二次創作
❥ 稲荷崎夢短編集
私には彼氏がいる 。
🍣 「 ●● ~ 、 おはよーさんっ 」
どん 、 と後ろから抱きついてくる金髪の男 。
これが 、 私の彼氏である 。
🌸 「 ちょっと … いきなり抱きつくのやめてって いつも言ってんじゃん … 」
私が呆れながら咎めると 、 侑は唇を尖らせて 不満そうにする 。
🍣 「 え ~ 、 別にええやんかぁ 」
🌸 「 いいならやめてって言いません 」
でもぉ 、 とぶつぶつ言いながら 、 さりげなくぎゅーっと抱き締めてくる 。
ほんとに 、 女子顔負けのあざとさだ 。
ため息を吐きながらも 心の中では満更でも無かったことは 、 絶対に言わない 。
───
侑と別れ 、 私は自分の教室へ入った 。
席に着くと 、 隣の席の治に話しかけられた 。
🍙 「 お 、 ●● 。 おはよぉさん 」
🌸 「 うん 。 おはよう 」
治は侑の双子の片割れ 。
比較的大人しいが 、 恒例の兄弟喧嘩となると侑より一枚上手だ 。
早くも朝弁(?)をしていたらしい治は 、 おにぎりを頬張りながら 話を続ける 。
🍙 「 また侑に絡まれたんやろ 」
🌸 「 絡まれたって … まあ間違っては無いけど 」
治は 『 ビンゴ 』 と笑う 。
🍙 「 あいつ 、 朝練終わってから 一瞬で部室出て行きよったんやで ?
あかんわ 、 ●●が寂しがっとる ~ ! 言うて 」
侑が走って部室を出て行く様子が あまりにもリアルに想像できて 、 気恥ずかしくなる 。
🌸 「 … 別に寂しく無いし 」
髪の毛先をくるくると弄りながら呟くと 、 治はにやにやと笑う 。
🍙 「 ツンデレやな ~ 、 ●●は 」
🌸 「 うるっさい 」
🍙 「 ごめんやん 」
ってか 、 私マネなんだし 朝練だって一緒にいたじゃん 。
私が侑を待たずに先行ったからって 、 そんな急いで出てこなくたっていーのに 。
馬鹿だなあ 、 と思う反面 、 嬉しいとも感じている私もいるみたいだ 。
───
昼休み 、 侑や治と同じバレー部の角名くんと 、 話しながら購買に向かう 。
侑と治は 、 何かやらかして呼び出しを受けているらしい 。
ほんと懲りないな 、 あの双子 。
📱 「 あ 、 ねえ 」
🌸 「 何 ? 」
角名くんが一旦立ち止まり 、 私も立ち止まる 。
角名くんは 『 こっち 』 と 私の手を引き 、 自販機の横に私を連れてきた 。
なんか 、 改まってる 。
大事な話なのかな 。
📱 「 … あのさ 、 俺 、 今まで 『 ●●ちゃん 』 って呼んでたでしょ 」
🌸 「 うん 」
📱 「 今日から 、 呼び捨てでもいい ? 」
🌸 「 … 」
なんだ 、 そんなことか 。
恥ずかしそうに目を逸らしながら 、 私の返答を待つ角名くん 。
🌸 「 勿論 、 いい ── 」
❓ 「 あかあああああん !!! 」
📱 「 !? 」
突如言葉を遮られ 、 角名くんと私は驚きながら振り向く 。
息を切らしながら こっちを …
… いや 、 多分角名くんを 睨み付けるのは 、 侑だった 。
🌸 「 侑 、 呼び出し受けたんじゃ … 」
🍣 「 はぁ !? 何の話やねん !! 」
… え 、 と 角名くんを見ると 、 角名くんは気まずそうに目を逸らす 。
📱 「 これ聞いたら 侑がめんどくさいだろうなって思って … 」
🍣 「 角名お前 、 人の彼女に手ぇ出しとんちゃうぞッ !! 」
📱 「 出してないわ 」
🍣 「 いーや出しとるわ !! 呼び捨ては彼氏の特権やっちゅうねん !! 」
📱 「 じゃあ治はどうなんだよ 」
いきなり目の前で言い合いを始める2人 。
… 気まずいからやめてもらって 。
🌸 「 … あのさ 」
🍣 「 なんや 、 ●● 」
📱 「 … 」
侑も角名くんも 、 揃ってこっちを見る 。
🌸 「 別に呼び捨てくらいいいじゃん 。
さっき角名くんが言ってたみたいに 、 治だってそうなんだし 」
🍣 「 …… ぬぅう … 」
侑は悔しそうに唇を噛み締める 。
… あとひと押し 、 かな 。
角名くんに一言断ってから 、 侑を少し離れた場所へ引っ張る 。
ご機嫌斜め気味の侑に 屈んでくれるよう伝えると 、 しぶしぶ目線を合わせてくれた 。
耳貸して 、 と言えば 、耳を傾けてくれる 。
🌸 「 … さっき 、 嫉妬してくれたんだよね 。 嬉しかったよ 」
耳元でそう伝えれば 、 分かりやすく ぶわっと真っ赤になる侑 。
🍣 「 … っそれは 、 反則やん …… // 」
角名くんの元へ戻って 、 私は侑と一緒に呼び捨てを許可した 。
… なんか 、 許可って言い方が偉そうで嫌だけど 。
📱 「 ほんと ? ありがとう 」
嬉しそうに顔を綻ばせる角名くん 。
いっつも銅像かってくらい表情変わらないのに 、 こういう顔もできるんだ 。
🍣 「 … っああもう ! 距離近いっ 、 離れろやっ !! 」
私と角名くんの間に入って 、 文字通り離れさせる侑 。
角名くんは 、 必死な様子の侑を見て くすりと笑う 。
📱 「 じゃあまたね 、 ●● 」
角名くんは 、 優しく微笑んで 手を振りながら校舎に戻って行った 。
取り残された私と侑の間に 、 沈黙が流れる 。
🍣 「 … なあ 」
🌸 「 何 ? 」
さっきの言葉が効いているのか 、 ほんのり赤い顔で頭を掻く 。
🍣 「 … あんま 、 嫉妬させんといて 」
🌸 「 … ! 」
いつものあの余裕が欠片もない顔で言われ 、 胸がきゅんと疼く 。
あー 、 やっぱり好きだな 。
自分の気持ちを再認識して 、 侑に抱きつく 。
🌸 「 うん 、 ごめん 。 これからは気をつけるね 」
🍣 「 …… っおん 、、 // 」
侑は再度顔を赤く染めながら 、 私を強く抱き締めてくれた 。
私は 、 彼氏が ───
─── 侑が 、 大好きだ 。