幼小中高大一貫!!! 戦国学院
「出来た!!」
ここは家の自分の部屋。たまに市が覗きにくる。
「どうしたの? 兄さん」
ほら、ね。市が顔をのぞかせている。
「えっと…これ、見てみ」
「なんて書いてあるの?」
首を傾げる市。可愛い。
「実はな、耳貸せ」
「うんっ」
[斜体]ゴニョゴニョ…ゴニョゴニョ…[/斜体]
「え───っ!! ソレがアレ、なの?」
コクリ。頷く。みんなに見せたらどうなるだろう。反応が楽しみだ!
[斜体]ピーンポーン[/斜体]
「信長センパーイ! いらっしゃいますぅ〜?」
「いるわよ、お入りなさい」
母さんが『サル』を入れようとしている。母さんは何も知らないのか? アイツは市を狙っている。
「ここよ」来た!
「[小文字][明朝体]市、隠れろ[/明朝体][/小文字]」
「うん、わかった」
[中央寄せ][大文字]ガチャ[/大文字][/中央寄せ]
「よお、サル。今日はどうしたんだ?」
「いえ、ちょいと、天女を拝めに来たんでさあ」
キョロキョロと辺りを見渡しているのは、大学1年の後輩、羽柴秀吉だ。色々サルみたいだから、『サル』。どこまでも調子の良い奴だ。男にも女にも人気。市は、
「何? あの人。なんかいやだわ」
と言っていた。
「おや、天女さまはどちらさまで?」
「市なら、遊びに出かけたぞ」
「どこに遊びに行ったんでさあ?」
「コレのとこだよ」
俺はそう言いながら、小指を立てた。この意味は、「彼氏」という意味だ。まあ、嘘だ。だが、アイツは本当に付き合っている。浅井長政という年上の男子だそうだ。
「なんですと!? …おやおやあ? 何作ってんでさあ?」
「うん? これのことか?」
「はい〜」満足そうに頷くサル。
ただのハンコに食いつく野郎をいるもんなんだなあ。
「実はな〜。この文字、読めるか? 全部漢字だぞ」
首をかしげて見るサルは聡明な男に見えるが、ただのサルだ。間違えないで欲しい。
「えーと、…学、院でしょうか…? で、布ですよねえ。これは…式? いや、横棒があるから…あっ、武、ですかな?! 合ってますよ! ね!?」
「ああ、そうだ。繋げて読んでみろ」
「えっと… 学院…布…武。あっ、学院布武、と申されますか!」
「合っているぞ! さすが! 勉強頑張ったな」
俺は誰よりもサルを可愛がっている自信がある。
俺は、弟を亡くした。病気で死んだ。だから、サルを弟と重ねて見ているんだ。
「サル。俺はするぞ!」
俺は立った。ハンコを空高くに掲げて。
[太字][大文字]「学院布武を、このハンコにかけて!!!」[/大文字][/太字]
ここは家の自分の部屋。たまに市が覗きにくる。
「どうしたの? 兄さん」
ほら、ね。市が顔をのぞかせている。
「えっと…これ、見てみ」
「なんて書いてあるの?」
首を傾げる市。可愛い。
「実はな、耳貸せ」
「うんっ」
[斜体]ゴニョゴニョ…ゴニョゴニョ…[/斜体]
「え───っ!! ソレがアレ、なの?」
コクリ。頷く。みんなに見せたらどうなるだろう。反応が楽しみだ!
[斜体]ピーンポーン[/斜体]
「信長センパーイ! いらっしゃいますぅ〜?」
「いるわよ、お入りなさい」
母さんが『サル』を入れようとしている。母さんは何も知らないのか? アイツは市を狙っている。
「ここよ」来た!
「[小文字][明朝体]市、隠れろ[/明朝体][/小文字]」
「うん、わかった」
[中央寄せ][大文字]ガチャ[/大文字][/中央寄せ]
「よお、サル。今日はどうしたんだ?」
「いえ、ちょいと、天女を拝めに来たんでさあ」
キョロキョロと辺りを見渡しているのは、大学1年の後輩、羽柴秀吉だ。色々サルみたいだから、『サル』。どこまでも調子の良い奴だ。男にも女にも人気。市は、
「何? あの人。なんかいやだわ」
と言っていた。
「おや、天女さまはどちらさまで?」
「市なら、遊びに出かけたぞ」
「どこに遊びに行ったんでさあ?」
「コレのとこだよ」
俺はそう言いながら、小指を立てた。この意味は、「彼氏」という意味だ。まあ、嘘だ。だが、アイツは本当に付き合っている。浅井長政という年上の男子だそうだ。
「なんですと!? …おやおやあ? 何作ってんでさあ?」
「うん? これのことか?」
「はい〜」満足そうに頷くサル。
ただのハンコに食いつく野郎をいるもんなんだなあ。
「実はな〜。この文字、読めるか? 全部漢字だぞ」
首をかしげて見るサルは聡明な男に見えるが、ただのサルだ。間違えないで欲しい。
「えーと、…学、院でしょうか…? で、布ですよねえ。これは…式? いや、横棒があるから…あっ、武、ですかな?! 合ってますよ! ね!?」
「ああ、そうだ。繋げて読んでみろ」
「えっと… 学院…布…武。あっ、学院布武、と申されますか!」
「合っているぞ! さすが! 勉強頑張ったな」
俺は誰よりもサルを可愛がっている自信がある。
俺は、弟を亡くした。病気で死んだ。だから、サルを弟と重ねて見ているんだ。
「サル。俺はするぞ!」
俺は立った。ハンコを空高くに掲げて。
[太字][大文字]「学院布武を、このハンコにかけて!!!」[/大文字][/太字]