あいつら、一線越えるかも」
ぎんじ「“のぼせた前田に強引に抱きつく雪世、そしてベットへ”…って、だいぶドラマチックな絵面だな」
倉近「いやもう、私らがやってるババ抜きが清すぎて泣けてくる」
ぎんじ「てかこれ、お姫様抱っこか?」
倉近「あるいは肩に担いで投げ込みスタイル。プロレスか恋愛かどっちだよ」
ぎんじ「俺ら明日顔合わせられるかな。無理だよな」
倉近「無理。記憶から消すわ。今夜のことは忘れよう」
そして――
前田「寝る。黙れ。息も静かにしろ」
……その瞬間、すべてが崩れた。
倉近、ぎんじ「えっ……」
倉近、ぎんじ「……えーーーっ!!?」
数秒の沈黙のあと、私たちは同時に叫んだ。
「「勘違いだったーーーー!!」」
思わずトランプをぶちまけて爆笑。
倉近「れんちゃん、めちゃくちゃいつも通りだった……!」
ぎんじ「むしろ安定の冷たさが光ってたな……」
倉近「うん。“情”ある“諦め”の声だった気がする」
しばらく笑い転げたあと、ようやくトランプ再開。
ぎんじ「でもさ、もし怒ってないなら……ちょっとくらいは進展したな」
倉近「うん。雪世のテンション、マジで浮かれてたし。きっと本人には、でっかい一歩だよ」
結局、何も起きていない。
そして笑いながら、ふたりはまたトランプを手に取った。
──旅の夜は、思っていたよりにぎやかで、想像以上に楽しいものになっていた。
[水平線]
旅館・朝の食堂
朝の光が柔らかく差し込む中、4人は浴衣姿で食堂に現れる。
湯上がりのほてりも少し残るような、眠気混じりの空気。
倉近「あ〜……この匂いだけで旅館に来た価値あるわ……」
ぎんじ「鮭と味噌汁と白ご飯の破壊力な。腹が正直すぎて笑う」
前田「テンションに反して、体はもう飯モード入ってるんだよな……」
女将「4名様、どうぞお好きな席へ」
4人が空いている席を見回し、自然と2人ずつに分かれて座ろうとした時……
前田「じゃ、俺ここで──」
ぽす、と窓際の席に座る前田
雪世「よっしゃそこ行くわ!!」
どすんと向かいに着席。迷いゼロの着地
前田「お前……なんでそこ座る?他空いてるだろ」
雪世「前田さんと朝から向かい合って飯を食う。それが“旅”ってもんだろ」
前田「それ地獄のルールな」
倉近「え、どうする?私ぎんじの向かいでいい?」
ぎんじ「うん。前田さん、ドンマイ」
前田「助けろよ誰か……」
雪世「なぁ、前田さん。今日の味噌汁、ちょっと出汁効いてるよな?一口いる?」
前田「それ自分の感想で完結してくれ」
雪世「じゃあ玉子焼き交換──」
前田「自分の食えっつってんだろ!!」
倉近「朝からうるさいわ。味噌汁冷める……」
ぎんじ「てか雪世、お前前田さんと顔合わせるために向かい座ってるけど、ガチでホラーシーンだぞ?」
雪世「距離と緊張が生む、運命の会話劇。これが旅情ってやつだ」
前田「もうほんと黙って食えよ」
女将「まぁ、仲の良いお連れ様方で……」
前田「いや、ちゃうんですよ…ほんとに」
温泉街・射的屋前
倉近「うわっ、ここ射的あるじゃん!ぎんじ、やろやろ〜」
ぎんじ「おお、負けたら温泉まんじゅう奢りな」
一方その頃、後方組──
雪世「……前田さん、やるか。射的。勝った方のお願い、ひとつ」
前田「お前それ、ジャンケンでも言ってたよな」
雪世「今度は弾で語るんだよ。“バン”って撃って、“キュン”ってさせるやつ!」
前田「その口、あと3秒続けたら撃ち抜くぞ」
倉近「れんちゃん、射的下手なのにやるの!?」
前田「あ!!」
倉近「ねえ?だって前、サバゲーとかしたらまともに当たんねぇ”って自分で言ってたじゃん」
雪世「うわ、やば……これは勝てる……」
前田「待て、話せばわかる!! 3発に1発くらいは当たるかもしれないだろ!」
ぎんじ「それもう散弾の精度やぞ」
店主が苦笑しながらライフルを差し出す。
雪世「じゃ、勝負ね。5発勝負。一番奥の金のライター倒した方が勝ち!」
前田「ちょっと待て、せめてもっと手前のやつにしようぜ……!」
雪世「はい聞こえなーい、勝負スタートでーす!」
バンッ! 前田の1発目──“見事に”的の右にそれる。
倉近「っはは、ほんとに当たってない!」
前田「いや今のは風のせい!この室内、風通し良すぎ!!」
ぎんじ「……木造だからな。うん、まぁ、気持ちの問題だよな」
続いて雪世。構えて、軽く息を吐いて──
バン!
