聞こえにくいためよく耳をすませると
「あの娘の名前は香華（シャンカ）といい白髪に空色の目をしていてですねそれがそれが美しいのです。どれぐらいで売れますかねぇ。」
と聞こえた。昔母から教わったそれは奴隷というらしい。自分は売られたくないせっかくいい生活を手にしたと思ったのに。もうやだ。そして咄嗟に荷物を持って、静かに家を出ると、家から、宮廷から離れなくては、走って。
そうしてしばらく疲れも忘れて走った先は花街だったこうしてふりだしに戻った気分でトボトボと歩いていった。