正門を抜けてからしばらく経っただろうか。
がたっ　馬車が止まった。どうやら目的地に着いたようだ。ガラガラと大きな扉が開いたようで光が入り、思わず目をつぶる。
そのうちに下男が3人ほど入ってくる。だが香華（シャンカ）は、物陰に隠れているため大丈夫だろう。
3人がちょうど目を離した隙に馬車から出て行く。しばらくだれにもバレないように馬車の影からタイミングを伺っていると…
「お前、なにやってる‼︎もしや物取ろうとでもしてんじゃねーよな‼︎」
普段こんな言葉使いをされることはないのでビクッと震えてしまい動けなくなってしまった。
「あっ　なっなにも取ろうと　っ」
震えあがってなにも喋れなくなってしまう。
そんなときに
「おいあんたら娘さんになにやってる」
後ろから大きな声が聞こえた。
「あっすんません」
下男3人が大声を出したおばさんに謝る。
「私にじゃないよ。まあいいそこの子、こんなところでどうしたんだい」
急な展開に香華はびっくりしたさらに動けなくなってしまった。