ピシィン、と命中。金のライターが倒れる。
雪世「よっしゃぁああああああ!!神エイムぅぅぅ!!」
前田「お前なんでそんな得意なんだよ……FPSか?」
雪世「バーチャルでもリアルでも、俺の愛は前田さんを撃ち抜くってことだな!」
前田「やかましいわ!!!で、何のお願いだよ今度は!!」
雪世「前田さんと肩組んで、写真撮りたいです!!!」
前田「……………………………………」
前田「死んだほうがマシかも」
倉近「はいはい、はいポーズ〜!撮るよ〜!」
前田「まだ返事してねぇだろ!!」
雪世「もう構えてるから!もうシャッター切られる未来しか見えないから!」
──そして、仕方なく肩を寄せる前田の、人生史上もっとも表情が迷子な写真が撮れた。
雪世「前田との初・ツーショ!一生大事にする!!」
前田「私の目が半開きだったらデータ消せよ」
倉近「むしろその顔が貴重すぎて記念になるわ」
ぎんじ「“射的は下手だけど、照準は確かに雪世に向いてた”ってキャプションつけるか?」
前田「お前ら全員SNS禁止な」
[水平線]
玄関の扉がバタン、と閉まった。
倉近「……あー!!疲れたー!!」
ぎんじ「でも楽しかったな。2泊くらいにすればよかったか?」
雪世「旅館の夜、最高だったな……オレ今なら5年は戦える……」
前田「一泊で充分。むしろ情報量が多すぎた」
スーツケースを部屋の隅に放り込み、みんなでダイニングへ。
旅の終わりのテンションがまだ少しだけ残ってる。
キッチンから誰かが水を汲む音、ソファの軋む音、そしてぽつりぽつりとこぼれる言葉。
倉近「ねぇ、前田さん、帰りにずっと無言だったけど、疲れた?」
前田「いや……ただ、静かにしてたら“また”喋られるかなって思って」
雪世「うん、正解だったね♡」
前田「正解じゃねぇよ」
ぎんじがふと、スマホを取り出して写真をテレビにミラーリング。
大画面に、旅館の食卓、射的の一瞬、そして――前田と雪世のツーショット。
前田「おい、なんでこれ一番最初に出すんだ」
ぎんじ「いや、“事件性”あるでしょ、これは」
倉近「しかも前田さんの顔、世界一イヤそうなのに、ちゃんと肩寄ってるのがいい」
雪世「奇跡の1枚だよな。前田さんが油断してるうちに、ぐいって距離詰めたんだよ」
前田「自慢すな」
写真が順々にスライドしていく。
笑って、喋って、そして少しだけ、静かになる。
ぎんじ「……なんかさ。帰ってきたのに、“まだ一緒にいる”って感じが、変な感じだよな」
倉近「でも逆にいいよね。こうして普通に一緒にごはん食べて、またトランプとかできる」
雪世「非日常を終えて、日常に戻っても、このメンバーってとこが最高」
前田「……うまいこと言ったつもりか?」
雪世「うん。いいこと言った。旅先じゃなくても、俺は前田さんの隣にいたいっすね」
前田「だれかこの家、燃やしてくれ……」
倉近「てか、今夜またトランプする?」
ぎんじ「ババ抜きで“旅の写真流出させる権”とかか?」
前田「絶対負けられない……!」
みんなが笑う。
雪世「……なあ、次はどこ行く? 秋とか、紅葉とかどう?」
前田「まだ帰ってきたばっかだぞ。せめて洗濯終わってから言え」
倉近「やだ、もう行く気ない?れんちゃん?」
前田「……考えとく」
その一言で、全員が目を見合わせてニヤッと笑った。
──旅が終わっても、4人のにぎやかな日常はまだまだ続く。
ぎんじ「聞いた」
布団の上でトランプの手を止め、ぎんじと顔を見合わせた。
──隣の部屋から、雪世の「ハグっ!」が飛び込んできたから。
倉近「ねえ……ハグって今、ほんとに“ハグ”って意味で言ってたよね?」
ぎんじ「なんならその直前、“抱きついていい?”って確認してたからな」
倉近「てか、微妙に会話成立してなくて笑える」
ぎんじ「それな」
倉近「てか…えっ、やば……こっちはババ抜きで平和に盛り上がってるのに、隣ではバカップル爆誕!?」
ぎんじ「しかもテンション高い方がのぼせた相手に抱きつく構図。下手すりゃ犯罪」
倉近「いやもう……何これ、朝になったら“ふたり別の世界の住人”になってたらどうするよ?」
ぎんじ「“雪世と前田、夏の旅館で恋に落ちる”ってスポーツ新聞案件」
倉近「見出しにすんなって」
妄想が膨らむ中、次の一言が聞こえる。
──雪世「はい、連れてきます!」
もうその言葉だけで状況は察せた。
