新しい花が咲く頃に
「あ、さませんぱい.......」
後ろを恐る恐る振り返ると、そこには容姿端麗の美少女、「浅間紫翠先輩」が居た。
今すごい浅間先輩のことで悩んでたのに、なんで会っちゃうかなぁ〜!!
1人、心の中で悶え苦しむ。
蛭ケ島くんは、浅間先輩だと分かった瞬間、声の色を変えて「偶然ですねっ!?」と少々裏返った声で言った
「あ、うん......偶然、だね?蛭ケ島くんたち、なんで3年生のところに居るの?」
『っエ"』
誰かに用?と続けて優しく言う浅間先輩に、恐る恐る「咲音洸先輩って分かりますか.......?」と聞く
まぁ、先輩バレー部だし、知ってて当然なんだろうけど........
浅間先輩はそれを聞いた瞬間、少し瞳を鋭くした
「........あー、うん。洸くん、ね、さっき見かけたけど.....」
『........そうですか?ありがとうございます!』
浅間先輩の鋭い空気に気を取られ、浅間先輩の「洸くん」呼びに私は気づけなかった
それじゃあ、私はこれで!と洸先輩の元へ走る。......もちろん、蛭ケ島くんは置いて
後ろから「おいっ.....!」と羽詰まった声が聞こえたが、無視だ。さっきの借りは返させてもらうよ!
-----------
『っ、は.......はぁー....』
至急、洸先輩が見つからない。
見かけた、って言いましたよね?やー、どこ行ったんですかぁ、洸先輩
そろそろ諦めて帰ろうか、そう思い踵を返す
踵を返すと、颯爽な音をした「タッタッタ」という音が早く聞こえる
「し、ろあちゃん.........いた......!」
『......こうせんぱい、!』
声を掛けられ、後ろを振り向くと私が探していた人、咲音洸先輩が居た
片手は膝に付き、片手は額の汗を拭う洸先輩に、どれだけ必死に探してくれたんだろう、なんでそんなに必死に?と疑問が飛び交う。
疑問が飛び交う頭の中に「罪悪感」という言葉が生まれる
「......っ、白藍ちゃんさ!俺のこと好き!?」
『.......ッえ!?』
急な質問にオーバーリアクションをしてしまう
いつもの洸先輩では感じられない、余裕のなさと、切羽詰まったその声に、動揺を隠せない
「......"好き"ってそりゃ、すき、ですけど.......洸先輩と付き合ってるわけですし、」と少し照れるような、胸が痛むような気持ちで言う
私の返答を聞いた洸先輩は、「そっか、」と安心した声色を出す。その声色に、ズキズキと胸が痛んでしょうがない
『.........こうせんぱいは、私のこと好きですか?』
自分が傷つくだけの、聞きたくもない質問を洸先輩へ投げかけた
(私は、洸先輩の隣に居たいです)
…オキナグサ「裏切りの恋」「清純な心」