【大型企画・参加型】【軍が人手不足という致命傷】ルベルライトの痕跡
[太字][中央寄せ][大文字]『始め』[/大文字][/中央寄せ][/太字]
その一言だけで空気が一変し、次に瞬きをすれば火花散る戦いが起こっていた。
スプーンのような、フォークのような。
耳元まである縫い目で笑っているように見えても当の口元は笑わず、黒いカトラリーを持って一直線に目の前へ飛んでいく空色の彼。
その本能的な欲望を醒ますような赤い瞳は、まるで獲物を見つけた百獣の王のよう。
「.........何も考えず交戦するとは。」
そう言った黒色の姿の彼女は軽く身を[漢字]翻[/漢字][ふりがな]ひるがえ[/ふりがな]すと、体制を低くし模造刀のついたブーツを彼の足元に振りかざす。
「そんなもので私に一撃が与えられるとでも? .........愚図だなぁ?(笑)」
挑発しながらも鮮やかに躱し空中で一回転してカトラリーを頭上に翳す。
「貴方様は、かなりお強いですね。」
「ただ、まだまだ青い。」
そう言った直後、彼の持っていた武器はすぐ手元から飛んでいく事となる。
彼女は彼の持っていたそれをハイキックで飛ばし、一呼吸を終える頃には
「.........っ」
彼の首には模造刀が添えられていた。
「止め。勝者 リゼさんっす。」
その一言で、張り詰めた空気は手を離した結ばれていない風船のように緩んでいった。
「いやー、やっぱ[漢字]饕餮[/漢字][ふりがな]とうてつ[/ふりがな]さんもリゼさんも強いっすねー......」
「ただ饕餮さんはやっぱり、もーちょい相手によって立ち回りを考えるとかをした方がいいかなって思うんすけど.........」
そう自信なさげに言う彼だが、これでも立派な近距離部隊の隊長[太字]『數見 留歌』[/太字]である。
「私は人外なんだ、お前らとは少し違う。」
『饕餮』と言われた彼は少し不服そうに言った。
あと『人外だから』で許される話ではないぞ饕餮くん。(((
「.........まぁ、それが戦闘スタイルに合ってるんだったらいいんすけど。」
今日は1シーズンに1回ある、貴重な近距離部隊と中距離部隊の合同訓練。
そんな姿を、カメラのレンズはこちらをはっきりと捉えていたのだった。