倉近「……あいつら、一線越えるかも」
ぎんじ「“のぼせた前田に強引に抱きつく雪世、そしてベットへ”…って、だいぶドラマチックな絵面だな」
倉近「いやもう、私らがやってるババ抜きが清すぎて泣けてくる」
ぎんじ「てかこれ、お姫様抱っこか?」
倉近「あるいは肩に担いで投げ込みスタイル。プロレスか恋愛かどっちだよ」
ぎんじ「俺ら明日顔合わせられるかな。無理だよな」
倉近「無理。記憶から消すわ。今夜のことは忘れよう」
そして――
前田「寝る。黙れ。息も静かにしろ」
……その瞬間、すべてが崩れた。
倉近、ぎんじ「えっ……」
倉近、ぎんじ「……えーーーっ!!?」
数秒の沈黙のあと、私たちは同時に叫んだ。
「「勘違いだったーーーー!!」」
思わずトランプをぶちまけて爆笑。
倉近「れんちゃん、めちゃくちゃいつも通りだった……!」
ぎんじ「むしろ安定の冷たさが光ってたな……」
倉近「うん。“情”ある“諦め”の声だった気がする」
しばらく笑い転げたあと、ようやくトランプ再開。
ぎんじ「でもさ、もし怒ってないなら……ちょっとくらいは進展したな」
倉近「うん。雪世のテンション、マジで浮かれてたし。きっと本人には、でっかい一歩だよ」
結局、何も起きていない。
そして笑いながら、ふたりはまたトランプを手に取った。
──旅の夜は、思っていたよりにぎやかで、想像以上に楽しいものになっていた。
[水平線]
旅館・朝の食堂
朝の光が柔らかく差し込む中、4人は浴衣姿で食堂に現れる。
湯上がりのほてりも少し残るような、眠気混じりの空気。
倉近「あ〜……この匂いだけで旅館に来た価値あるわ……」
ぎんじ「鮭と味噌汁と白ご飯の破壊力な。腹が正直すぎて笑う」
前田「テンションに反して、体はもう飯モード入ってるんだよな……」
女将「4名様、どうぞお好きな席へ」
4人が空いている席を見回し、自然と2人ずつに分かれて座ろうとした時……
前田「じゃ、俺ここで──」
ぽす、と窓際の席に座る前田
雪世「よっしゃそこ行くわ!!」
どすんと向かいに着席。迷いゼロの着地
前田「お前……なんでそこ座る?他空いてるだろ」
雪世「前田さんと朝から向かい合って飯を食う。それが“旅”ってもんだろ」
前田「それ地獄のルールな」
倉近「え、どうする?私ぎんじの向かいでいい?」
ぎんじ「うん。前田さん、ドンマイ」
前田「助けろよ誰か……」
雪世「なぁ、前田さん。今日の味噌汁、ちょっと出汁効いてるよな?一口いる?」
前田「それ自分の感想で完結してくれ」
雪世「じゃあ玉子焼き交換──」
前田「自分の食えっつってんだろ!!」
倉近「朝からうるさいわ。味噌汁冷める……」
ぎんじ「てか雪世、お前前田さんと顔合わせるために向かい座ってるけど、ガチでホラーシーンだぞ?」
雪世「距離と緊張が生む、運命の会話劇。これが旅情ってやつだ」
前田「もうほんと黙って食えよ」
女将「まぁ、仲の良いお連れ様方で……」
前田「いや、ちゃうんですよ…ほんとに」
温泉街・射的屋前
倉近「うわっ、ここ射的あるじゃん!ぎんじ、やろやろ〜」
ぎんじ「おお、負けたら温泉まんじゅう奢りな」
一方その頃、後方組──
雪世「……前田さん、やるか。射的。勝った方のお願い、ひとつ」
前田「お前それ、ジャンケンでも言ってたよな」
雪世「今度は弾で語るんだよ。“バン”って撃って、“キュン”ってさせるやつ!」
前田「その口、あと3秒続けたら撃ち抜くぞ」
倉近「れんちゃん、射的下手なのにやるの!?」
前田「あ!!」
倉近「ねえ?だって前、サバゲーとかしたらまともに当たんねぇ”って自分で言ってたじゃん」
雪世「うわ、やば……これは勝てる……」
前田「待て、話せばわかる!! 3発に1発くらいは当たるかもしれないだろ!」
ぎんじ「それもう散弾の精度やぞ」
店主が苦笑しながらライフルを差し出す。
雪世「じゃ、勝負ね。5発勝負。一番奥の金のライター倒した方が勝ち!」
前田「ちょっと待て、せめてもっと手前のやつにしようぜ……!」
雪世「はい聞こえなーい、勝負スタートでーす!」
バンッ! 前田の1発目──“見事に”的の右にそれる。
倉近「っはは、ほんとに当たってない!」
前田「いや今のは風のせい!この室内、風通し良すぎ!!」
ぎんじ「……木造だからな。うん、まぁ、気持ちの問題だよな」
続いて雪世。構えて、軽く息を吐いて──
バン!
