｢ボケが！！｣
力強い怒鳴り声が教室に響く。
その怒鳴り声でクラスのほぼ全員が裕翔と壱斗を避ける。いつしか壱斗のいじめは日常になって裕翔を気にかける者はほとんど居なくなっていた。
｢ゴッ｣鈍い音が響く。それと同時に裕翔の呻き声も漏れる。
｢ごめ…んな、さい｣
たどたどしく裕翔が謝る。だが壱斗はやめることなく、寧ろニヤリと笑って更に酷く殴る。
クラスメイト達は知らんぷりをする。まるで自分は関係の無い、部外者だと言うように。
いつしか裕翔の目の光はなくなっていった。
いじめが始まってから数ヶ月、裕翔は言葉も発しなくなり、呻き声だけを漏らすようになる。まるで人形のように動かず抵抗せずただ殴られ続けている。
｢僕が何をしたって言うんだ｣と言わんばかりの目で殴られ続ける裕翔に気味悪くなり、クラスメイト達は更に避けるようになり、裕翔と壱斗は孤立した。
それでもやまないいじめに1人の生徒が立ち上がる。葵だ。
｢壱斗！いい加減にしろ！｣
すると殴るのをやめ、ゆっくり振り向く。
｢あ゛ぁ？｣
クラスの雰囲気は凍りつく。
｢裕翔が何したって言うんだ！｣
｢テメェに関係ねぇだろうが！！｣
みんながザワつく。そんな中裕翔はぼんやり二人を見て、いきなりハッとした表情になる。
｢もうやめて、！僕は…僕はもう…いいから…｣
その言葉に壱斗はニヤッと嫌な笑みを浮かべる。
｢ほらな？本人が言ってるだろ｣
このいじめは3年まで続いた。
そして受験シーズンになったとたん