ピシィン、と命中。金のライターが倒れる。
雪世「よっしゃぁああああああ!!神エイムぅぅぅ!!」
前田「お前なんでそんな得意なんだよ……FPSか?」
雪世「バーチャルでもリアルでも、俺の愛は前田さんを撃ち抜くってことだな!」
前田「やかましいわ!!!で、何のお願いだよ今度は!!」
雪世「前田さんと肩組んで、写真撮りたいです!!!」
前田「……………………………………」
前田「死んだほうがマシかも」
倉近「はいはい、はいポーズ〜!撮るよ〜!」
前田「まだ返事してねぇだろ!!」
雪世「もう構えてるから!もうシャッター切られる未来しか見えないから!」
──そして、仕方なく肩を寄せる前田の、人生史上もっとも表情が迷子な写真が撮れた。
雪世「前田との初・ツーショ!一生大事にする!!」
前田「私の目が半開きだったらデータ消せよ」
倉近「むしろその顔が貴重すぎて記念になるわ」
ぎんじ「“射的は下手だけど、照準は確かに雪世に向いてた”ってキャプションつけるか?」
前田「お前ら全員SNS禁止な」
[水平線]
玄関の扉がバタン、と閉まった。
倉近「……あー!!疲れたー!!」
ぎんじ「でも楽しかったな。2泊くらいにすればよかったか?」
雪世「旅館の夜、最高だったな……オレ今なら5年は戦える……」
前田「一泊で充分。むしろ情報量が多すぎた」
スーツケースを部屋の隅に放り込み、みんなでダイニングへ。
旅の終わりのテンションがまだ少しだけ残ってる。
キッチンから誰かが水を汲む音、ソファの軋む音、そしてぽつりぽつりとこぼれる言葉。
倉近「ねぇ、前田さん、帰りにずっと無言だったけど、疲れた?」
前田「いや……ただ、静かにしてたら“また”喋られるかなって思って」
雪世「うん、正解だったね♡」
前田「正解じゃねぇよ」
ぎんじがふと、スマホを取り出して写真をテレビにミラーリング。
大画面に、旅館の食卓、射的の一瞬、そして――前田と雪世のツーショット。
前田「おい、なんでこれ一番最初に出すんだ」
ぎんじ「いや、“事件性”あるでしょ、これは」
倉近「しかも前田さんの顔、世界一イヤそうなのに、ちゃんと肩寄ってるのがいい」
雪世「奇跡の1枚だよな。前田さんが油断してるうちに、ぐいって距離詰めたんだよ」
前田「自慢すな」
写真が順々にスライドしていく。
笑って、喋って、そして少しだけ、静かになる。
ぎんじ「……なんかさ。帰ってきたのに、“まだ一緒にいる”って感じが、変な感じだよな」
倉近「でも逆にいいよね。こうして普通に一緒にごはん食べて、またトランプとかできる」
雪世「非日常を終えて、日常に戻っても、このメンバーってとこが最高」
前田「……うまいこと言ったつもりか?」
雪世「うん。いいこと言った。旅先じゃなくても、俺は前田さんの隣にいたいっすね」
前田「だれかこの家、燃やしてくれ……」
倉近「てか、今夜またトランプする?」
ぎんじ「ババ抜きで“旅の写真流出させる権”とかか?」
前田「絶対負けられない……!」
みんなが笑う。
雪世「……なあ、次はどこ行く? 秋とか、紅葉とかどう?」
前田「まだ帰ってきたばっかだぞ。せめて洗濯終わってから言え」
倉近「やだ、もう行く気ない?れんちゃん?」
前田「……考えとく」
その一言で、全員が目を見合わせてニヤッと笑った。
──旅が終わっても、4人のにぎやかな日常はまだまだ続く。